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整理番号:No.29
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1986年 5月25日
改訂    2001年 8月

1.製品の名称  アクリル酸メチル


2.組成、成分情報

化学名 アクリル酸メチル
別名 メチルアクリレート、2−プロペン酸メチル
含有量 99%以上
化学式 CH2=CHCOO3
官報公示整理番号 化審法・安衛法(2)−987
CAS No. 96−33−3

3.危険有害性の要約

最重要危険有害性
  有害性 皮膚刺激性が強く、又催涙性がある。皮膚感作性がある。
  環境影響 生分解性良好。 水生生物に毒性がある。
  物理的及び化学的危険性 引火性の強い液体(引火点 −1.5℃)。熱、光、過酸化物の影響下で容易に重合する。強酸化剤と激しく反応し、火災爆発の危険性をもたらす。強酸化剤と激しく反応し、火災爆発の危険性をもたらす。
分類の名称(分類基準は日本方式) 引火性液体

4.応急措置

吸入した場合 被災者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布などで覆い、保温して安静に保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
意識はないが呼吸している場合、又は意識はあるが呼吸困難の場合は酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うのが望ましい。
医師の指示なしに酸素以外の施薬をしたり、被災者に物を与えてはならない。直ちに医師の手当てを受ける。
皮膚に付着した場合 汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば、衣服を切断する。
水又は微温湯を流しながら洗浄する。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合には直ちに医師の手当を受ける。
目に入った場合 コンタクトレンズを使用している場合は固着していない限り取り除いて洗浄する。
最低15分洗浄した後、直ちに眼科医の手当てを受ける。
洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたの隅々まで水がよく行き渡るように洗浄する。
飲み込んだ場合 吐かせようとしてはならない。
揮発性の液体なので吐き出させるとかえって危険性を増す。
水でよく口の中を洗わせる。嘔吐が自然に起こったときは、気管への吸入が起きないように体を傾斜させる。保温して速やかに医師の手当てを受ける。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、二酸化炭素、泡(耐アルコール泡)、水を使うと液を溢れさせ、火災を広げるので使ってはならない。
消火を行う者の保護 刺激性が強いガスであるので、防毒マスクなどを着用する。状況によっては、蒸気による薬傷を考慮し、全身保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 皮膚及び粘膜に対して刺激性があるので、保護手袋、防毒マスク、保護メガネを着用する。
環境に対する注意事項 低濃度でも水に対して着臭性がある。
除去方法 少量の場合には、乾燥砂、土、おがくず、ウエスなどで吸収させて密閉できる容器に回収する。大量の場合には盛り土で囲って流出を防止する。
二次災害の防止策 付近の着火現となるものを速やかに取り除く。下水道、側溝などに入り込まないようにする。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 1. 吸入を防ぎ、眼、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2. 作業環境を許容濃度以下に保つ。
3. 室内で取扱う場合は蒸気の発散源を密閉する設備、又は局所排気装置を設ける。
4. 取扱い後は、手洗い、洗顔を十分に行い、又衣服に付着した場合は着替える。
5. 漏れ、あふれ、飛散を防ぎみだりに蒸気を発散させない。
6. 引火しやすいため、火気、火花、アークを発するもの、又は高温点火源付近で使用しない。
7. 取扱い場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類は静電気対策を講じる。
8. 容器は破損、腐食、割れ等の無い物を使用する。
9. 容器はみだりに転倒させ、衝撃を加え、又は引きずる等乱暴な取扱いをしない。
10.容器から出し入れするときは、こぼれないようにする。
保管
  適切な保管条件 容器は直射日光を避け、通風の良い冷暗所に保管する。
保管場所は火気厳禁とする
高温では重合の危険性があるので、長期保存の場合は、30℃以下に保持する。重合防止のための重合防止剤濃度、保存温度、所定の酸素濃度を確保する。
酸化性物質、有機過酸化物と同一の場所で保管しない。
  安全な容器包装材料 鉄錆、過酸化物、水などは重合を促進するので、容器の材質はステンレス鋼、或いはポリエチレン、フェノール樹脂等の内面ライニング材を用いる。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 消防法、労働安全衛生法の基準に従う
管理濃度 設定されていない
許容濃度
日本産業衛生学会(2000年版) 設定されていない
ACGIH(2001年版)  TLV-TWA, 2 ppm 皮膚吸収あり
保護具
呼吸器の保護具 防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器
手の保護具 保護手袋(ゴム)
目の保護具 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具 保護長靴(ゴム)

9.物理的及び化学的性質

外観
  物理的状態 無色透明液体
  形状 液体
  色 無色
臭い 強いエステル臭
物理的状態が変化する
特定の温度/温度範囲
    
  沸点 80.3 ℃ 
  融点 −76.5 ℃
引火点 −1.5 ℃(アクリル酸エステル工業会 消防庁危険物等登録データ)
発火点 420 ℃
爆発特性(下限→上限の順序で記載) 
  爆発限界 下限:2.5 %   上限:25 %
  蒸気圧 .1 Pa(20 ℃) 相対蒸気密度(空気=1):3.0
溶解性
  水   6 g/100ml(20℃)
オクタノール/水分配係数 log Pow=0.8

10.安定性及び反応性

安定性 容易に重合する。ハイドロキノンモノメチルエーテルが重合防止剤として添加されている。
反応性 重合が急速に進むと温度が急上昇し、蒸気圧が上昇して爆発する危険性がある。
避けるべき条件 鉄さび、水の存在、高温
避けるべき材料 推奨される材料は、SUS304、SUS316、ポリオレフィン、ポリアセタール、フッ素系ポリマー、フェノール樹脂など

11.有害性情報

ヒトへの影響 皮膚、眼、粘膜、食道に強い刺激がある。皮膚及び粘膜より容易に吸収される。 1)
濃度暴露では、流涎、激しい眼及び呼吸器の刺激作用が起こり、更に重症では唇の蒼白、呼吸困難、けいれん(中枢神経刺激症状)が起こり、肺浮腫が原因で死亡することがある。 2)
取扱い作業者の一部に皮膚のアレルギー反応(皮膚炎、湿疹、蕁麻疹)が見られる。

急性毒性
経口 ラット LD50 277mg/kg
経口 マウス LD50 827mg/kg
経皮 ウサギ LD50 1,243mg/kg
吸入 ラット LC50 3,500ppm
局所効果 ラット、ウサギの皮膚及び眼に対する刺激性試験は中程度から強度の結果が得られている。 2)
感作性 Polak,Split adjuvant, Maximization,Epicutaneous Bの各方法で、モルモットに対して感作性を示す。 3)
慢性・長期毒性
飲料水に混入させ、0,1,5,20mg/kgを13週間ラットに投与した。最高投与量にのみ摂水量の減少、体重増加量の減少、相対腎臓重量の減少、腎臓への影響が見られた。最大無作用量は5mg/kg/日であった。 4)
0,15,45,135ppmの各濃度で2年間、ラットに吸入暴露を行った。鼻粘膜への局所的影響と角膜の混濁が暴露濃度と相関して認められたが、全身的影響は見られなかった。 5)
発がん性 亜急性及び慢性毒性試験の2)の中で発がん性も評価しているが発がん性は認められなかった。
IARC:グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類されている。
変異原性 サルモネラ菌を用いるAmes Test結果は陰性である。
チャイニーズハムスターの培養細胞を用いた染色体異常試験では陽性の結果を示す。
マウスを用いた小核試験では陰性と陽性の結果がある。
その他 肝臓、腎臓、肺で加水分解されアクリル酸とメタノールとなる。
アクリル酸は又速やかに代謝されCO2となり呼気から排泄される。

12.環境影響情報

残留性/分解性 生分解性良好
生体蓄積性 分配係数から推定して濃縮性は低いと考えられる。
分配係数 log Po/w = 0.8
生態毒性
  魚毒性
Golden orfe 48hr. LC50 7.5mg/kg
金魚 48hr. LC50 5mg/kg
  その他 藻類毒性 8日間  EC50  7mg

13.廃棄上の注意

廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。
1. おがくず、ウエス等に吸着させ、焼却炉で焼却する。
2. 廃油、高濃度排水、スラッジなどは焼却炉の火室へ少量ずつ噴霧し焼却する。
3. 空容器を廃棄する場合は内容物を完全に除去した後処分する。
4. 低濃度排水は、活性汚泥等で処理する。
5. 廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に内容物を明確にして処理を委託する。
6. 液体のままで埋め立てることはしてはならない。

14.輸送上の注意

国際規制
  IMDG(国際海上危険物規則)コード P3235 ハザードクラス3.2、Packing group U
国連分類 安定剤入りのもの クラス 3(引火性液体)
国連番号 安定剤入りのもの 1919
国内規制
  船舶安全法 危規則 別表第5 引火性液体
  航空法 告示別表第 引火性液体
  海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律 施行令別表B類物質
輸送の特定の安全対策及び条件 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人へ運送注意書、イエローカードを携帯させる。
容器の破損漏れがないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損のないように積み込み荷崩れ防止を確実に行う。
タンク車(ローリー)等への充填、積み下ろしの時は平地に停止させ、車止めをし、接地し、タンク車の許容圧以下の圧縮ガス又はポンプを用いて行う。
ホースの脱着時はホース内の残留物の処理を完全に行う。
ローリー、運搬船には所定の標識、消火設備、災害防止用応急資材備える。

15.適用法令

労働安全衛生法
  令別表第1 危険物(引火性のもの)
消防法 危険物第4類第一石油類(非水溶性)指定数量(200リットル)
船舶安全法 危規則告示 別表第5 引火性液体
航空法 危険物告示別表第3 引火性液体
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律: 施行令別表B類物質

16.その他の情報

文献

1. ACGIH : Documentation of The Threshold Limit Values(1992)
2. NIOSH : Registry of Toxic Effects of Chemical Substances(1997)
3. D.Parker,J.Turk : Contact Dermatitis,9 55-60(1983)
4. S.T.Gorzinski et al.:The Toxicologist,2,33(1982)
5. H.J.Klimish:The Toxicologist,4(1),53(1984)
6. アクリル酸エステル工業会:アクリル酸及びアクリル酸エステル類取扱い安全指針(平成9年)