Let’s Study 石油化学~石油化学ものしり辞典~

石油化学ものしり辞典

エチレン
エチレンは灯油缶や買い物を入れるポリ袋の原料であるポリエチレンをつくる原料です。
エチレンはまた、ペットボトルやポリエステル繊維(せんい)の原料の一つであるエチレングリコールの原料としても使われます。ポリエチレンやエチレングリコールなどの石油化学誘導品のもとになる原料を石油化学基礎製品と呼びますが、エチレンも基礎製品の一つです。
原油からつくられたナフサ(ガソリンに似た油)を800℃以上の高温で分解すると、いろいろなガスや油ができます。その中の約30パーセントがエチレンです。
エチレンプラント
ナフサを分解してエチレンなどの石油化学基礎製品をつくる工場をエチレンプラントと呼びます。
エチレンプラントではナフサを分解してできたいろいろなガスや油を分けて、エチレン、プロピレンなど、さまざまな基礎製品をつくります。
界面活性剤
洗濯用(せんたくよう)洗剤や台所用洗剤には、界面活性剤が入っています。
水と油は混ざり合いませんが、界面活性剤は水になじみやすい性質(親水性 しんすいせい)と、油になじみやすい性質(親油性 しんゆせい)の両方をもっています。
衣服や食器についた油に親油性の部分が働いて、油を水の中に取り出して油よごれを落とします。
界面活性剤は家庭用の洗剤のほか、いろいろな産業で使われています。
化学反応
2種類以上の物質が作用して別の物質に変化することを化学反応といいます。
油が燃えるときに、油の成分である炭素と水素が空気中の酸素と結びついて、炭酸ガスと水になりますが、これも化学反応のひとつです。
原子
水は2個の水素と1個の酸素からできています。水を構成する水素や酸素の1個1個が原子です。このように物質をつくる最小の単位を原子といいます。
原油
油田から掘り出された黒褐色のドロッとした液体を原油といいます。
日本ではほとんど取れないので、サウジアラビアなどの中東諸国やインドネシアなどから大型船で輸入しています。輸入した原油から石油精製工場でガソリン、ナフサ、灯油などのいろいろな石油製品がつくられます。
合成繊維
化学反応でつくった物質を細い糸(繊維)にしたものを合成繊維といいます。化学反応でつくるので化学繊維とも呼ばれます。
ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維などが代表的な合成繊維です。
自然にあるものを利用してつくられる繊維を天然繊維といい、綿(コットン)、絹(シルク)、羊毛(ウール)が主な天然繊維です。
重合(じゅうごう)
化学反応で分子を多数つなげることを重合といいます。
重合でできた大きな化合物(分子)を重合体(ポリマー)と呼びます。分子がたくさん結合しているので高分子ともいいます。
重合体は頭に「ポリ」ということばをつけて表すことが多く、ポリエチレンはエチレンの重合体、ポリプロピレンはプロピレンの重合体です。
蒸留(じょうりゅう)
いろいろな物質が混ざった液体を熱して蒸発させ、できた蒸気を冷やして液体にもどすと、蒸発しやすい物質と蒸発しにくい物質を分けることができます。これを蒸留といいます。ナフサを分解してできたいろいろな物質を蒸留で分けて行きます。
蒸留塔(じょうりゅうとう)
蒸留を何回も繰り返すといろいろな物質を精密に分けることができます。
蒸発と液化(液体にもどすこと)を一つの塔の中で繰り返すようにつくられたものが蒸留塔です。蒸留塔の下の方では温度が高く、上に行くほど温度が低くなっていて、下から熱せられた液体が蒸留塔の中で蒸発と液化を繰り返し、蒸発しやすい(沸点の低い)物質が上から、蒸発しにくい(沸点の高い)物質が下から取り出されます。
触媒(しょくばい)
化学反応を助ける物質のことで、そのもの自体は変化しないで、化学反応を速くするなどの働きをします。化学反応しにくい物質どうしを触媒の働きではげしく反応させることもできます。触媒の開発は化学技術の進歩、発展のためにたいへん重要なことです。
石油化学基礎(きそ)製品
ナフサを分解してできる、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどを石油化学基礎製品といいます。
ポリエチレン、ポリプロピレン、合成ゴムなどの石油化学誘導品の原料として使われるので基礎製品と呼ばれています。
石油化学コンビナート
石油精製工場、ナフサ分解工場、いろいろな石油化学誘導品工場が一つの場所に集まっているところを石油化学コンビナートといいます。
工場の間は多数のパイプライン(配管)で結ばれていて、いろいろな原料や製品がやりとりされています。
日本には9つの地域(大分、周南、岩国・大竹、水島、大阪、四日市、川崎、千葉、鹿島)に15の石油化学コンビナートがあります。
石油化学誘導品(ゆうどうひん)・石油化学誘導品工場
石油化学基礎製品からつくられるポリエチレン、ポリプロピレン、エチレングリコールなどを石油化学誘導品といいます。誘導品をつくる工場が石油化学誘導品工場です。
石油化学誘導品からは、プラスチック製品、衣料品、タイヤなどの合成ゴム加工品、合成洗剤、塗料、医薬、農薬、肥料など、さまざまな製品がつくられ、私たちの衣食住に役立っています。

このサイトの中にある 「石油化学製品はこうしてつくる!」"石油化学誘導品工場"もご覧ください。
石油精製(せいせい)工場
原油にはいろいろな種類の物質が含まれている上に、いおうなどの不純物も混ざっています。原油から石油製品をつくるためには、いろいろな種類の物質を別々に分けたり、不純物を取り除いたりする必要があります。このように原油から石油製品をつくることを石油精製といいます。石油精製工場では、はじめに蒸留塔で石油ガス、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油など大まかに分けてから、いおう除去設備など、たくさんの精製設備で石油製品がつくられています。

このサイトの中にある「石油化学製品はこうしてつくる!」"石油精製工場"もご覧ください。
繊維強化プラスチック
繊維強化プラスチックは軽くて加工しやすいプラスチックにガラスの繊維を混ぜ合わせてつくった衝撃にも強いプラスチックです。軽くて強い性質を活かして、ボートや浴槽、工場の水槽やタンクなどに使われています。オートバイのカバーもFRP製です。
新幹線のぞみの洗面台にもFRP製のものが使われています。
地球温暖化
地球温暖化とは、工場や家庭、自動車などから出される二酸化炭素などが大気圏の上に層となってたまり、太陽で暖められた地球の熱が宇宙に逃げにくくなって大気の温度(気温)が上がることです。
地球の気温が上がると、南極の氷や高い山にある氷河が溶けて海水面が上がり、標高の低い島や海岸が水面下に沈んでしまって、人や動物がそこに住めなくなったり、気候が変わることによって、動物や植物の生存に影響がでるといわれています。
ナフサ
石油化学製品の原料として重要なガソリンに似た油で、原油を蒸留して得られます。
日本の石油精製工場でつくられるナフサだけでは足りないため、アジアや中東からもたくさん輸入しています。
ナフサ分解炉(ろ)
ナフサを高温で分解する設備をナフサ分解炉といいます。燃料を燃やして高温になっている分解炉の中のパイプにナフサと水蒸気を送りこみ800℃以上の温度にすると、ナフサは化学反応を起こして分解し、エチレン、プロピレンなどの簡単な構造の物質に変化します。ナフサ分解で得られた物質は石油化学基礎製品として、いろいろな石油化学誘導品の原料になります。
熱可塑性(ねつかそせい)プラスチック
熱を加えると柔らかくなり、冷えると固まるプラスチックを熱可塑性プラスチックといいます。熱を加えて柔らかくし、型にはめて冷やすと型どおりの製品ができます。
一度堅くなっても熱を加えるとまた柔らかくなります。
熱硬化性(ねつこうかせい)プラスチック
熱を加えると柔らかくなりますが、時間がたつと固まるプラスチックを熱硬化性プラスチックといいます。熱で化学反応が起きて固まりますので、もう一度熱を加えても柔らかくなりません。
光ファイバー
光を送るための非常に細い線状のガラスまたはプラスチックを光ファイバーといいます。 光の屈折率の違う2つの物質で2重にして屈折率の大きな物質の中を光が反射しながら進むようにしてあります。この光を信号として使って通信を行うと電話よりもはるかに速く、またたくさんの信号を送ることができます。

このサイトの中にある「石油化学なんでも情報」"ブロードバンド時代を担う(になう)<光ファイバー>"もご覧ください。
沸騰(ふっとう)・沸点(ふってん)
液体を熱すると液体表面から蒸発しますが、ある温度に達すると液体内部からも気化が起こるようになります。この現象を沸騰(ふっとう)といい、そのときの温度を沸点(ふってん)といいます。
プロピレン
プロピレンは、プラスチック容器や乗用車のバンパーなどの原料になるポリプロピレンをつくる原料です。
また、プロピレンは塗料の原料やアクリル繊維の原料をつくる原料にも使われます。
プロピレンも石油化学基礎製品の一つです。
ナフサを高温で分解するといろいろなガスや油ができます。その中の約20パーセントがプロピレンです。
ブタジエン
ブタジエンは、自動車タイヤの原料である合成ゴムをつくる原料です。
また、ブタジエンはテレビ等の家電製品のボディに使われるABS樹脂というプラスチックの原料にも使われます。
ブタジエンも石油化学基礎製品の一つです。
ナフサを高温で分解するといろいろなガスや油ができます。その中の約5パーセントがブタジエンです。
分子
いくつかの原子の組み合わせでできている物質が、化学的性質を表せる最小の単位を分子といいます。
酸素は酸素原子が2個結合して酸素分子となってはじめて、酸素としての性質を示すようになるのです。水の分子は水素原子2個と酸素原子1個からできていますが、水は、酸素の性質も水素の性質も示さないで、水としての性質を示します。
PET(ペット)
PETはポリエチレンテレフタレートというポリマー(重合物)です。
透明で見た目がきれいなところ、軽くて丈夫なところは、飲み物の容器にぴったりで、PETボトルは、私たちの生活から切り離せないほど身近なものとなっています。落としても割れたり、粉々に飛び散ったりしないことはガラスにはない優れた特徴です。また、ガラスビンに比べ、とても軽いことも運ぶために優れています。2リットル入りのビンをガラスでつくると中身と同じくらい重くなってしまいますが、PETボトルだと100グラム以下です。積み荷の重さが軽くなれば、トラックの排気ガスを減らすことにもつながるのです。
リサイクルの技術も進み、PETボトルから、フリースや制服など衣料品に生まれ変わらせたり、原料にもどして、もう一度PETボトルにつくりなおすといったこともできるようになってきています。
ペレット
重合で得られたポリマー(重合物)は、輸送や取り扱いがしやすいように小さな粒とします。この粒をペレットといいます。
ポリエチレン
エチレンの重合でつくられるエチレンの重合体がポリエチレンです。
酸、アルカリ、溶剤に溶けにくく、電気絶縁性(でんきぜつえんせい:電気を通さない性質)、耐水性(たいすいせい:水にぬれても性質が変わりにくい特徴)、耐寒性(たいかんせい:寒いところでも性質が変わりにくい特徴)に優れています。
いろいろなフィルムや灯油缶などに用いられます。
ポリプロピレン
プロピレンの重合体です。機械強度(きかいきょうど:力を加えたときに耐える強さ)、耐摩耗性(たいまもうせい:摩擦によってすり減りにくい性質)、透明性(とうめいせい:どのくらい透明かの度合い)に優れるため、自動車のバンパーやコンテナー、各種フィルムなどに用いられます。
ポリマー(高分子)
重合・重合体のところを見てください。
モノマー・単量体
ポリマー(重合体)の原料となる化合物のことをモノマー(単量体)といいます。
例えばポリエチレンに対するエチレン、ポリスチレンに対するスチレンモノマーがこれにあたります。
リサイクル
使い終わった容器、買い替えする家電製品、使えなくなった製品をゴミとしてすてるのではなく、もう一度利用することをリサイクルといいます。 リサイクルには、原料にもどす、ペレットにもどす、燃やして熱を利用するの3つの方法があります。
石油化学工業の代表的な製品であるプラスチックのリサイクルをきちんとやろうとするときにプラスチックの種類がわかるように図のような表示をつけています。
PPはポリプロピレン、PSはポリスチレン、PETはポリエチレンテレフタレートです。
PP、PS、PET
 PETボトルについては以前からの表示PETが使われているものもたくさんあります。
リデュース
資源を有効に使い、ゴミとなる量をへらすことをリデュ-スといいます。
ペットボトルの材質を強くして厚さを薄くするとか、洗剤の性能を高くして少量で洗えるようにし、容器を小さくすることなどがリデュ-スの例です。
リユース
容器などをすてないで何回も使うことをリユースといいます。
台所の洗剤がなくなったら詰め替え用の洗剤を買ってきて前の容器に入れて使うと、容器をすてないで何回も使えます。リユースを増やすとゴミの発生量が減り、資源の節約になります。