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整理番号:No.34
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1986年 5月25日
改訂    2001年 8月

1.製品の名称  テレフタル酸


2.組成、成分情報

化学名 テレフタル酸
別名 p−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン
含有量 98%以上
化学式 64(COOH)2 (分子量:166.14)
官報公示整理番号 化審法・安衛法(3)−1334
CAS No. 100−21−0

3.危険有害性の要約

最重要危険有害性 粉塵爆発を起こしやすい。
  有害性 蒸気、粉塵は眼、皮膚、気道に刺激性がある。
  環境影響 生分解性良好な物質。魚毒性は低い。
  物理的及び化学的危険性 粉体、粉塵爆発を起こしやすい。
主要な症候 眼、皮膚、気道に刺激性がある。
分類の名称(分類基準は日本方式) 分類基準に該当しない。

4.応急措置

吸入した場合 被災者を直ちに、空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布等で覆い保温して安静を保つ。
鼻や喉の刺激は、水を噴霧し、うがいをすれば和らぐ。
呼吸が止まっている場合又は呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。呼吸困難な場合は、酸素吸入が有効である。(医師の指導の下に行うことが望ましい。)速やかに医師の手当を受ける。
皮膚に付着した場合 汚染された衣類、靴等を速やかに脱ぎ、患部を石けんと水又は微温湯でよく洗い流す。外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、速やかに医師の手当を受ける。
目に入った場合 一刻でも早く洗浄を始め、入った物質を洗い流す。
適温のゆるやかな流水で、15分間以上洗眼する。
生理食塩水が入手できれば洗眼に使用する。
洗眼の際は、瞼をよく開いて、眼球、瞼の隅々まで水が行きわたるように洗浄する。速やかに医師の手当を受ける。
直ぐには痛みがなく視力に影響がなくとも障害が現れることがあるので、応急措置を行った後、医療機関で経過を観察する。
飲み込んだ場合 清浄な水又は食塩水を大量に飲ませて吐かせる。
被災者を保温して、速やかに医師の手当を受ける。

5.火災時の措置

消火剤 噴霧水、泡、粉末、二酸化炭素
特定の消火方法 火災発生場所の周辺に関係者以外の立入を禁止する。
消火作業は風上から行う。
初期の消火には、水(霧状水)、粉末、二酸化炭素を用いる。
大規模火災には、泡(耐アルコール泡)消火剤等を用いて空気を遮断することが有効である。
周辺火災の場合、周囲の設備等に散水して冷却する。移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。
消火を行う者の保護 状況に応じて、呼吸用保護具(自給式等)を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 漏洩した場所の周辺には、ロープを張るなどして人の立入を禁止し、危険区域内での火気使用を禁止する。
作業の際には、必ず保護具を着用する。
環境に対する注意事項 洩した製品が河川等に排出され、環境への影響を起こさないようにする。
除去方法 飛散したものを、極力粉塵が立たないように集めて適切な容器に回収する。
二次災害の防止策 付近の着火源となるものを取り除く。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 適切な保護具を着用し、粉塵の吸入、皮膚接触を防ぎ、作業する。
作業環境は、許容濃度以下に保つ。
室内で取扱う場合は、粉塵・蒸気の発生源を密閉する設備又は局所排気装置を設置する。

塵爆発防止のため、気力輸送管内、サイロ等では気相中の酸素濃度を12vol%以下に保ち、配管及び装置は全て接地する。
粉塵濃度の高い所では、火花、火気、アークを発するものとの接触を避け、高温物の使用を禁止する。
取扱場所で使用する電気機器類は、防爆構造のものを使用する。
取扱後、石けんを用いて手洗い洗眼等を十分に行い、又衣服に付着した場合は、着替える。
容器(含紙袋、フレコンバッグ)は、破袋、破損のないものを使用する。
容器は、転倒、衝撃を加え又引きずる等の乱暴な取扱をしない。
流動による静電気の発生を防止するため、容器はアースをとる。
使用済みの容器は、一定の場所を決めて保管する。
保管
  適切な保管条件 フレーク品は直射日光を避け、強酸化剤から離し、湿気、火源のない冷暗所に保管する。
フレコンバッグで貯蔵する際は、バッグの転倒防止を図る。
倉庫等の貯蔵場所では、粉塵が溜まらないように清掃する。
サイロ内に貯蔵する際は、気相中の酸素濃度が12vol%以下になるように管理する。(サイロ内に入る場合は、エアーラインマスクを着用する。)
  安全な容器包装材料 ポリエチレン、ステンレス

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 室内での取扱の場合は、発生源の密閉化又は局所排気装置を設置する。
取扱場所の近くに、安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示しておく。
管理濃度 設定されていない。
許容濃度 日本産業衛生学会(2001年版):第3種粉塵 吸入性粉塵 2mg/m3
                              総粉塵   8mg/m3 
  ACGIH(2001年版) TLV-TWA 10mg/m3
保護具
呼吸器の保護具 防塵マスク、空気呼吸器
手の保護具 ゴム手袋
目の保護具 防塵眼鏡、保護面
皮膚及び身体の保護具 保護衣(帯電防止性)

9.物理的及び化学的性質

外観
  物理的状態 固体(結晶又は粉末)
  形状 フレーク状又は粉末
  色 白色
臭い 無臭
物理的状態が変化する
特定の温度/温度範囲
  融点 > 300 ℃ (昇華)
引火点 260 ℃(O.C.)
発火点 680 ℃(粉塵雲として)
爆発特性
  爆発限界 最少粉塵爆発濃度 50 g/m3 (空気)
  最少着火エネルギー 20 mJ
相対蒸気密度 5.74(空気=1)
比重 1.51
溶解性
  水 0.28 g/100mL(20 ℃)
  その他の溶媒 メタノール;16.9 g/100mL、熱濃硫酸、ピリジン、DMF、アルカリに可溶
エーテル、アセトン、クロロフォルム、酢酸等に不溶
オクタノール/水分配係数 log pow=1.96 2.00 6)
その他 燃焼熱; 19.5 J/g

10.安定性及び反応性

安定性 通常の貯蔵・取扱条件では安定である。
反応性 強酸化剤と激しく反応する。

11.有害性情報

急性毒性 経口  ラット  LD50   15,000 mg/kg , 18,800 mg/kg 1)
     マウス LD50  > 5,000 mg/kg ,> 10,000 mg/kg 1)
腹腔  マウス LD50   1,430 mg/kg , 1,900 mg/kg 1)
局所効果(皮膚、目) 目   ウサギ  500 mg/24H Mild(軽度) 1)
感作性 なし 1)
慢性・長期毒性 ラットの飼料に高率(5%)混合、長期(2年)投与した場合、膀胱結石(Ca塩)を生じ、慢性的な刺激で二次的に膀胱上皮細胞の肥大、膀胱腫瘍を生じることがある。
離乳直後から投与した方が起こり易く、成長してからの投与では発生率は低い。尿中濃度が尿結石を析出するに足る過飽和の時に生じ、それ以外ではできない。結石成分に遺伝毒性はなく、代謝もされない。 2)
経口  ラット  NOAEL  750 mg/kg/day 1)
発がん性 ACGIH、IARC、NTP、日本産業衛生学会の発がん性物質リストには記載されていない。
変異原性 微生物を用いる変異原性試験で陰性 1)
チャイニーズ・ハムスター細胞株を用いる染色体異常試験で陰性 1)
生殖毒性 飼料中に0.5%混合して経口投与した結果、繁殖性に異常はなかった。 3)
代謝・排泄 飼料中に混合投与しても殆ど吸収されず、急速に尿・糞中に排泄される。 2)

12.環境影響情報

残留性/分解性 生分解性は良好 BODにおける分解75%(14日間) 4)
光分解性 79 days(半減期) 5)
生体蓄積性 BCF(濃縮倍率);11.2倍(計算値) 1)
生態毒性
  魚毒性
魚(Salmo gairdneri) LC50 96h 1,157 mg/L 1)
ミジンコ(Daphnia Magma) LC50 48h > 982 mg/L 1)
(tetrahymena pyriformis) LC50 48h 800 mg/L 6)
藻類(Scenedesmus suspicatus) NOEC 96h > 409 mg/L 1)
黄色ショウジョウバエ LC0 3day 166 mg/L 6)
バクテリア(Domestic Sewage Sludge Microorganisms) LC50 16day 1,392.8 mg/L 1)

廃棄上の注意

廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。
・ 焼却炉で少量ずつ焼却する。その際黒煙などが出ないように注意する。
・ 助燃剤と共に焼却炉の火室に噴霧し焼却する。

活性汚泥処理をする場合は、毒性テストをして問題のないことを確認した上で処理をする。

多量の場合、免許を所有している廃棄物処理業者に処理を委託する。
空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。

14.輸送上の注意

国際規制
  IMDG(国際海上危険物規則)コード 設定されていない。
  ICAO-TI(国際民間航空機関技術指針)/
  IATA-DGR(国際航空運送協会危険物規則)
設定されていない。
国連分類 危険物に該当しない。
国連番号 なし
国内規制 適用法令なし。
輸送の特定の安全対策及び条件 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人へ運送注意書(イエローカード)を渡す。
フレコンバッグおよびペーパーバッグの輸送は、雨に濡れぬようシート掛けを行い、荷崩れを起こさないように積み込み、破袋、破損しないようにロープ等を掛けて荷崩れ防止を行う。
コンテナー、ローリー、タンク貨車をしようする場合、充填前にバルク容器の点検を行い、荷役時は静電気対策としてアースを実施する。
ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。

15.適用法令

労働安全衛生法   法第57条の2、通知対象物  政令番号第205号
化学物質管理促進法 第一種指定化学物質     政令番号第205号

16.その他の情報

1. IUCLID:Data Set (May 2001)
2. NIOSH:Information Profile on Potential Occupational Hazards.VOL.1 Single Chemicals.Terephthalic Acid, PB81-147,936(1979)
3. A. Hoshi et al:Pharmaceutical Bull.16.1655(1968)
4. 通産省監修、(財)化学品検査協会編:化審法の既存化学物質安全性点検データ集、(1992.10)
5. Karel Verschueren:Handbook of Environmental Data on Organic Chemicals 3rd ed p-1652-1653 Van Nostrand Reinhold Co.(1996)
6. 国立衛生試験、厚生省監修:国際化学物質安全性カード(ICSC) 日本語版 第3集(1997)