整理番号:No.45 |
石 油 化 学 工 業 協 会
作成 1989年 5月
改訂 2002年12月 |
1.製品の名称 エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル
2.組成、成分情報
| 単一製品・混合物の区別 |
: |
単一製品 |
| 化学名 |
: |
2-n-ブトキシエタノール |
| 別名 |
: |
2-ヒドロキシエチル-ブチル-エーテル,エチレングリコール-モノ-ノルマル-ブチルエーテル,n-ブチルセルソルブ(略称:EGMB) |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
C4H9OCH2CH2OH (分子量118.18) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法・安衛法(2)−407 |
| CAS No. |
: |
111−76−2 |
3.危険有害性の要約
| 最重要危険有害性 |
|
|
| 有害性 |
: |
動物実験で溶血による貧血作用が見られる。 |
| 環境影響 |
: |
生分解性良好。 |
| 物理的及び化学的危険性 |
: |
可燃性の液体(引火点62℃)2)。
温度が高い場所では、爆発性混合ガスを作る可能性がある。 |
| 分類の名称(分類基準は日本方式) |
: |
急性毒性物質 引火性液体 |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
被災者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。身体を毛布などでおおい、保温して安静に保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
意識はないが呼吸している場合、または意識はあるが呼吸困難の場合は、酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うのが望ましい。
医師の指示なしに酸素以外の施薬をしたり、被災者に口からものを与えてはならない。直ちに医師の手当てを受ける。 |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服、靴等は速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば衣服等を切断する。水または微温湯を流しながら洗浄する。石鹸を用いてよく洗い流す。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、直ちに医師の手当てを受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
コンタクトレンズを用いている場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間以上洗った後、直ちに眼科医の手当てを受ける。洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたの隅々まで水がよく行きわたるように洗浄する。 |
| 飲み込んだ場合 |
: |
吐かせようとしてはならない。揮発性液体なので、吐き出させるとかえって危険性が増す。
水でよく口の中を洗わせる。口から何も与えてはならない。
嘔吐が自然に起こったときは、気管への吸入が起きないように身体を傾斜させる。
保温して、速やかに医師の手当てを受ける。
|
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
粉末、泡(耐アルコール泡)、二酸化炭素、噴霧水 |
| 特定の消火方法 |
: |
火災発生場所周辺に関係者以外の立入を禁止する。
初期の消火には、粉末、二酸化炭素を用いる。
大規模火災の際には、泡(耐アルコ−ル泡)消火剤を用いて空気を遮断することが有効である。
周辺火災の場合には、周囲の設備などに散水して冷却する。
また、移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。 |
| 消火を行う者の保護 |
: |
消火作業の際には自給式呼吸器等の保護具を着用する。 |
6.漏出時の措置
| 人体に対する注意事項 |
: |
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入を禁止する。
作業の際は保護具を着用し、飛沫が皮膚に付着したり、ガスを吸入しないように注意する。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
付近の着火源となりそうなものを速やかに取り除く。 |
| 除去方法 |
: |
危険がなく、可能な場合は漏洩を止める。
少量の場合;
乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ、密閉できる容器に回収する。
多量の場合;
盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。 |
| 二次災害の防止策 |
: |
多量の場合には、下水、側溝等に入り込まないように注意する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.吸入を防ぎ、目、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ、適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取扱う場合は、蒸気の発散源を密閉する設備、または局所排気装置を設ける。
4.取扱い後は、手洗い、洗顔を十分に行い、また衣服に付着した場合は着替える。
5.漏れ、溢れ、飛散を防ぎ、みだりに蒸気を発生させない。
6.火気、火花、ア−クを発生するもの、または高温点火源付近で使用しない。
7.取扱い場所で使用する電気機器は防爆構造のものとし、機器類には静電気対策を講じる。 |
| (容器の取扱い) |
: |
8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器をみだりに転倒させ、衝撃を加え、または引きずる等乱暴な取扱いをしない。
10.容器から出し入れするときは、こぼれないようにする。 |
| 保管 |
: |
11.使用済容器は一定の場所を定めて保管する
12.容器は直射日光を避け、通風の良い、冷暗所にて保管する。
13.保管場所は火気厳禁とする。
14.酸化性物質、有機過酸化物と同一の場所で保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 設備対策 |
: |
蒸気の発散源を密閉する設備または局所排気装置を設置する。
取扱い場所の近くに緊急用安全シャワー、手洗い及び洗眼設備を設置し、その位置を明確に表示する。 |
| 管理濃度 |
: |
25 ppm(労働省告示第26号 1995.3.27) |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会(2002年版)
設定されていない。
ACGIH(2002年版)TLV− TWA(時間荷重平均)20
ppm1)(97 mg/m3)(皮膚吸収性あり)1) (中枢神経系統検討中)1)
OHSHA(2002年版)50 ppm(240 mg/m3) |
| 保護具 |
: |
| 呼吸器の保護具 |
: |
送気マスク、空気呼吸器、有機ガス用防毒マスク |
| 手の保護具 |
: |
耐油性保護手袋 |
| 目の保護具 |
: |
保護眼鏡 |
| 皮膚及び身体の保護具 |
: |
耐油性保護長靴、耐油性前掛 |
|
9.物理的及び化学的性質
| 外観 |
|
|
| 物理的状態 |
: |
液体 |
| 色 |
: |
無色透明 |
| 臭い |
: |
特徴あるエーテル臭 |
| pH |
: |
測定項目に該当しない。 |
物理的状態が変化する
特定の温度/温度範囲 |
|
|
| 沸点 |
: |
171〜172 ℃ 2) 170.8℃10) |
| 融点 |
: |
-68.1 ℃2) |
| 引火点 |
: |
64 ℃(密閉式) 62℃(密閉式)2) |
| 発火点 |
: |
238 ℃2) |
| 爆発特性 |
|
|
| 爆発限界 |
: |
下限;1.1%(93℃) 上限;12.7%(135℃)2) |
| 蒸気圧 |
: |
0.114 kPa (0.852 oHg) (25
℃) |
| 相対蒸気密度 |
: |
4.07 (空気 = 1) 2) |
| 比重 |
: |
0.9012 (20 ℃) 2) 0.898(25℃)10) |
| 溶解性 |
|
|
| 水 |
: |
易溶 |
| その他溶媒 |
: |
多くの有機溶剤に溶ける。 |
| オクタノール/水分配係数 |
: |
-0.832) -0.813) |
10.安定性及び反応性
| 安定性 |
: |
通常の取扱い条件においては安定である。 |
| 反応性 |
: |
可燃性の液体である。爆発性の過酸化物を生成することがある。強酸化剤と反応して、火災や爆発の危険をもたらすことがある。 |
| その他 |
: |
温度が高い場所では、爆発性混合ガスを作る可能性がある。 |
11.有害性情報
| ヒトへの影響 |
|
|
| 急性毒性 |
: |
知見なし。 |
| 局所効果(皮膚、目) |
: |
知見なし。 |
| 感作性 |
: |
知見なし。 |
| 慢性・長期毒性 |
: |
知見なし。 |
| 発がん性 |
: |
ACGIH(A3:ヒトとの関連性が認知されていない動物で確認された発がん性物質)。1) |
| 変異原性 |
: |
知見なし。 |
| 催奇形性 |
: |
知見なし。 |
| 生殖毒性 |
: |
知見なし。 |
| その他 |
: |
推定職業暴露量と溶血作用のNOAEL(no observed adverse
effects Level:最大無有害性影響量)
とを比較すると、リスクの可能性は一般に低いことが示される。3) |
| 動物への影響 |
|
|
| 急性毒性4)
|
: |
急性暴露後の主な健康影響は目と気道の刺激である。3)
| 吸入 |
|
|
ラット |
LC50 |
450 ppm(4hr) 486mg/kg(4hr)10) |
|
|
|
マウス |
LC50 |
700 mg/ kg(7hr) |
| 経口 |
|
|
ラット |
LD50 |
470 mg/ kg |
|
|
|
|
|
530 mg/ kg |
|
|
|
マウス |
LD50 |
1,230 mg/ kg10) |
| 経皮 |
|
|
ウサギ |
LD50 |
220 mg/ kg |
| 溶血 |
NOAEL |
|
ラット |
24.6ppm |
(22.5mg/kg/日) |
|
| 局所効果(皮膚、目)5) |
: |
皮膚 ウサギ 非常に弱い
目 ウサギ 中程度(結膜への刺激、弱い角膜障害があるが数日で回複) |
| 感作性 |
: |
知見なし。 |
| 亜急性毒性・慢性毒性5) |
: |
亜急性及び慢性毒性の主なものは、貧血などの血液学的影響と精巣障害である。
1. 吸入:ラット55 ppm、マウス100 ppmで赤血球の一時的破壊が見られたが、モルモットでは494
ppmで影響はなかった。
2. 経口:マウスで500 mg/kg、1,000mg/kgで用量に依存した赤血球減少が見られた。
3. 精巣障害は吸入 ラット250ppm、30日間では見られなかった。経口では、マウス1,000mg/kg/5日/週で、投与数の1/5に精巣萎縮が見られた。 |
| 発がん性 |
: |
知見なし。 |
| 変異原性5) |
: |
サルモネラ菌を用いるAmes 試験の結果は陰性である。 |
| 催奇形性5) |
: |
吸入(ラット、ウサギ)及び経皮(ラット)の各試験で催奇形性はないという結果が得られている。
50、100、300 ppmで6時間/日、妊娠したウサギに吸入暴露した。50 ppmでは母体にも胎仔にも影響はなかった。
100、300 ppmでは、母体への毒性、胎仔毒性が見られたが、催奇形性は見られなかった。 |
| 生殖毒性 |
: |
知見なし。 |
| その他 |
: |
知見なし。 |
12.環境影響情報
| 残留性/分解性 |
: |
生分解性良好。化審法の既存化学物質点検で生分解性良好物質とされている。
分解率(BOD/TOD) 非馴化汚泥使用 31% 馴化汚泥使用 73%6)、9) |
| 蓄積性 |
: |
生物蓄積しない。3) |
| 生態毒性 |
|
|
| 魚毒性 |
: |
金魚 LC50 1,700 mg/L(24hr)6) |
|
|
ブルギル LC50 1,490 mg/L(96hr) |
13.廃棄上の注意
| 1. |
廃棄は焼却または活性汚泥処理によって行い、その方法は次のいずれかによる。 |
|
| 1) |
おがくず、ウエス等に吸着させ、焼却炉で焼却する。 |
| 2) |
焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する。 |
| 3) |
低濃度の廃水は活性汚泥処理装置でも処理できる。 |
|
| 2. |
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去した後に処分する。 |
| 3. |
廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に内容物を明確にして処理を委託する。 |
14.輸送上の注意
| 国際規制 |
: |
IMDG(国際海上危険物規則)コード:ハザードクラス6.1(Toxic
substances), Packing groupV
ICAO-TI(国際民間航空機関技術指針)/IATA-DGR(国際航空運送協会危険物規則):ハザードクラス6.1(Toxic
substances), Packing groupV |
| 国連分類 |
: |
クラス6.1(毒物) 国連番号:2810 7)、8) |
| 国内規制 |
|
|
| 消防法 |
: |
危険物第4類第2石油類(水溶性液体)指定数量2000リットル |
| 船舶安全法 |
: |
|
| 航空法 |
: |
|
| 輸送の特定の安全対策及び条件 |
: |
1.車両等によって運搬する場合、荷送人は運送人に運送注意書(イエロ−カ−ド)を交付し、携帯させる。
2.容器の破損、洩れのないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、損傷のないように積み込み、荷崩れ防止を確実に行う。
3.タンク車(ロ−リー)等への充填、積み込み、積み降しの際は平地に停止させ、車止めをし接地する。タンク車の許容圧以下の圧縮ガスまたはポンプを用いて行う。
ホ−スの脱着時はホ−ス内の残留物の処理を完全に行う。
4.ロ−リ−、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。 |
15.適用法令
化学物質管理促進法
(PRTR法) |
: |
対象外 |
| 労働安全衛生法 |
: |
法第56条に基づく作業環境を測定すべき物質
法第57条 名称等を表示すべき有害物
法第57条の2 通知対象物 政令番号第80号
施行令別表第1 危険物(引火性のもの)
施行令別表第6の2 有機則:第2種有機溶剤
|
| 毒物・劇物取締法 |
: |
対象外 |
| 海洋汚染防止法 |
: |
施行令別表第1 ばら積み運送における有害液体物質(D類物質) |
| 消防法 |
: |
第2条危険物第4類第2石油類(水溶性液体) |
16.その他
引用文献
| 1) |
ACGIH Documentation of the Threshold Limit Values 2002 |
| 2) |
経産省監修、化学品検査協会編集:化学物質ハザードデータ集vol.2,
P.2551(第一法規) |
| 3) |
SIDS初期評価プロファイル(Screening Information
Data Set for High Volume Chemicals OECD Initial
Assessment vol.7)日本化学物質安全・情報センター(JETOC)情報B vol.25,No.1,
P.43(2003) |
| 4) |
NIOSH:Registry of Toxic Effects of Chemical Substances(1997) |
| 5) |
Health and Safety Excutive:Toxicity Review No.10(1985) |
| 6) |
A.L.Bridie et al:用水と廃水vol.22,No.3,P.83 (1980) |
| 7) |
http://stnweb-japan.cas.org/html/english/(MSDS-OHS) |
| 8) |
Recommendations on the Transport of Dangerous Goods
Model Regulations 11th.Rev.ed.,P.230(1999) |
| 9) |
Karel Vershueren:Handbook of environmental Data on
Organic Chemicals(3rd.ed.) VAN NOSTRAND REINHOLD Co.(1996) |
| 10) |
Patty's Industrial Hygiene and Toxicology 4th
Edition P.2765,2795 (1994) |
|