石油化学コンビナートを探る
③石油化学誘導品工場

ナフサ分解工場でできた石油化学基礎製品は次にどうなるのですか?
ナフサ分解工場でできた石油化学基礎(きそ)製品は石油化学誘導品工場(中間製品工場)でまた、別の物質につくりかえらえられます。
石油化学誘導品工場は、原料である石油化学基礎製品のちがいによって、また、つくる誘導品のちがいによって、それぞれ別の工場になっています。 だから、石油化学コンビナートの中には、さまざまな誘導品工場があるのです。
石油化学基礎製品のエチレンを例にあげて見てみると、
エチレンという粒(つぶ)をつないでいく工場と、 このエチレンにほかの分子を化学反応させて別のものをつくっていく工場に分かれます。
エチレンの粒をつないでいく工場では
重合という化学反応でポリエチレンというものに変化させます。このときの重合とはエチレンという分子をつないでいく反応のことです。 これをもう少しくわしく見ていくとこんなことがおこっているのです。
エチレンの重合
エチレンの分子でもっとくわしく見ていくと

これがポリエチレンというもので、最初のエチレンとはまったくちがった性質をもっている、身近にあるプラスチックのひとつです。
そうです。「ポリエチレンの袋(ふくろ)」などという言葉は耳にしたことがありますね。
この石油化学誘導品工場(中間製品工場)で、袋や容器などにつくられる前の材料、ポリエチレンという物質になるのです。
ポリエチレンは丸い粒の形でつくられるので、トラックなどで石油化学コンビナートの外に運びやすくなります。
のように、石油化学誘導品工場(中間製品工場)では、ナフサを分解して得たエチレンなど「石油化学基礎製品」に、重合させたりほかの分子をくっつけたりして、身近にあるものをかたちづくる「材料」をつくっています。
石油化学誘導品工場の写真

石油化学基礎製品であるエチレンの分子(ぶんし)をつないで、ポリエチレンという誘導品をつくる工場です。

石油化学基礎製品であるプロピレンの分子をつないで、ポリプロピレンという誘導品をつくる工場です。


工場でできあがったポリエチレンやポリプロピレン、PETなどは、ペレットといって、丸い粒になっています。 元は液体や気体であったものが、固体化されたため運びやすくなっています。


ペレットとなり、運びやすくなった石油化学誘導品は石油化学コンビナートの外までトラックなどで運ばれ、関連産業工場でさらに手を加えられて身近な製品になります。 写真は、ポリエチレンでつくられた灯油缶です。

この工場では、合成洗剤や合成繊維、ペットボトルなどの原料となる、エチレンオキサイド、エチレングリコールという物質をつくっています。
エチレンに他の物質をくっつける反応をさせると、ポリエチレン以外の誘導品もつくることができます。