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整理番号:No.35
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1986年 5月
改訂    2005年 2月

1.製品の名称  メチルイソブチルケトン


2.組成、成分情報

化学名 メチルイソブチルケトン
別名 4-メチル-2-ペンタノン、MIBK、ヘキソン
成分及び含有量 99%以上
化学特性(化学式又は構造式) (CH3)2CHCH2COCH3 (分子量100.2)
官報公示整理番号(化審法・安衛法) (2)-542
CAS No. 108-10-1

3.危険有害性の要約

最重要危険有毒性
  有害性 ヒトの眼、粘膜に刺激性があり、高濃度では麻酔作用がみられる1)
  環境影響 水圏環境生物に対する急性毒性は弱い1)。生分解性の良好な物質である4)
  物理的及び化学的危険性 強い引火性がある。
主要な症候 眼、粘膜に刺激性が有り、高濃度の吸入では、頭痛、めまい、吐き気などの中枢神経系の症状が起こる1)
分類の名称(分類基準は日本方式) 引火性液体、急性毒性物質

4.応急措置

吸入した場合 患者をただちに空気の新鮮な場所に移し、安静、保温に努め、速やかに医師の手当てを受ける。
呼吸が停止している場合には人工呼吸を行い、呼吸困難な場合には酸素吸入を行う。
皮膚に付着した場合 汚染した衣服や靴を脱ぎ、触れた部位を多量の水で洗い流す。
もし、皮膚に炎症を生じた場合は医師の手当てを受ける。
目に入った場合 ただちに清浄な水で15分以上洗眼した後、医師の手当てを受ける。
コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。
洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたのすみずみまで水がよく行きわたるように洗浄する。
飲み込んだ場合 無理に吐かせてはならない。
揮発性が強いので吐き出させるとかえって肺への吸引等の危険が増す。
コップ1-2杯の水を飲ませ、速やかに医師の手当てを受けさせる。
被災者に意識がない場合には、口から何も与えてはいけない。
嘔吐が自然に起きたときは、気道への吸入が起きないように身体を傾斜させる。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、二酸化炭素、泡(耐アルコール泡)、水噴霧
特定の消化方法 火元への燃焼源を断ち、消火剤を用いて消火する。
又、延焼の恐れのないように水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
危険を伴わず実施できるなら、火災区域から容器を移動する。
棒状水の使用は火災を拡大し危険な場合がある。
消火を行う者の保護 消火作業は風上から行い、場合によっては呼吸保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 1.風下の人を退避させる。
2.漏洩した場所の周辺にはロープを張るなどして、人の立ち入りを禁止する。
3.作業の際には必ず保護具を着用する。風下で作業しない。  
環境に対する注意事項 漏出物が河川等、公共水域に流れないように留意する。
除去方法 1.少量の場合、漏洩した液は土砂、おがくず、ウエスなどに吸着させて密閉できる空容器に回収する。
2.大量の場合、漏洩した液は土砂などで流れを止め安全な場所に導いた後、液の表面を泡などで覆い、できるだけ容器に回収する。
二次災害の防止策 熱、炎、スパークなど着火源となるものを速やかに取り除くと共に、消火剤を用意する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 1.吸い込んだり、眼、皮膚及び衣類に触れないように、適切な保護具を着用し、できるだけ風上から作業する。
2.静電気対策を行い、作業衣、作業靴は導電性のものを用いる。
3.蒸気の発散をできるだけ抑え、作業環境を管理濃度以下に保つようにする。
4.密閉された装置、機器または局所排気装置を使用する。取扱いは換気の良い場所で行う。
 屋外ではできるだけ風上から作業する。
5.高温物、スパーク、火炎を避け、強酸化剤、還元剤との接触を避ける。
6.使用済みの容器は一定の場所を定めて集積する。
7.容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、または引きずる等の粗暴な取り扱いをしない。
保管
  適切な保管条件 1.火気厳禁
2.保管場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類はすべて接地する。
3.容器は直射日光を避け涼しい場所に貯蔵し、密閉して、空気との接触を避ける。
4.ボイラーなど熱源付近や可燃物の近くに置かない。
5.酸化性物質、有機過酸化物、還元剤などと同一場所に置かない。
6.消防法 危険物第4類第1石油類(非水溶性液体)の適用法規に従って保管する。
  安全な容器包装材料 耐火性の容器を使用する。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 屋内作業場での使用の場合は発生源の密閉化又は局所排気装置を設置することが望ましい。
取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示する。
管理濃度 50 ppm
許容濃度
日本産業衛生学会(2004年) 時間加重平均値 50 ppm(200 mg/m3
ACGIH(2004年) TLV− TWA   50 ppm(205 mg/m3
TLV-STEL   75 ppm(307 mg/m3
保護具
呼吸器の保護具 有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、酸素呼
吸器等
手の保護具 耐溶剤性(不浸透性)の手袋
目の保護具 ゴーグル型保護眼鏡、防災面
皮膚及び身体の保護具 保護服、保護長靴(帯電防止用)、保護前掛け

9.物理的及び化学的性質

外観
  物理的状態 液体
   無色透明
臭い 特有な臭い
PH 測定項目に該当しない
物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲
  沸点 116.2 ℃
  融点 -84℃ 
引火点 17℃(密閉)
発火点 457℃ 
爆発特性
  爆発限界 1.4〜7.5 vol %
蒸気圧 2.1 kPa (=16 mm Hg) (21 ℃)
蒸気密度 (空気 = 1) 3.45
密度 0.802g/cm3 (20 ℃)
溶解性
  水に対する溶解性
   水への溶解度 1.8 wt% (20 ℃)
   水の溶解度 2.0 wt% (20 ℃)
   その他の溶媒の溶解性 多くの有機溶剤(ex.ベンゼン、アルコール、エーテル)とよく混和する。
オクタノール/水分配係数 logPow=1.38

10.安定性及び反応性

安定性 通常の取扱い条件では安定。
危険を伴う重合は起こらない。
反応性 空気に暴露すると爆発性過酸化物を生成することがある。
還元剤と激しく反応する。強酸、強アルカリ、強酸化剤、アミン類等と反応する。
避けるべき条件 高温、火炎、スパーク及び着火源。蒸気は空気と混合すると爆発性混合ガスになる。
蒸気は空気より重いので低い所に滞留しやすい。
避けるべき材料 強酸、強アルカリ、強酸化剤、還元剤、アミン類との配合
危険有害な分解生成物 燃焼等によりCO等の有害ガスを発生する恐れがある。

11.有害性情報

ヒトへの影響     
  急性毒性 眼、粘膜に刺激性が有り、高濃度では麻酔作用がみられる1)
主な吸収経路は吸入による経気道からの吸収であるが、皮膚からも容易に吸収され、
経皮吸収による全身中毒の可能性も考えられている1)
2.4-48.8 ppm/2時間の暴露では、頭痛、めまい、吐き気などの中枢神経系の症状が起こる1)
100 ppmに暴露された作業者に頭痛、吐き気、呼吸器刺激性が見られている1)
  局所効果(皮膚、目) 200 ppm/15分間の暴露   眼刺激性1)
慢性・長期毒性 反復または長期の皮膚への接触により、皮膚炎を起こすことがある2)
慢性影響として、眼、鼻、喉への刺激性、脱力感、食欲不振、頭痛、胃痛、吐き気、嘔吐が見られ、
少数には不眠、眠気、動悸、腹痛、胃腸の不調などが報告されている1)
  発がん性 IARCモノグラフおよびNTPには発癌性評価対象物質として取り上げられていない。
ACGIHの発がん性あるいは発がん性を疑われる物質に指定されていない 1)
動物への影響
  急性毒性
経口 ラット LD50 2.08-4.6 g/kg 1)
マウス LD50 1.9-2.85 g/Kg 1)
吸入 ラット LC50 2,000-4,000 ppm(4h)1)
マウス LC50 4,878-12,195 ppm(2h)1)
経皮 ウサギ LD50 3.0 g/kg 1)
局所効果(皮膚、目など)
皮膚刺激 ウサギ 500 mgを24時間適用した実験で、軽度の刺激性を示す1)
目刺激 ウサギ 0.1 mLを適用した実験で中等度の刺激性を示す1)
感作性 報告無し1)
慢性毒性・長期毒性
  反復経口投与毒性 ラットに50、250、1000 mg/kg/日を13週間経口投与した実験で肝臓及び腎臓の重量増加がみられた。
NOAELは50 mg/kg/日1),3)
  反復経皮投与毒性 ラットに300-600 mg/kg/を4ヶ月間経皮投与した実験で、体温の低下、酸素消費量の増加、
皮膚、脳、肝臓、副腎、精巣に用量及び投与期間に依存した形態学的変化がみられている1)
  吸入暴露毒性 ラットとマウスを用いた90日間の吸入実験では1000 ppmまでの濃度では、生命の脅威となるような毒性の徴候は発生しなかった。
しかし、化合物に関連する可逆的な形態学的変化が肝臓及び腎臓内で報告されている。
多数の実験は250 ppmの濃度でもMIBKは肝臓の大きさを増大させる可能性を示している3),4)
発がん性 報告無し。
変異原性 in vitroのマウスリンフォーマ試験で陽性との結果が報告されているが、その他のin vitro試験
(エームス試験、染色体異常試験、不定期DNA合成試験、形質転換試験)及びin vivo試験(小核試験)はいずれも陰性と報告されている1)
催奇形性 マウス及びラットを300、1000、3000 ppmに6時間/日で妊娠6日目から15日までの10日間暴露した実験で、3000 ppmでは母動物に死亡、肝臓重量増加がみられ、胎児に体重減少、骨化遅延がみられたが、催奇形性は認められていない1)
生殖毒性 報告無し1)
代謝 ラットでは生体内に取り込まれた38-54%が25-35時間以内に呼気中に排泄される。
還元されたアルコール体(4-メチル-2-ペンタノール)は硫酸塩もしくはグルクロン酸と抱合し、
尿中に排泄されるか、あるいは中間代謝に入り二酸化炭素に変わる1)

 


12.環境影響情報

移動性 物理化学的性質からみて大気へ移動しうるが、光により速やかに分解する4)
残留性/分解性 生分解性良好(BOD分解率 84%)1), 4), 5)
生体蓄積性 データなし。
生態毒性
  魚毒性
ファットヘッドミノー LC50(96時間) 505 mg/L1)
金魚 LC50(24時間) 450 mg/L 1)
その他
ミジンコ EC50(48時間) 170 mg/L(遊泳阻害)
緑藻(Selenastrum Capricornutum) EC50(96時間) 400 mg/L(増殖阻害)1)
緑藻(Scenedesmus subspiatus) EC50(48時間) 980 mg/L(増殖阻害)1)

13.廃棄上の注意

残余廃棄物 焼却炉の火室へ噴霧し焼却するか、少量の場合は珪藻土等に吸着させて開放型の焼却炉で焼却する。廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に、内容物を明確にして処理を委託する。
汚染容器・包装 空容器を廃棄する場合、内容物を完全に除去した後に処分する。
洗浄水等は、活性汚泥等の処理により清浄にしてから排出する。

14.輸送上の注意

国際規制 IMDG(国際海上危険物規則)コード:クラス3(引火性液体類 P.G.U)、UN1245
ICAO-TI(国際民間航空機関技術指針)/IATA-DGR(国際航空運送協会危険物規則):クラス3(引火性液体)
国連分類     クラス3(中引火点引火性液体、P.G.U)
国連番号 UN1245
国内規制 消防法 危険物 第4類第1石油類(非水溶性液体、指定数量=200L)
  船舶安全法 危規則 危険物 引火性液体類
航空法 危険物 引火性液体
輸送の特定の安全対策および条件
          1. 引火性液体であるので火気厳禁である。
2. 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人にイエローカードを携帯させる。
3. 運搬に際しては容器に漏れの無いことを確かめ、転倒、落下、損傷等が無いように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
4. タンク車(ローリー)等への充填、積み下ろし時は平地に停車させ、車止めをし、接地し、タンク車の許容圧以下の圧縮ガスまたはポンプを用いて行う。
5. ホースの脱着時は、ホース内の残留物の処置を完全に行う。
6. ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。

15.適用法令

労働安全衛生法 施行令別表6の2 有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号 (第2種有機溶剤)
法第65条の2 作業環境評価基準(管理濃度50 ppm)
施行令第18条 名称等を表示すべき有害物
施行令別表1-4危険物(引火性のもの)
法第57条の2、通知対象物 政令番号第567号
毒物及び劇物取締法 対象外
化学物質管理促進法 対象外
消防法  法第2条危険物第4類引火性液体、第1石油類非水溶性液体
船舶安全法 危規則第2,3条危険物告示別表第1(引火性液体類)
航空法 施行規則第194条危険物告示別表第1引火性液体
海洋汚染防止法 施行令別表第一 有害液体物質(D類:メチルブチルケトン)
悪臭防止法 施行令第1条特定悪臭物質

16.その他の情報

1. 既存化学物質安全性(ハザード)シート(独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター:メチルイソブチルケトン)
2. 国際化学物質安全性カード(ICSC番号0511)
3. 化学物質の安全性評価−国連IPCS環境保健クライテリア抄訳−第3集(環境保健クライテリア117)(1998年、化学工業日報社)
4. OECD SIDS Initial Assessment Profile(CAS 108-10-1)
5. 既存化学物質安全性点検データ(旧通産省公報1975年8月27日)