石油化学コンビナートを探る
②ナフサ分解工場

石油化学製品の原料となるのは、石油精製工場で分けられた、石油製品のひとつであるナフサが中心となります。ナフサはガソリンに似た透明(とうめい)な液体です。
ナフサ分解工場でナフサはどうなるのですか?
ナフサはここで化学反応によって、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどという重要な製品につくりかえられます。
工場のなかでは、コンピュータで温度や反応の状態が管理されています。

もう少しくわしく説明すると・・・
とても高い温度になっているナフサ分解炉(ろ)のなかの管をナフサが通ると、ナフサははげしい化学反応(熱分解反応)をおこします。
化学反応がおこると、分子(ぶんし)が、ばらばらになったり、ほかの分子とくっついたり、いろいろなことがおこります。ナフサにおきる化学反応は、おもに、分子がこまかく切れて(分解して)もっと小さな分子になるものです。
それらがエチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどと呼ばれる物質です。
これらは分解されてできたときは、高い温度なのでどれも気体で、まざり合った状態ですが、蒸留して分けて取り出すことができます。(これを分留(ぶんりゅう)といいます。)
これらの物質は、身近にある石油化学製品をつくっていく出発点となる重要なもので石油化学基礎(きそ)製品とよばれています。
石油化学基礎製品は、おもにナフサから作られますが、原油に含まれるいろいろな成分を有効に使うため、ナフサ以外の物質から作られることもあります。
沸点が違うということはどういうことなのですか?
すべての物質は、その性質を示す小さな粒(つぶ)からできています。この粒のことを分子(ぶんし)といいます。分子の大きさはその物質によって違っています。
水は摂氏100度で沸騰しますが、お酒などに含まれるアルコール(エチルアルコール)は摂氏78.3度で沸騰します。このようなうなことが起るのは、それをつくっている分子の大きさが違っているからです。
原油からつくられる石油製品も、その中に含まれている分子の大きさによって沸点がちがってくることがわかっています。
ナフサ分解工場の写真

石油化学コンビナートの中のエチレンプラント。上の写真の一角でナフサを分解して、石油化学基礎製品であるエチレン等を取り出すところまでを行っています。

エチレンプラントの写真の右側の部分を拡大して見ています。 ナフサ分解炉はパイプがはりめぐらされています。

実際には蒸留を繰り返して 基礎製品は別々の塔から取り出されます。