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整理番号:No.46
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1989年 5月
改訂    2002年12月

1.製品の名称  ジシクロペンタジエン


2.組成、成分情報

単一製品・混合物の区別 単一製品
化学名 ジシクロペンタジエン
  別名 DCPD;ビスシクロペンタジエン; 1,3-シクロペンタジエンダイマ; 3a,4,7,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン;トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ-3,8-ジエン
含有量 高純度品99%以上(並品95%以上)
化学式及び構造式 1012(分子量132.21)
官報公示整理番号 化審法・安衛法(4)−634
CAS No. 77−73−6

3.危険有害性の要約

最重要危険有毒性
  有害性 目、皮膚に刺激性がある。
  環境影響 生分解性は難分解であるが、濃縮性は低い。水生生物に対し中程度の毒性。3)
予測環境濃度(PEC:predicted environment concentration)は予測無影響濃度(PNEC:predicted no-effect concentration)よりも低い。3)
  物理的及び化学的危険性 引火性の液体で、空気と爆発性混合ガスを形成しやすい。
分類の名称(分類基準は日本方式) 引火性液体

4.応急措置

吸入した場合 患者を直ちに空気の新鮮な場所に移し、毛布等で保温して安静にさせ、速やかに医師の手当てを受ける。
呼吸が停止している場合は人工呼吸を行い、呼吸困難な場合は酸素吸入を行う。医師の指導の下に行うことが望ましい。
皮膚に付着した場合 汚染された衣服、靴等は直ちに脱ぎ捨てる。その後、水または微温湯を流しながらよく洗浄する。石鹸を用いて十分に洗い流す。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、直ちに医師の手当てを受ける。
目に入った場合 コンタクトレンズを用いている場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間以上洗い流した後、直ちに医師の手当を受ける。
飲み込んだ場合 吐かせようとしてはならない。揮発性液体なので、吐き出させるとかえって危険性が増す。
水でよく口の中を洗わせる。口から何も与えてはならない。
嘔吐が自然に起こったときは、気管への吸入が起きないように身体を傾斜させる。
保温して、速やかに医師の手当を受ける。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、泡(耐アルコール泡)、二酸化炭素。なお水は無効。
特定の消火方法 火災発生場所周辺に関係者以外の立入を禁止する。
初期消火には、粉末、二酸化炭素等を用いる。
大規模火災の際には、泡(耐アルコ−ル泡)消火剤を用いて空気を遮断することが有効である。
棒状水の使用は火災を拡大し、危険な場合がある。
消火を行う者の保護 消火作業の際には自給式呼吸器等の保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 出した場所の周辺に、ロープを張る等して関係者以外の立入を禁止する。
作業の際は保護具を着用し、飛沫が皮膚に付着したり、ガスを吸入しないように注意する。
環境に対する注意事項 付近の着火源となりそうなものを速やかに取り除く。
除去方法 危険がなく、可能な場合は漏出を止める。
少量の場合;
乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ、密閉できる容器に回収
する。
多量の場合;
盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。
二次災害の防止策 多量の場合には、下水、側溝等に入り込まないように注意する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 1.吸入を防ぎ、目、粘膜、皮膚との接触は避ける。必要に応じ、適切な保護具を着用し風上から作業する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取扱う場合には、蒸気の発散源を密閉する設備、または局所排気装置を設ける。
4.取扱い後は、手洗い、洗顔を十分に行い、また衣服に付着した場合は着替える。
5.漏れ、溢れ、飛散を防ぎ、蒸気を発生させない。
6.極めて引火しやすいため、火気、火花、ア−クを発生するもの、または高温点火源を付近で使用しない。
7.取扱い場所で使用する電気機器は防爆構造のものとし、機器類には静電気対策を行う。
(容器の取扱い) 8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器をみだりに転倒させ、衝撃を加え、または引きずる等の乱暴な取扱いをしない。
10.容器から出し入れするときは、こぼれないようにする。

11.静電気対策のために、出し入れする容器にはアースを取り付ける。
保管 12.使用済容器は一定の場所を定めて保管する。
13.容器は直射日光を避け、通風の良い、冷暗所にて保管する。
14.保管場所は火気厳禁とする。
15.酸化性物質、有機過酸化物等と同一の場所で保管しない。

8.暴露防止措置及び保護措置

設備対策 室内の取扱いの場合には発散源の密閉化、または局所排気装置を設置する。
取扱い場所の近くに緊急用安全シャワー、手洗い及び洗眼設備を設置し、その位置を明確に表示する。
管理濃度 設定されていない。
許容濃度 日本産業衛生学会(2002年版) 設定されていない。
ACGIH(2002年版)TLV− TWA 5 ppm1)(27 mg/m
保護具
呼吸器の保護具 送気マスク、空気呼吸器、有機ガス用防毒マスク
手の保護具 耐油性保護手袋
目の保護具 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具 耐油性保護長靴、耐油性前掛

9.物理的及び化学的性質

外観
  物理的状態 結晶(高純度品)8)、(なお並品は液状)
  色 無色8)
臭い カンフル臭
pH 測定項目に該当しない。
物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲
  沸点 166.6 ℃  沸点範囲:170〜172 ℃8)
  融点 33 ℃8) 32 ℃9)
分解温度 140〜170 ℃
引火点 32.2 ℃(開放式)2)
発火点 510 ℃ 680℃2)
爆発特性
  爆発限界 下限;1 vol% 上限;7 vol%
蒸気圧 13.3 kPa (100 oHg)(105 ℃) 2) 1.33 kPa (10 oHg)(47.6 ℃) 8) 
329 Pa (2.47 oHg)(25 ℃) 2) 186 Pa (1.4 oHg)(20 ℃)
8)
相対蒸気密度 4.55 (空気 = 1) 9)
密度 0.9302 (35 ℃) 9)
溶解性
  水 不溶
  その他の溶媒 エチルアルコール、エーテル、ベンゼンなどの有機溶剤に可溶2)
  オクタノール/水分配係数 2.78 3) 

10.安定性及び反応性

安定性 140〜170 ℃でシクロペンタジエンに分解する。
反応性 400 ℃以上で急激な重含反応を起こすことがある。
危険有害な分解生成物 140〜170 ℃でシクロペンタジエンに分解する。
その他 蒸気は空気より重いので低い場所に滞留し、爆発性混合ガスを作りやすい。

11.有害性情報

ヒトへの影響
急性毒性 ヒトの暴露において、目、喉への刺激、嗅覚の障害が報告されている。2)
局所効果(皮膚、目) 知見なし。
感作性 知見なし。
慢性・長期毒性 知見なし。
発がん性 IARC(国際がん研究機関)の発がん性物質区分でグループ3「ヒトに対して発ガン性について分類できない」に分類されている。
変異原性 知見なし。
催奇形性 知見なし。
生殖毒性 知見なし。
その他 ヒトの健康については、暴露の頻度が非常に低く、人体保護具が着用されているため、作業員のリスクは低いと思われる。3)
動物への影響
急性毒性
吸入 ラット LC50 359 ppm(4hr)
マウス LC50 145 ppm(4hr)9)
経口 ラット LD50 350 mg/ kg9)
マウス LD50 190 mg/ kg9)
経皮 ウサギ LD50 6,720 mg/ kg9)
腹腔内 ラット LD50 200 mg/ kg
亜急性・慢性毒性 ラットに4、20、100 mg/kg/日の用量で雄は44日間、雌は交配14日目から妊娠、分娩を経て哺育3日目まで経口投与した。6)
この結果、100 mg/kg投与群で雌雄ともに体重の増加抑制傾向と摂餌量の減少が認められ、雌の2例が死亡した。臓器重量、病理組織学的検査、血液生化学検査などで肝臓及び腎臓への影響が示唆された。最大無影響量(NOEL:no observed effect level)は雄が4 mg/kg/日以下、雌では20 mg/kg/日であった。6)
ラットに55及び74 ppmの濃度で7時間/日、89日間吸入暴露した場合に腎臓及び肺に影響が認められた。9)
72、146、332 ppmの濃度で10日間ラットに吸入暴露した試験では、最高用量では死亡が認められた。死亡例では腸内出血及び肺出血が認められている。さらに、雌では胸腺の出血も認められた。しかし、中、低用量
群では死亡は認められず、体重変化などにも異常は認められなかった。
なお、同様にマウスに吸入暴露した場合には、146 ppmで1日目に全例が死亡し72 ppmでは6匹中5匹が死亡したが、死亡例で肉眼的な病変は認められなかった。なお、47 ppmでは死亡は認められなかった。
7)
局所効果(皮膚、目) 吸入暴露において一般的に、目の刺激、かなりの程度の協調性の失調が生じた。
希釈せずに投与した場合、ウサギの皮膚に対して中程度、また、目に対して穏やかな刺激性を示した。
しかし、ウサギの皮膚に対しては強度、目に対しては中程度との報告もある。
9)
感作性 知見なし。
発がん性 発がん性の試験の報告はない。2)
変異原性 サルモネラ菌(TA1535、TA1537、TA98、TA100株)及び大腸菌(WP2 uvrA株)を用いた復帰変異原性試験では陰性であった。5)
チャイニーズ・ハムスター培養細胞(CHL細胞)を用いた染色体異常試験では0.057 mg/ml(長時間処理(24hr))、0.10 mg/ml(短時間(6hr))の濃度まで陰性の結果を示した。6)
催奇形性 ラットに4、20、100 mg/kg/日の用量で雄は44日間、雌は交配14日目から妊娠、分娩を経て哺育3日目まで経口投与した試験で、生殖能、出産率、新生仔への影響等を調べた。6)
この結果、新生仔の生存率が低下し、体も低値を示したが、奇形はみられていない。
6)
生殖毒性 ラットに4、20、100 mg/kg/日の用量で雄は44日間、雌は交配14日目から妊娠、分娩を経て哺育3日目まで経口投与した試験で、生殖能、出産率、新生仔への影響等を調べた。6)
この結果、親動物の交尾率、受胎率、出産率、分娩率などについて被験物質投与の影響は認められなかった。哺育期間の新生仔では100 mg/kg投与群で母獣2例の新生仔が全例死亡した。また、100 mg/kg投与群では4日生存率が低下しており、さらには体重増加の抑制等も認められた。
以上のことから、生殖発生毒性に関する最大無影響量(NOEL)は、親動物に関して雄で100 mg/kg/日、雌では20 mg/kg/日、仔獣に対しては20 mg/kg/日とされた。6)
細菌試験とin vitroの染色体異常試験では遺伝毒性作用を示さなかった。
3)
代謝 排泄 呼吸に伴って経気道的に吸収される。体内に摂取されたものの大部分は尿中にグルクロン酸抱合体として排泄され、一部は未変化のまま呼気あるいは尿中に排出される。9)
その他 反復毒性の最大無影響量(NOEL:no observed effect level)は4mg/kg/日、生殖毒性のNOELは100 mg/kg/日であった。3)

12.環境影響情報

残留性/分解性 難分解4)
光分解が予想される。
蓄積性 低濃縮 濃縮倍率(BCF)58.9〜384倍4)
予想環境濃度(水環境8.3×10-4mg/L推定値)
生態毒性
  魚毒性 ヒメダカ LC50 3.7 mg/L(48hr)
ミジンコ(Daphnia magna) EC50  8 mg/L(48hr)3)
クロレラ(Selenastrum) EC50 27 mg/L(72hr)3)

13.廃棄上の注意

1. 廃棄は次のいずれかの方法によって焼却により行う。
1) 他の燃料と混ぜて適切な焼却炉の火室へ噴霧し、焼
する。
2) おがくず、ウエス等に吸着させて焼却してもよい。
2. 多量の場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に内容物を明確にして処理を委託する。
3. 空容器を廃棄する場合は内容物を水洗いまたは蒸気吹き込みで洗浄した後に処分する。

14.輸送上の注意

国際規制 IMDG(国際海上危険物規則)コード:ハザードクラス3(Flammable liquid), Packing groupV
ICAO-TI(国際民間航空機関技術指針)/IATA-DGR(国際航空運送協会危険物規則):ハザードクラス3(Flammable liquid), Packing groupV
国連分類 クラス3(引火性液体類)     国連番号:2048
国内規制 消防法    :危険物第4類第2石油類(非水溶性液体)指定数量1000リットル
船舶安全法 :危規則告示別表第5(引火性液体類,P.G.V)
航空法    :危規則告示別表第3(引火性液体,P.G.V)
輸送の特定の安全対策及び条件 1.車両等によって運搬する場合、荷送人は運送人に運送注意書(イエロ−カ−ド)を交付し、携帯させる。
2.容器の破損、洩れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないよう積み込み、荷崩れ防止を確実に行う。
3.タンク車(ロ−リー)等への積み込み、積み降しの際は平地に停止させ、車止めをし接地する。
 タンク車の許容圧力以下の圧縮ガスまたはポンプを用いて行う。
 ホ−スの脱着時はホ−ス内の残留物の処理を完全に行う。
4.ロ−リ−、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。

15.適用法令

化学物質管理促進法
(PRTR法)
対象外
労働安全衛生法 法第57条の2、通知対象物 政令番号第261号
施行令別表第1 危険物(引火性のもの)
毒物・劇物取締法 対象外
消防法 危険物第4類第2石油類(非水溶性液体)指定数量1000リットル
船舶安全法 危規則第3条危険物告示別表第5(引火性液体類)
航空法 施行規則第12条危険物告示別表第3(引火性液体類)
海洋汚染防止法 施行令別表第1 ばら積み運送における有害液体物質(B類物質)
港則法 施行規則 危険物(引火性液体類)

16.その他の情報

1) ACGIH Documentation of the Threshold Limit Values 2002
2) 経産省監修、化学品検査協会編集:化学物質ハザードデータ集vol.2, P.2021(第一法規)
3) SIDS初期評価プロファイル(Screening Information Data Set for High Volume Chemicals OECD Initial Assessment vol.7)日本化学物質安全・情報センター(JETOC)情報B vol.25,No.1, P.47(2003)
4) 経産省監修、化学品検査協会編集:"化審法の既存化学物質安全性点検データ集"日本化学物質安全・情報センター(JETOC)(1992)
5) 日本化学物質安全・情報センター(Jetoc)編集・発行:"労働安全衛生法有害性調査制度に基づく既存化学物質変異原性試験データ集"(1996)
6) 経生省 化学物質点検推進連絡協議会:"化学物質毒性試験報告"vol.3,P.29-48(1996)
7) C.P.Carpenter et al:Toxicol.Appl.Pharmacol.,vol.20,P.552-561(1971)
8) Karel Vershueren:Handbook of environmental Data on Organic Chemicals(3rd.ed.) VAN NOSTRAND REINHOLD Co.P.746(1996)
9) Patty's Industrial Hygiene and Toxicology 4th Edition P.1276 (1994)
10) Recommendations on the Transport of Dangerous Goods Model Regulations 11th.Rev.ed.,P.168(1999)