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整理番号:No.37
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1988年 3月
改訂   2003年11月

1.製品の名称  エピクロルヒドリン


2.組成、成分情報

化学名 エピクロルヒドリン
別名 3-クロロー1,2-エポキシプロパン
含有量 99%以上
化学式 C3H5ClO(分子量92.52)
官報公示整理番号 化審法・安衛法(2)−275
CAS No. 106−89−8

3.危険有害性の要約

最重要危険有害性
 有害性 強い急性毒性を示す。皮膚、眼・呼吸器粘膜に対して強度の刺激性がある。皮膚感作性物質である。発がん性の可能性がある物質である。
 環境影響 水生生物に対して有害性を示す。
 物理的及び化学的危険性 引火性である。32℃以上では蒸気/空気の爆発性混合気体を生じる。加熱すると分解し、有害な気体(ホスゲン、塩化水素)などを生じるおそれがある。火気厳禁。
分類の名称 急性毒性物質、引火性液体、その他の有害性物質

4.応急措置

吸入した場合 被曝者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させ、体を毛布などで覆い、保温して安静を保つ。呼吸が弱かったり、止まっている場合は、衣類をゆるめ呼吸気道を確保した上で酸素吸入または人工呼吸を行う。肺水腫を起こすおそれがあるため、直ちに医師の診断を受ける。呼吸をしていて嘔吐がある場合は頭を横に向ける。意識がない場合は口から何も与えてはならないし、吐かせようとしてはならない。
皮膚に付着した場合 汚染された衣類、靴などを速やかに脱ぎ捨てる。製品に触れた部分を水又は微温湯で流しながら洗浄する。この製品が皮膚に触れた場合、寸秒でも早く洗浄を始め、付着した製品を完全に洗い流す必要がある。洗浄を始めるのが遅れたり不十分であると、皮膚の傷害を生じるおそれがある。傷害の生じた部分をこすったり押さえたりしてはならない。水ぶくれをつぶしたり皮膚を剥がしてはならない。直ちに医師の診断を受ける。この製品は引火性なので、火気に注意して措置する。
目に入った場合 清浄な水で最低30分間眼を洗浄した後、直ちに眼科医の診断を受ける。この製品が眼に入った場合、寸秒でも早く洗浄を始め、入った製品を完全に洗い流す必要がある。洗浄を始めるのが遅れたり不十分であると、眼の傷害を生じるおそれがある。洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたのすみずみまで水がよく行き渡るように洗浄する。コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。
飲み込んだ場合 水で口の中をよく洗浄する。コップ1〜2杯の水または牛乳を与えて胃内で薄めてもよい。吐かせると却って危険が増す。無理に吐かせてはならない。体を毛布などで覆い、保温して安静を保つ。直ちに医師の診断を受ける。必要に応じて、人工呼吸や酸素吸入を行う。呼吸していて嘔吐がある場合は、頭を横に向ける。意識がない場合は、口から何も与えてはならないし、吐かせようとしてはならない。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、水噴霧、耐アルコール泡、二酸化炭素
特定の危険有害性 燃焼ガスには、COやCCl2O、HClなどの有害ガスが含まれるので消火作業の際には煙を吸入しないように注意する。
特定の消火方法 火元への燃焼源を断ち、適切な消火剤を使用して消火する。
消火作業は可能な限り風上から行う。火災発生場所の周辺に関係者以外の立入りを禁止する。
燃焼または高温によりCO,CCl2O,HCl等の有害ガスが発生することがあるので、呼吸用保護具を着用する。
初期消火には粉末、二酸化炭素等を用いる。
大規模火災の場合は、噴霧注水、または耐アルコール泡で一挙に消火する。
容器周辺が火災のときは、容器を安全な場所に移動する。
移動ができないときは、容器に注水して冷却する。
消火を行う者の保護 火作業は風上から行い、有害なガスの吸入を避ける。必ず適切な保護具(手袋、眼鏡、マスク等)を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 屋内の場合、処理が終わるまで十分に換気を行う。
作業の際には適切な保護具を着用し、飛沫等が皮膚に付着したり、ミスト、ガスを吸入しないようにする。
風下の人を退避させ、風上から作業する。
付近の着火源となるものを速やかに取り除く。着火した場合に備えて、消火用器材を準備する。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止する。
環境に対する注意事項 漏出物を河川や下水に流してはいけない。
除去方法 少量の場合は、乾燥砂、土、おがくず、ウェス等に吸収させて、密閉できる空容器に回収する。
大量に漏出した場合は、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから処理する。
漏れた液を密閉できる空容器にできる限り回収する。
残留液を乾燥砂または不活性吸収物質に吸収させて、安全な場所に移す。
二次災害の防止 火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い
 技術的対策 換気のよい場所で取扱う。屋外で取扱う場合は、できるだけ風上から作業する。
取扱い場所には関係者以外の立入りを禁止する。
取扱い場所の近くに、緊急時に洗眼及び身体洗浄を行うための設備を設置する。
着衣、皮膚、粘膜に触れたり、眼に入らないように適切な保護具を着用して取扱う。
休憩場所には、手洗い、洗眼等の設備を設け、取扱い後に手、顔などをよく洗い、うがいをする。
また、休憩場所には汚染された保護具を持ち込んではならない。火気厳禁。
 注意事項 容器を転倒、落下させる、引きずるまたは容器に衝撃を加える等の粗暴な取扱いをしない。
全体換気設備のあるところで取扱う。
 安全取扱い注意事項 保護具の着用。大気開放を避ける。
開放で取り扱う場合は局所吸引による除害設備を使用する。
保管
 保管条件 直射日光を避け、乾燥した冷暗所に保管する。
容器を密閉し異物の混入を避けて、通気のよい場所に保管する。
施錠された施設内に保管する。
食物、飼料から離しておく。
火気厳禁。
 技術的対策 耐火設備に貯蔵する。火気、熱源より遠ざける。
強塩基、強酸化剤、有機過酸化物及び金属から離しておく。
 混触禁止物質 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、過酸化物、アルミニウム、亜鉛、金属粉末、アルコール、フェノール、アミン類、有機酸
 容器包装材料 推奨:鋼及びステンレス鋼は無水物の場合は耐食性がある。
不適切:アルミニウムは腐食される。湿気と結合すると、鋼を腐食する。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 密閉された装置、機器または局所排気装置を設置する。
取扱い場所の近くに洗身シャワー、手洗い、洗眼設備を設ける。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
許容濃度 管理濃度 未設定
日本産業衛生学会(2003年度版) 未設定
ACGIH(2003年度版) 0.5 ppm (TWA) (経皮吸収)
保護具
呼吸器の保護具 防毒マスク(有機ガス用)、送気マスク
手の保護具 不浸透性保護手袋
目の保護具 ゴーグル型または前面保護眼鏡、防災面
皮膚及び身体の保護具 不浸透性保護衣、保護帽、保護靴等
衛生対策 発散した蒸気、ミストを吸い込まないように適切な保護具を着用して取扱う。

9.物理的及び化学的性質

外観
 物理的状態 液体
 色 無色
臭い クロロホルムに似た刺激臭
pH 情報なし。
物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲
  沸点 117.9℃ (101.3 kPa)
  融点 -48℃
引火点 32℃(タグ密閉式)
発火点 435℃
爆発特性 爆発範囲:3.8-21 %
蒸気圧 1.73 kPa (20℃)
蒸気密度 3.19 (空気=1)
密度 比重:1.1801 (20/4℃)
溶媒に対する溶解性 水:6.58g/100g (20℃)
オクタノール/水分配係数 Log Pow = 0.26

10.安定性及び反応性

安定性 加熱もしくは強酸、強塩基、汚染物質の影響下で重合する。
反応性 水と接触すると徐々に分解する。水を含め、活性水素を含む化合物と発熱的に反応する。
アルミニウム,亜鉛,金属粉末,アルコール,フェノール,アミン類,有機酸と激しく反応する。
避けるべき材料 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、過酸化物、アルミニウム、亜鉛、金属粉末、アルコール、フェノール、アミン類、有機酸
危険有害な分解生成物 燃焼により分解し、CCl2O、HCl等の有害ガスが発生するおそれがある。

11.有害性情報

ヒトへの影響 接触または吸入により、眼、鼻粘膜の刺激性、皮膚の強度刺激性および接触性皮膚炎を生じる。
皮膚パッチテストでアレルギー性反応が認められた。
急性毒性 経口(ラット)  LD50  90-260 mg/kg
経皮(マウス) LD50  250 mg/kg
吸入(ラット)  LC50  250 ppm (8時間)
局所効果 眼 (ウサギ)   : 強度の刺激性あり
皮膚(ウサギ)  : 強度の刺激性あり
感作性 皮膚感作性(モルモット)(Buehler法,Draize法):陽性
慢性毒性・長期毒性
(ラット) 吸入曝露 4週間 (エアロゾル,4-7時間/日)
NOEL 5ppm以下
影響 呼吸困難,気道粘膜刺激性,体重増加の抑制,肺、肝臓、心臓、腎臓、神経系等への影響
発がん性
(ラット)経口投与 104週間
影響 発がん性あり
前胃の扁平上皮癌の発現頻度増加
(ラット)吸入曝露 6週間または144週間
影響 発がん性
鼻腔の扁平上皮癌・乳頭腫、気管支乳頭腫、下垂体腺腫,前胃の扁平上皮細胞癌)
(発癌性評価)
日本産業衛生学会 第2群A
IARC グループ2A
疫学調査で肺がんが認められた報告もあるが、充分な情報ではない。
変異原性
エームズ試験,DNA損傷性試験,姉妹染色分体交換試験 陽性
小核試験 陰性
生殖発生毒性  
(ラット・マウス・ウサギ) 経口投与または吸入曝露
催奇形性なし。胎仔毒性なし
(雄ラット)反復経口投与,吸入曝露
影響:生殖能の低下

12.環境影響情報

残留性/分解性 (活性汚泥) 生分解性試験:分解率18%
生体毒性 (ブルーギル)        LC50(96時間)   35 ppm
(シープスヘッドミノー)  LC50(96時間)   11.8 ppm

13.廃棄上の注意

残余廃棄物 ホスゲン、塩化水素等の有害ガスが発生するおそれがあるので、排ガス洗浄設備を備えた焼却炉で焼却するか、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に処理を委託する。
洗浄水等は、凝集沈殿、活性汚泥などの処理により清浄にしてから排出する。
汚染容器・包装 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去した後に処分する。都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に処理を委託する。

14.輸送上の注意

国連分類 クラス6.1(毒物)
国連番号 UN2023 (エピクロロヒドリン,容器等級U)
国内法規制 毒劇法、船舶安全法、航空法等の規定に従った容器・包装、表示、積載・輸送方法により輸送する。
輸送の特定の安全対策及び条件 消防法危険物第1類、第6類と混載して輸送しない。食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
輸送前に容器の破損、腐食、漏れ等がないことを確認する。
転倒、落下、破損がないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
車輌、船舶には保護具(手袋、眼鏡、マスク等)を備える他、緊急時の処理に必要な消火器、工具などを備えておく。
引火性液体なので火気厳禁。

15.適用法令

化学物質管理促進法 第2条第2項、施行令第1条別表第1、第1種指定化学物質(政令番号第54号)
労働安全衛生法 第57条の5、労働基準局長調達、変異原性が認められた既存化学物質
施行令別表1-4、危険物・引火性の物
第57条の2第1項施行令第18条の2別表第9 名称等通知すべき有害物
毒物及び劇物取締法 2条別表第2 劇物
消防法 第2条危険物別表第4類引火性液体(第2石油類非水溶性液体)
海洋汚染防止法 施行令別表第1 有害液体物質(A類)
船舶安全法 危規則第2,3条危険物告示別表 第1 毒物
航空法 施行規則第194条危険物告示別表第1 毒物類
港則法 施行規則第12条 危険物告示 毒物類
道路法 施行令第19条の13、車輌の通行制限、日本道路公団公示別表(別表第2-4)

16.その他

記載内容は現時点で入手できる資料、情報、データにもとづいて作成しておりますが、含有量、物理化学的性質、危険・有害性等に関しては、いかなる保証をなすものではありません。
また、注意事項は通常の取扱いを対象としたものなので、特殊な取扱いの場合には、用途・用法に適した安全対策を実施の上、ご利用下さい。