整理番号:No.39 |
石 油 化 学 工 業 協 会
作成 1988年3月
改訂 2003年3月 |
1.製品の名称 プロピレングリコール
2.組成、成分情報
| 化学名 |
: |
プロピレングリコール |
| 別名 |
: |
1,2-プロパンジオ−ル 1,2-ジヒドロキシプロパン |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
CH3CH(OH)CH2OH (分子量76.11) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法・安衛法(2)−234 |
| CAS No. |
: |
57−55−6 |
3.危険有害性の要約
| 最重要危険有害性 |
|
|
| 有害性 |
: |
毒性は弱い。 |
| 環境影響 |
: |
生分解性良好。 |
| 物理的及び化学的危険性 |
: |
加熱すると引火しやすい。(引火点99℃) |
| 分類の名称(分類基準は日本方式) |
: |
分類基準に該当しない。 |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
通常の取扱いでは蒸気圧が低いので危害はないものと考えられる。
大量に吸入した場合には、直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布などで覆い、保温して安静を保つ。呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣服をゆるめ呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
必要に応じ医師の手当を受ける。 |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。
その後、多量の水又は微温湯、石鹸を使ってよく洗浄する。外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、医師の手当を受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間洗浄した後、直ちに眼科医の手当てを受ける。
洗眼の際、瞼を手でよく開いて、眼球、瞼のすみずみまで水がよく行き渡るように洗浄する。 |
| 飲み込んだ場合 |
: |
水で口の中をよく洗う。
意識のない場合には、水等を与えてはならないし、吐かせようとしてもならない。
保温して直ちに、医師の手当を受ける。 |
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
水(霧状の水)、粉末、泡(耐アルコ−ル性)、二酸化炭素 |
| 特定の消火方法 |
: |
火災発生場所の周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。
初期の消火には水(霧状の水)、粉末、二酸化炭素などを用いる。
大規模火災の際には、泡(耐アルコール性)消火剤などを用いて空気を遮断することが有効である。
周辺火災の場合は、周辺の設備などに散水して冷却する。
移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。
|
| 消火を行う者の保護 |
: |
消火作業の際には、自給式空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。 |
6.漏出時の措置
| 人に対する注意事項 |
: |
付近の着火源となるものを速やかに取り除く。風下の人を退避させる。
漏洩した場所の周辺に、ロ−プを張るなどして人の立入りを禁止する。
作業の際には必ず保護具を着用し、飛沫が皮膚に付着したり、蒸気を吸入しないように注意する。
危険なくできるときは、漏洩を止める。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
大量に漏出した場合、土砂等でその流出を防止し、安全な場所に導き、密閉可能な空容器にできるだけ回収し、そのあとを多量の水を用いて洗い流す。
この場合、濃厚な廃液が河川等に入り込まないように注意する。 |
| 除去方法 |
: |
少量漏出の場合には、乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ密閉できる容器に回収する。
大量の場合、土砂等でその流出を防止し、安全な場所に導き、密閉可能な空容器にできるだけ回収し、そのあとを多量の水を用いて洗い流す。
この場合、濃厚な廃液が河川等に入り込まないように注意する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.吸入を防ぎ、目、粘膜、皮膚及び衣類との接触を避ける。
必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.室内で取扱う場合は、蒸気の発散源の密閉化又は局所排気装置を設けることが望ましい。
3.取扱い後、手洗い、洗顔を十分に行う。衣服に付着した場合は、着替える。
4.漏れ、あふれ、飛散を防ぎ、蒸気を発散させない。
5.取り扱い場所では、火気、火花、アークを発生するもの、又は高温点火源、強酸化剤を使用しない。
6.静電気対策を厳重に行い、作業衣、作業靴は導電性の良いものを使用する。
(容器取扱い):
7.流動によって静電気が発生することがあるので、出し入れの容器にアースを取る。
8.容器は物質が吸湿性のため、密栓容器を用いる。
9.空容器に穴をあけたり火中に投げ込まない。
10.使用済み容器は一定の場所を定めて保管する。 |
| 保管 |
: |
11.消防法に定められた距離を取り、建屋は不燃構造とする。火気厳禁とする。
12.保管はボイラ−等熱源付近、直射日光を避け、40℃以下の場所とする。
13.換気の悪い場所、浸水のおそれのある低所に保管しない。
14.酸化性物質、有機過酸化物と同一の場所で保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 設備対策 |
: |
屋内作業場での使用の場合は、発生源の密閉化又は局所排気装置を設置する。
電気計装機器類は必要に応じ、防爆構造のものとし、裸電球を使用しない。
取扱い場所の近くに安全シャワ−、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示する。 |
| 管理濃度 |
: |
設定されていない。 |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会(2002年版):設定されていない。
ACGIH(2002年版):設定されていない。 |
| 保護具 |
: |
| 呼吸器の保護具 |
: |
状況に応じ有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器 |
| 手の保護具 |
: |
保護手袋 |
| 目の保護具 |
: |
保護眼鏡、保護面 |
| 皮膚及び身体の保護具 |
: |
保護長靴 |
|
9.物理的及び化学的性質
| 外観 |
|
|
| 物理的状態 |
: |
液体 |
| 色 |
: |
無色透明 |
| 臭い |
: |
ほとんどない。 |
| pH |
: |
測定できない。 |
| 物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲 |
| 沸点 |
: |
187 ℃(1,013 Pa) |
| 融点 |
: |
-59℃(流動点)以下 |
| 引火点 |
: |
99℃(密閉式), 107℃(開放式) |
| 発火点 |
: |
421 ℃ |
| 爆発特性 |
|
|
| 爆発限界 |
: |
下限2.6 vol % 上限12.5 vol
% |
| 蒸気圧 |
: |
10.7 Pa = 0.08 mmHg(20 ℃)
|
| 相対蒸気密度 |
: |
2.62(空気 = 1) |
| 比重 |
: |
1.038(20/20 ℃) |
| 溶解性 |
|
|
| 水 |
: |
可溶 |
| その他の溶媒 |
: |
アルコール、アセトン等に完全溶解 |
| オクタノール/水分配係数 |
: |
log Pow = -0.92 〜 -1.32
|
10.安定性及び反応性
| 安定性 |
: |
通常の取扱い条件では安定 |
| 反応性 |
: |
通常の取扱い条件では安定 |
| 危険有害な分解生成物 |
: |
なし |
11.有害性情報
| ヒトへの影響 |
|
|
| 急性毒性 |
: |
医療用製剤の溶媒としてプロピレングリコールを使用した際、幼児で痙攣、全身性の毒性、浸透圧異常による障害などがみられたが、大事に至ることはなかったと報告されている。1,2,3)
医療用製剤の溶媒としてプロピレングリコールを使用した際、成人で中枢神経への影響がみられた症例が報告されている。4) |
| 局所効果(皮膚、目) |
: |
ヒトがプロピレングリコールの蒸気に曝露した場合、眼への刺激作用はない。6)
ヒトの皮膚に直接接触した場合、開放系では刺激作用はないが、密閉系では刺激作用がみられた。6,
7)
10〜30%溶液の2週間の反復塗布では刺激性を誘発するが、1〜10%では刺激性はみられなかった。6)
文献によっては、眼の刺激作用について一過性の痛みや眼瞼痙攣、流涙が報告されている。8)
皮膚に接触すると、脱水作用を誘発するヒトもいる。6)
|
| 感作性 |
: |
20%水溶液では少数例(1.5%)に感作性の陽性が報告されたが、研究報告によって発生率に差があり、
1%水溶液でも陽性反応を示すヒトもいる。9,
10, 11, 12) |
| その他 |
: |
化粧品中への使用濃度は50%までは安全であると報告している文献もある。5)
・代謝関連情報:血中からの半減期は4時間である。
ヒトでは、製剤の溶媒として直接静脈内投与された場合、乳酸アシドーシスを誘発することが知られている。そのメカニズムはD体乳酸の血中濃度が上昇するためと考えられている。19,
20) |
| 動物への影響 |
|
|
| 急性毒性13) |
: |
| 経口 |
ラット |
LD50 |
20,000mg/kg |
|
マウス |
LD50 |
22,000mg/kg |
|
イヌ |
LD50 |
22,000mg/kg |
|
ウサギ |
LD50 |
18,500mg/kg |
|
モルモット |
LD50 |
18,400mg/kg |
| 経皮 |
ラット |
LD50 |
22,500mg/kg |
|
マウス |
LD50 |
17,400mg/kg |
|
ウサギ |
LD50 |
20,800mg/kg |
|
モルモット |
LD50 |
15,500mg/kg |
|
| 局所効果(皮膚、目) |
: |
モルモット、ウサギおよびミニブタでは皮膚刺激性はなかった。6)
直接点眼した場合、軽度な刺激作用がある。6)
50%溶液では眼刺激作用はなかった。6)
サルとラットでは気中濃度が飽和状態のプロピレングリコールに12-18ケ月間曝露しても呼吸器系への影響や重篤な毒性影響は誘発されなかった。6) |
| 感作性 |
: |
データなし。 |
| 慢性・長期毒性 |
: |
6,250〜50,000 ppmをラットに13週間あるいは2年間、混餌投与しても毒性影響は誘発されなかった。14)
イヌでは2,000 mg/kg/日の用量で2年間、混餌投与しても重篤な毒性影響はあらわれなかった。15)
雌雄ラットの鼻に局部的に、気中濃度 0、0.16、1.0 および 2.2 mg/l を1日6時間、1週5日間の割合で90日間吸入曝露した。
いずれの曝露群でも、呼吸機能や臨床生化学的および血液学的検査値は影響されなかった。
中および高用量の曝露群では、鼻腔粘膜の胚細胞数の増加と粘液の増加が観察された。
高用量の曝露群では鼻血や眼への刺激症状があらわれた。雌の高用量曝露群では曝露43日目に摂餌量は減少し、50日目には体重が減少した。16) |
| 発がん性 |
: |
ラットおよびイヌの2年間の長期混餌投与試験で腫瘍形成はみられなかった。14,
15)
ラットおよびマウスへの反復皮膚塗布試験でも腫瘍形成はみられなかった。19) |
| 変異原性 |
: |
Ames試験、およびチャイニーズハムスター肺線維芽細胞を用いた染色体異常試験で陰性を示した。17,
18) |
| 催奇形性 |
: |
哺乳動物の試験データはない。
ニワトリ卵嚢胚中に被験物質を0.05 mlを注入しても、変化はなかった。
しかし、注入する時期を変えると小肢症がみられる場合がある。6,
19) |
| 生殖毒性 |
: |
マウス継代試験で5%のプロピレングリコールを給水投与しても親にも次世代の繁殖および生殖に影響はなかった。21) |
| その他 |
: |
家畜への影響:授乳期の牛、ニワトリのヒナ、ブロイラーを用いた反復混餌投与試験でも特記すべき毒性影響はなかった。19,
20)
|
12.環境影響情報6)
| 残留性/分解性 |
: |
容易に生分解される(1991.12.27通産省公報)
好気性の条件下において4日間で100%、嫌気性下では4〜9日間で100%分解される。
BOD 1.08 g/g、COD(Cr)1.68 g/g、COD(Mn) 0.72 g/g |
| 生体蓄積性 |
: |
BCFは1以下である。 |
| 生体毒性 |
|
|
| 魚毒性 |
: |
データなし。 |
| その他 |
: |
・土中における運命:Microcystis aeruginoza 8d
EC0 = 6 ppm13)
Scenedesmus quadricauda 7d EC0 = 5.4
ppm13)
・気中における運命:分解され炭酸ガスになる。光分解される。半減期は
32時間である。6) |
13.廃棄上の注意
廃棄は焼却によって行う。 その方法は、次のいずれかによる。
少量の場合、おがくず、ウエス等に吸着させ、
または、火室へ噴霧して焼却炉で少量ずつ焼却する。
その際消火器を用意し、見やすいところに処理中であることを表示する。
空容器を廃棄するときは、水洗、水蒸気吹き込みにより完全に付着した内容物を除去して処分する。
また、その廃水は活性汚泥等での処理を行う。
多量に廃棄物が発生した場合には、免許を持つ専門業者に処理を依頼する。
|
14.輸送上の注意
| 国際規制 |
|
|
| IMDGコード |
: |
危険物に該当しない。 |
| ICAO-TI/IATA-DGR |
: |
危険物に該当しない。 |
| 国連分類 |
: |
危険物に該当しない。 |
| 国連番号 |
: |
なし |
| 国内規制 |
|
|
| 消防法 |
: |
危険物第4類第3石油類 水溶性液体 危険等級3(指定数量
4,000リットル) |
| 輸送の特定の安全対策及び条件 |
: |
車両等によって運搬する場合は、輸送人に運送注意書(イエローカード)を渡す。
容器の破損、漏れのないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、損傷がないように積込み、荷くずれの防止を確実に行う。
タンク車(ロ−リ−)等への充填、積みおろしの際は、平地に停止させ、車止めをする。
更に接地する。
サイドブレ−キをかけエンジンを止める。
タンク車の許容圧力以下の圧縮ガス又は、ポンプを用いて行う。
ホ−スによる注入作業の際はホ−スの接合部を確実に締めつけ、又は結合したことを確認する。
ホ−ス脱着時は、ホ−ス内の残留物の処置を完全に行う。
ロ−リ−、運搬船には所定の標識板・消火設備・災害防止用応急資材をそなえる。
|
15.適用法令
| 消防法:危険物第4類第3石油類 水溶性液体
危険等級3(指定数量 4,000リットル)
|
16.その他の情報
| 1. |
Central nervous system toxicity associated
with ingestion of propylene glycol.
J Pediatrics Vol.93 pp 515-516 1987
|
| 2. |
Propylene glycol: A potentially toxic vehicle
in liquid dosage form.
J Pediatrics Vol.77 pp 877-878 1970
|
| 3. |
Hyperosmolarity in small infant to propylene
glycol.
Pediatrics Vol.72 pp 353-355 1983
|
| 4. |
A case of propylene glycol toxic reaction
associated with etomidate infusion.
J Anal Toxicol Vol.9 pp 40-42 1985
|
| 5. |
J Amer Coll Toxicol 13(6) pp 437-491 1994
|
| 6. |
Hazardous Substance Data Bank(HSDB) 2002
Silver Platter Chem Bank |
| 7. |
Contact Dermatitis Vol.8 pp 185-189 1982
|
| 8. |
Dermatitis Vol.31 (3) pp 74-78 1983 |
| 9. |
Contact allergy from propylene glycol.
Contact Dermatitis Vol.7 pp 197-198
1981
|
| 10. |
Propylene glycol dermatitis.
J Am Acad Dermatol Vol.24 (1) pp 90-95
1991
|
| 11. |
Contact allergy to propylene glycol.
Dermatol Clin Vol.8 pp 111-113 1990
|
| 12. |
Allergic contact dermatitis from propylene
glycol in Zovirax cream.
Contact Dermatitis Vol.30 pp 119 1994 |
| 13. |
NIOSH: Registry of Toxic Effects of Chemical
Substances(RTECS) (2002)
Toxicology & Applied Pharmacology
Vol.45
pp 362 1978
Interagency Collaborative Group on
Environmental
Carcinogenesis, NCI,
memorandom, June 17,1974
J Pharmacol Experimental Therapeutics
Vol.65
pp 89 1939
Kriobiologiya i Kriomeditsina Cryobiology
& Cryomedicine. No8 p 46 1981
J Industrial Hygiene & Toxicology
Vol.21
pp 173 1939
FAO Nutrition Meetings Report Series
53A,
pp 491 1974
Raw Material Data Handbook Vol.1: Organic
Solvents, 1974
J Industrial Hygiene & Toxicology
Vol.23
pp 259 1941
National Technical Information Service
(NTIS)
PB280-477
|
| 14. |
Long-term toxicity of propylene glycol In
rats.
Fd Chem Toxic Vol.10 pp 151-162 1972 |
| 15. |
Results of feeding propylene glycol in the
diet to dogs for two years.
Fd Chem Toxic Vol.9 pp 479-490 1971
|
| 16. |
Subchronic nose-only inhalation study of
propylene glycol in SD rats
Fd Chem Toxic Vol.27 (2) pp 573-583
1989
|
| 17. |
Environ Mutagenesis Vol.5 pp 14-15 &
46-47 & 126-127 1983 |
| 18. |
Ishidate M ed., Chromosomal Aberration Test
in vitro. 1987 |
| 19. |
Patty's Industrial Hygiene and Toxicology,
3rd Ed. pp 3852-3861 1982 |
| 20. |
Arch Gefleugelkund Vol.37 pp 187 1973 |
| 21. |
Med Biol Vol.86 (10) pp 35 1986 |
| 22. |
Propylene glycol as a cause of lactic acidosis.
J Anal Toxicol Vol.9 pp 40-42 1985
|
| 23. |
Kinetics of propylene glycol elimination
and metabolism in rat.
Biochem Med Metab Biol Vol.39 pp 90-97
1988
|
| 24. |
Kinetics of oral propylene glycol-induced
acute hyperlactemia.
Biochem Med Metab Biol Vol.42 pp 87-94
1989
|
| 25. |
Propylene glycol ingestion caused D-lactic
acidosis.
Lab Invest Vol.62(1)pp 114-118 1990 |
 |
|