HOME > 製品安全データシート > メチルエチルケトン
 
整理番号:No.33
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1986年 5月25日
改訂    2001年 8月

1.製品の名称  メチルエチルケトン


2.組成、成分情報

化学名 メチルエチルケトン
別名 MEK,2―ブタノン,メチルアセトン
含有量 99%以上
化学式及び構造式 CH3COCH2CH3(分子量72.10)
官報公示整理番号 化審法・安衛法(2)−542
CAS No. 78−93−3

3.危険有害性の要約

最重要危険有毒性
  有害性 蒸気、液体は目、皮膚、呼吸器を刺激する。
蒸気を吸入すると麻酔作用がある。
  環境影響 生分解性良好
  物理的及び化学的危険性 引火性の強い液体である。(引火点ー7℃)
蒸気は空気と混合すると爆発性混合ガスになる。
蒸気は空気より重いので低いところに滞留しやすい。
分類の名称(分類基準は日本方式) 引火性液体、急性毒性物質

4.応急措置

吸入した場合 被災者を直ちに空気の清浄な場所に移動させる。
身体を毛布等でおおい、保温して安静を保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め、呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
意識はないが呼吸している場合、又は意識はあるが呼吸困難な場合は酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うことが望ましい。
医師の指示なしに酸素以外の施薬をしたり、被災者に口からものを与えてはならない。直ちに医師の手当を受ける。
皮膚に付着した場合 汚染された衣服、靴等は速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば、衣服等を切断する。
水又は微温湯を流しながらよく洗浄する。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、直ちに医師の手当を受ける。
目に入った場合 コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間以上洗い流した後、直ちに医師の手当を受ける。
洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたの隅々まで水が行きわたるように洗浄する。
飲み込んだ場合 吐かせようとしてはならない。
揮発性液体なので、吐き出させるとかえって危険性が増す。
水でよく口の中を洗わせる。口から何も与えてはならない。
嘔吐が自然に起こった時は、気管への吸入が起きないように身体を傾斜させる。
保温して、直ちに医師の手当を受ける。

5.火災時の措置

消火剤 水(霧状水)、粉末、二酸化炭素、耐アルコール泡
特定の消火方法 火災発生場所周辺に関係者以外の立入を禁止する。
消火作業の際には空気呼吸器等の保護具を着用する。
初期の消火には、水(霧状水)、粉末、二酸化炭素等を用いる。
大規模火災の際には、耐アルコ−ル泡消火剤等を用いて空気を遮断することが有効である。
棒状水の使用は火災を拡大し危険な場合がある。

周辺火災の場合は、周辺の設備等に散水して冷却する。
移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。
消火を行う者の保護 消火作業は風上から行い、自給式呼吸器等の保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 漏出した場所の周辺にロープを張る等して関係者以外の立入を禁止する。
作業の際は保護具を着用し、飛沫が皮膚に付着したり、蒸気を吸入しないように注意する。  
      
環境に対する注意事項 付近の着火源となりそうなものを速やかに取り除く。
除去方法 危険なくできる時は漏洩を止める。
少量の場合
乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ、密閉できる容器に回収する。
大量の場合
盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。
この際、下水、河川等に入り込まない様注意する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 1.吸入を防ぎ、眼、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ、適切な保護具を着用する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取扱う場合は蒸気の発生源を密閉する設備、又は局所排気装置を設ける。
4.取扱い後は手洗い、洗顔を充分に行い、又、衣服に付着した場合は着替える。
5.漏れ、溢れ、飛散しないようにし、みだりに蒸気を発生させない。
6.引火しやすいため、火気、火花、ア−クを発生するもの、又は高温点火源付近では使用しない。
7.取扱い場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類は静電気対策を講じる。
(容器取扱い) 8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器はみだりに転倒させ、衝撃を加え、又は引きずる等粗暴な扱いをしない。
10.容器から出し入れする時はこぼれないようにする。
11.流動によって静電気が発生する場合があるので、出し入れの容器にはア−スをとる。
12.使用済み容器は一定の場所に保管する。
保管 13.容器は直射日光を避け、通風のよい冷暗所に保管する。
14.保管場所は火気厳禁とする。
15.酸化性物質、有機過酸化物等と同一の場所で保管しない。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 室内での取扱いの場合は発生源の密閉化、又は局所排気装置を設置する。
取扱い場所の近くに緊急用洗眼器及び安全シャワーを設置し、その位置を明瞭に表示する。
管理濃度 200 ppm(労働省告示第26号 1995.3.27)
許容濃度
日本産業衛生学会(2001年版) 200 ppm(590 mg/m3)(提案’64年)
ACGIH(2001年版)TLV− TWA 200 ppm
TLV-STEL 300 ppm
保護具
呼吸用保護具 有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器
手の保護具 耐薬品性手袋、耐油性手袋
目の保護具 ゴーグル型保護眼鏡、防災面
皮膚及び身体の保護具 耐油性長靴,耐油性前掛 

9.物理的及び化学的性質

外観
  物理的状態 液体
  色 無色透明
臭い 特有な臭い(アセトン臭)
PH 測定項目に該当しない
物理的状態が変化する
特定の温度/温度範囲
  沸点 80 ℃ 3)
  融点 −87℃ -86.3℃ 8)
引火点 -7℃(密閉)-9℃(密閉) 3)
発火点 514℃ 505℃  3)
爆発特性
  爆発限界 下限1.7vol% 上限11.4vol% 下限1.8% 上限10% 8)
蒸気圧 9.5 kPa (71.2 oHg/20 ℃),10.3kPa(77.5mmHg/20℃) 5), 8)
相対蒸気密度 2.5,2.41 3), 5), 12) (空気 = 1)
密度 0.81g/cm3 (20 ℃)
溶解性 水29 g/100 ml(20 ℃)
その他の溶媒 アルコール,エーテル,ベンゼンとは自由に混合する。 8)
オクタノール/水分配係数 :0.26,0.29  3)

10.安定性及び反応性

安定性 通常の取扱い条件においては安定である。
反応性 強酸化剤(硝酸等)と激しく反応し、発火の恐れがある。
アルカリ類、アミン類、アルデヒド類、アンモニア等と反応する
その他 引火性の強い液体である。
蒸気は空気と混合すると爆発性混合ガスになる。
蒸気は空気より重いので低い所に滞留しやすい。
長期保管では爆発性の混合物をつくる。

11.有害性情報

ヒトへの影響
急性毒性 MEKは590mg/m3(200ppm)の濃度では各種の行動および生理学的試験において著しい影響は示さなかった。 5)
吸入 ヒト TCL。 100ppm/5ヶ月 4)
飲下した場合は、嘔吐、消化器障害、呼吸不全、頭痛、酪酲症状、昏睡等を起こす。 1)
局所効果
(皮膚、目)
蒸気、液体は目、皮膚、気道を刺激する。 3)
蒸気を吸入すると鼻、のどの刺激、頭痛、めまい、吐き気、咳、息切れ、感覚鈍麻、意識喪失、嘔吐を起こす。3)
100ppm     鼻、のどにわずかな刺激性がある。 2)
100ppm/5分 臭覚への影響、結膜刺激、呼吸器への影響がある。 4)
目、鼻への刺激性に関する許容限度は約200ppmである。 2)
感作性

経皮吸収されることがある。 3) 発赤。 3)
慢性・長期毒性



反復または長期の皮膚への接触は脱脂を起こす。 3)
吸入暴露では痙攣等を起こす。 1)
発がん性 IARC(国際がん研究機関)、NTP(米国・国家毒性プログラム)等の発がん性物質リストには記載されていない。
変異原性 知見なし。
催奇形性 知見なし。
生殖毒性 知見なし。
神経毒性 蒸気を吸入すると、中枢神経系に影響を与えることがある。 3)
その他
(吸収、代謝、排泄)
MEKは速やかに吸収され各組織に平均に分配される。
そして、すぐに呼気及び尿中にMEK及びその代謝物である3−ヒドロキシ−2−ブタノンとして排泄される。 2)

動物への影響
急性毒性 MEKは哺乳類に対し軽度から中程度の急性、短期及び慢性の毒性を示す。 5)
   
吸入 ラット LC50 23,500 mg/m3/8時間(8,000 ppm) 4), 8)
マウス LC50 32,000 mg/m3/4時間(10,900 ppm) 4)
40,000 mg/m3/2時間 8)
経口 ラット LD50 2,737 mg/ kg 4), 8)
マウス LD50 4,050 mg/ kg 4), 8)
経皮 ウサギ LC50 6,480 mg/ kg 4), 8)
腹腔内 ラット LD50 607 mg/ kg 4)
マウス LD50 606 mg/ kg 4)
    マウス及びラットでの単回経口投与後1〜14日以内に死亡が生じそのLD50は2,000〜6,000mg/kgであった。 5)
ラットに対する14,750mg/m3(5,000ppm)(6時間/日,5日/週)の反復暴露では死亡は発生せず、成長及び構造は極わずかな影響があったので、神経病理学的変化はなかった。 5)
局所効果
(皮膚、目)
皮膚 ウサギの皮膚に8mg塗布した場合、わずかな刺激性を示した。 5)
500mgでは中程度の刺激性を示した。 4)
モルモットとウサギの横腹に毎日0.1ml(80mg)ずつ10日間塗布した場合、24〜72時間後に紅斑と浮腫が生じた。 5)
ウサギの目に0.005ml(4mg)滴下した試験で激しい刺激性を示した。
しかし、これよりも多い0.1ml(80mg)滴下した場合でも、刺激性はより少なかった、との報告がある。 5)
感作性 知見なし。
亜急性毒性 ラットに760及び800ppmを1日6時間、週5日、4週間反復吸入させたところ、肝臓肥大及び肝臓顆粒体の代謝にわずかな変化が起こった。 5)
ラットに1,254、2,518、5,041ppmを1日6時間、週5日、90日反復吸入させたところ、最高投与群に体重減少、肝臓重量の増加等の影響があったものの全ての群で食物摂取、目、神経系への大きな影響は見られなかった。
また、中枢神経系及び末梢神経系の形態変化も見られなかった。 5)
慢性・長期毒性 MEKは哺乳類に対し軽度から中程度の急性、短期及び慢性の毒性を示す。5)
ラットに200ppmを1日12時間、24週間反復吸入させたところ、4ヶ月後に一過性の神経伝達速度の減少が見られた。
但し、この変化はそれ程重要なものではない。 5)
ラットに1,125ppmを5ヶ月間連続吸入させたが、末梢神経障害は起こらなかった。 6)
変異原性 エームス試験、ほ乳類培養細胞(CHO)を用いた染色体異常試験、マウスを用いた小核試験のいずれも陰性であった。 5), 6), 7)
生殖毒性 ラット及びマウスの妊娠第6〜15日に400〜3,000ppmを1日7時間、反復吸入させた3つの試験が行われ、これらの結果より以下の結論が得られた。 5), 6)
母体に毒性を示す濃度である3,000ppmでは軽度の発生毒性を示す。
無作用濃度は母体、胎仔ともに1,000ppm、最低作用濃度は3,000ppmであった。
代謝 雄モルモットの腹腔内及び雄ラットに経口投与した場合、代謝を受けて2−ブタノール、2,3−ブタンジジオール、3−ヒドロキシ−2−ブタノンになる。 2)
その他 MEKは無側鎖の脂肪族C6化合物(メチル−n−ブチルケトン、n−ヘキサン、2.5−ヘキサンジオン)の神経毒性及びハロアルカン類(四塩化炭素、トリクロロメタン)の肝臓、腎臓毒性を高める作用がある。 5)

12.環境影響情報

残留性/分解性 活性汚泥により容易に分解する。5)
(800 mg/lまでの濃度ではほぼ完全に分解する。)
BOD=2.03 g/g(理論酸素要求量の83%)9)
COD=2.31 g/g(理論酸素要求量の95%)9)
生態毒性
  魚毒性


金   魚 LC50(24時間) = 5,000 mg/l以上 5)
ゴ−ルデンオルフェ LC50(24時間) = 4,600/4,880 mg/l 5)
ミジンコ LC50(24時間) = 8,890 mg/l 5)
ブラインシュリンプ LC50(24時間) = 1,950 mg/l 5)
緑藻(Scenedesmus quadricauda) 成長阻害濃度(8日) 4,300 mg/l 12)
藍藻(Microcystis aeruginosa)    成長阻害濃度(7日) 110 mg/l 12)

13.廃棄上の注意

廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。

  1. おがくず、ウエス等に吸着させ、焼却炉で焼却する。
  2. 焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
  3. 空容器を廃棄する場合は内容物を完全に除去した後処分する。
  4. 廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に内容物を明確にして処理を委託する。

14.輸送上の注意

国際規制 IMDG(国際海上危険物規則)コード:ハザードクラス3(Flammable liquid) , Packing groupU
ICAO-TI(国際民間航空機関技術指針)/IATA-DGR(国際航空運送協会危険物規則):ハザードクラス3Flammable liquid), Packing groupU
IMDG(国際海上危険物規制)コード:Class 3.2(1193) p.3226 U
国連分類     クラス 3 (引火性液体類)     国連番号:1193
国内規制
  陸上輸送 消防法(第1石油類)
    容器    :危険物の規制に関する規則別表第3の2
    容器表示:第1石油類、危険等級U、数量、火気厳禁
    積載方法:運搬時の容器積み重ね高さは3m以下
    混載禁止:第一類および第六類の危険物、高圧ガス


毒物及び劇物取締法(劇物)
    容器表示:医薬用外、劇物、名称、製造者の名称及び住所
    積載方法:消防法と同様
輸送の特定の安全対策及び条件
1. 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人に運送注意書、イエロ−カ−ドを携帯させる。
2. 容器に洩れ,破れのないことを確かめ、転倒、落下、破損のないよう積み込み、荷くずれの防止を確実に行う。
3. タンク車(ロ−リー)等への充填、積おろし時は、平地に停止させ、車止めをし、接地し、タンク車の許容圧力以下の圧縮ガス又はポンプを用いて行う。
4. ホ−スの脱着時にはホ−ス内の残留物の処理を完全に行う。
5. ロ−リ−、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。

15.適用法令

労働安全衛生法 
 法第57条の2通知対象物 政令番号第586号
 令別表第1 危険物(引火性のもの)
 有機則 第2種有機溶剤
毒物・劇物取締法 第2条別表第2劇物
消防法 危険物第4類第1石油類(非水溶性液体)
船舶安全法 危規則別表第5 中引火点引火性液体
航空法 規則別表第3 引火性液体
港則法 施行規則 危険物(引火性液体類:中引火点
麻薬及び向精神薬取締法 指定3条麻薬向精神薬原料
化学物質管理法 対象外

16.その他の情報

文献

  1. Occupatinal Health Service Inc. MSDS (Aug.1997)
  2. ACGIH Documentation (2000)
  3. 国際化学物質安全性カ−ド (May,2001)
  4. Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (Aug.1997)
  5. IPCS Environmental Health Criteria 143 Methyl Ethyl Ketone P161 (1993)
  6. Patty's Industrial Hygiene and Toxicology 4th Edition (1994)
  7. 発がん性物質の分類とその基準 第3版 日本化学物質安全・情報センタ−(1997)
  8. NTP Chemical Health & Safety Data Reviews(1999)
  9. A.L.Bridie et.al , Water Research ,13 ,627〜630 (1979)
  10. 産衛誌Vol.42,No.4,P.135(2000)
  11. Recommendations on the Transport of Dangerous Goods Model Regulations 11th.Rev.ed.,P.168(1999)
  12. Handbook of environmental Data on Organic Chemicals(3rd.ed.)(1996)