整理番号:No.26 |
石 油 化 学 工 業 協 会
作成 1986年 5月25日
改訂 2001年 8月 |
1.製品の名称 酢酸エチル
2.組成、成分情報
| 化学名 |
: |
酢酸エチル、エチルアセテート |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
CH3COOC2H5(分子量88.10) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法・安衛法(2)−726 |
| CAS No. |
: |
141−78−6 |
3.危険有害性の要約
| 最重要危険有害性 |
|
|
| 有害性 |
: |
高濃度の蒸気を吸入すると中毒を起こすおそれがある。 |
| 環境影響 |
: |
水生生物に対して弱い〜中程度の有害性を有するが、生分解性やオクタノール・水分配係数の値から考えて通常、影響は小さい。 |
| 物理的及び化学的危険性 |
: |
引火性の強い液体(引火点
-4.4℃)で爆発性混合ガスを形成することがある。 |
| 分類の名称 |
: |
引火性液体 |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
被災者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。身体を毛布などでおおい、保温して安静を保つ。呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。意識はないが呼吸している場合又は意識はあるが呼吸困難な場合には、酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うことが望ましい。 |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば衣服等を切断する。その後、水又は微温湯を流しながらよく洗浄する。外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は医師の手当てを受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
コンタクトレンズを使用している場合は固着していない限り、取り除いて洗浄する。最低15分間洗浄した後、直ちに眼科医の手当てを受ける。 |
| 飲み込んだ場合 |
: |
水でよく口を洗わせる。意識のない場合には、口から何も与えてはならないし、吐かせようとしてもいけない。嘔吐が自然に起こった時は気道への吸入が起きないよう身体を傾斜させる。保温して速やかに医師の手当てを受ける。 |
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
噴霧水、粉末、泡(耐アルコール泡)、二酸化炭素 |
| 特定の消火方法 |
: |
火災発生場所の周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。初期の消火には粉末、二酸化炭素などを用いる。大規模火災の際には、泡(耐アルコール泡)消火剤などを用いて空気を遮断することが有効である。
周辺火災の場合、周囲の設備などに散水して冷却する。移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。 |
| 消火を行う者の保護 |
: |
消火作業の際には自給式呼吸器等の保護具を着用する。 |
6.漏出時の措置
| 人体に対する注意事項 |
: |
付近の着火源となるものを速やかに取り除く。漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業の際には保護具を着用し、飛沫の皮膚への付着やガスの吸入をしないよう注意する。危険なくできる時は漏洩をとめる。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
大量に漏出した場合、下水や側溝等に入り込まないように、盛り土で囲って流出を防止する。 |
| 除去方法 |
: |
少量漏出の場合には、乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ密閉できる容器に回収する。
大量の場合には、盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。この際、下水や側溝等に入り込まないように注意する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.吸入を防ぎ、目、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取扱う場合は、蒸気の発散源を密閉する設備又は局所排気装置を設ける。
4.取扱後、手洗い洗顔等を十分に行い、衣服に付着した場合は着替る。
5.漏れ、あふれ、飛散を防ぎ、蒸気を発散させない。
6.引火しやすいため、火気、火花、アークを発生するもの又は高温点火源を付近で使用しない。
7.取扱い場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類には静電気対策を講じる。 |
| (容器取扱い) |
: |
8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器はみだりに転倒させ、衝撃を加え、又は引きずる等の乱暴な取扱いをしない。容器から出し入れする時は、零れないようにする。
10.流動によって静電気が発生する場合があるので、出し入れの容器にはアースをとる。
11.使用済み容器は一定の場所を定めて保管する。 |
| 保管 |
: |
12.容器は直射日光を避け、風通しのよい、冷暗所に保管する。
13.保管場所は火気厳禁とする。
14.酸化性物質、有機過酸化物、塩基、酸等と同一の場所で保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 設備対策 |
: |
(1)室内での取扱いの場合は、発生源の密閉化又は局所排気装置を設置する。
(2)取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗顔設備を設け、その位置を明瞭に表示しておく。 |
| 管理濃度 |
: |
400 ppm(労働省告示第26号
1995.3.27) |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会(2001年版)
: 200 ppm(720 mg/m3)
ACGIH(2001年版) TLV-TWA(8hrs) : 400 ppm |
| 保護具 |
: |
状況に応じ、以下の保護具等を使用する。
呼吸器の保護具:有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器等
手の保護具:保護手袋
目の保護具:保護眼鏡、安全ゴーグル
皮膚及び身体の保護具:保護長靴 |
9.物理的及び化学的性質
| 外観 |
|
|
| 物理的状態 |
: |
液体 |
| 色 |
: |
無色透明 |
| 臭い |
: |
特徴的な臭気がある。 |
| pH |
: |
測定できない。 |
物理的状態が変化する
特定の温度/温度範囲 |
|
|
| 沸点 |
: |
77 ℃ |
| 融点 |
: |
-83 ℃ |
| 引火点 |
: |
-4.4 ℃ |
| 発火点 |
: |
427 ℃ |
| 爆発特性 |
: |
爆発限界 下限2.2 vol% 上限11.5
vol% |
| 蒸気圧 |
: |
13.3 kPa(100 mmHg)(27
℃) 相対蒸気密度(空気=1):3.0 |
| 比重 |
: |
0.901(20/4℃) |
| 溶解性 |
|
|
| 水 |
: |
可溶(8.7 g/100 g 20 ℃) |
| その他の溶媒 |
: |
ほとんどの有機溶剤に可溶 |
| オクタノール/水分配係数 |
: |
log Pow = 0.73 7) |
10.安定性及び反応性
| 安定性 |
: |
通常の状態では安定 |
| 反応性 |
: |
強塩基、強酸と反応し、発熱分解する。クロロスルホン酸とは爆発的に反応。過酸化水素、硝酸、過塩素酸など酸化性物質とも激しく反応し着火、爆発の可能性もある。プラスチックやゴムを侵すことがある。 |
| 危険有害な分解生成物 |
: |
分解のために加熱すると、刺激性の煙とヒュームが発生する。 7) |
11.有害性情報
| ヒトへの影響 |
|
|
| 急性毒性 |
: |
毒性は少ない。 1) |
| 経口 |
: |
頭痛、眠気、意識喪失を起こすことがある。 15) |
| 経皮 |
: |
蒸気が鼻孔や喉を刺激する。高濃度では知覚麻痺、頭痛を起こすことがある。 15) |
局所効果
(皮膚、目) |
: |
不慣者には200 ppmで強い不快臭、400ppmで目、鼻、喉に刺激がある。 1) |
| 慢性・長期毒性 |
: |
375〜1,500 ppmの酢酸エチルに数ヶ月間暴露された作業者に、異常な兆候や症状は見られなかったとの報告がある。 1) |
| その他 |
: |
極めて高濃度の暴露では、加水分解によって生ずる酢酸によって酸血症を起こすことがある。 2) |
|
|
|
| 動物への影響 |
|
|
| 急性毒性 |
:
|
| 経口 |
ラット |
LD50 |
5,620 mg/kg 1), 5) |
|
マウス |
LD50 |
4,400 mg/kg 6) |
| 吸入 |
ラット |
LC50 |
16,000 ppm/6h 1), 5) |
|
ラット |
LC50 |
200 mg/l/1h(約51,000 ppm) 5) |
|
局所効果
(皮膚、目) |
: |
目、鼻、気道に中程度の刺激がある。 3)
目:うさぎ 中程度(100 mg、Draize法で平均スコア 15.00) 4) |
| 感作性 |
: |
まれに粘膜や皮膚の炎症が起こることがある。 7) EU危険物リストでは感作性物質には指定されていない。 |
慢性・長期毒性
|
:
|
酢酸エチル蒸気の3,000 、6,000 ppmの濃度の10日〜2週間の吸入暴露試験で全身協調および瞳孔サイズの異常が見られ、6,000
ppm暴露の動物では非暴露期間中の呼吸困難が見られた。 8)
90日間吸入試験で350から1,500 ppmの投与量で軽度〜中程度の鼻粘膜嗅部の退化が見られた。 9) |
| 発がん性 |
: |
IARC :評価対象物質として取り上げられていない。
ACGIH:A4(発がん性物質として分類できない物質) |
| 変異原性 |
: |
エームス試験で陰性。 1)
ほ乳類培養細胞(CHO)を用いる染色体異常試験で陰性。 1)弱い陽性との報告もある。 10) |
| その他 |
|
|
| 神経毒性 |
: |
マウスの腹腔内に1.25 g/kg以上投与したところ、間代性てんかん発作を誘発した。 11) |
| 代謝・排泄分布 |
: |
体内に入った酢酸エチルは、全身の組織に存在する特異的な加水分解酵素によって速やかにエタノールと酢酸に分解される。加水分解はエタノールの酸化よりはやく進行するので、酢酸エチルの高濃度暴露(ラットで2,000
ppm以上)でエタノールの蓄積が起きる。 2)
酢酸エチルの投与にともなって、血液、尿、呼気中に酢酸エチル自身が検出されることは稀で、エタノールが検出される。 2) |
12.環境影響情報 6)
| 残留性/分解性 |
: |
生分解性良好 12) |
|
|
|
| 生態毒性 |
|
|
|
|
|
| 魚毒性 |
: |
ファットヘッドミノウ(コイ科の魚) |
96hr |
LC50 |
230 mg/l 13) |
| その他 |
: |
ミジンコ |
48hr |
LC50 |
40 ppm以上 14) |
|
|
藻類(Microcystis aeruginosa) |
増殖阻害閾値 |
550 mg/l 13) |
13.廃棄上の注意
廃棄は焼却により行う。その方法は次のどれかによる。
焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
少量の場合は、ケイソウ土等に吸収させて焼却炉で焼却する。
これを含む廃水は、活性汚泥等の処理により清浄にしてから排出する。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除いた後処分する。
これらの処理は法規の規定に従って行う。
14.輸送上の注意
| 国際規制 |
|
|
| IMDG(国際海上危険物規則)コード |
: |
3220 |
IATA-DGR
(国際航空運送協会危険物規則) |
: |
クラス3(引火性液体、P.G2) |
| 旅客・貨物機 |
: |
Y305(1リットル)、305 (5リットル) |
| 貨物機 |
: |
307(60リットル) |
| 国連分類 |
: |
クラス3(引火性液体、P.G2)、国連番号:1173 |
| 国内規制 |
|
|
| 消防法 |
: |
危険物第4類引火性液体第1石油類(非水溶性液体)指定数量200リットル |
| 毒物及び劇物取締法 |
: |
劇物 |
| 輸送の特定の安全対策及び条件 |
: |
車両等により運搬する場合、運送者に運送注意書や、イエローカードを携帯させる。
運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷がないように積み込み、あるいは積み下ろしを行う。
タンク車(ローリー)等の荷役時は車止めをし、エンジンを止め、ホース等の結合を確認する。また、ホースの脱着時はホース内の残留物の処理を完全に行う。 |
15.適用法令
| 労働安全衛生法 |
: |
法第57条の2 通知対象物 政令番号第178号
施行令第18条 名称等を表示すべき有害物
施行令 別表第1−4 危険物(引火性の物)
有機溶剤中毒予防規則 第2種有機溶剤等 |
| 消防法 |
: |
危険物第4類引火性液体第1石油類(非水溶性液体)指定数量200リットル |
| 毒物及び劇物取締法 |
: |
劇物 |
| 悪臭防止法 |
: |
悪臭物質 |
| 船舶安全法 危規則 |
: |
危規則別表第5 引火性液体類 |
| 航空法 |
: |
引火性液体 |
| 海洋汚染防止法 |
: |
施行令別表 D類物質 |
16.その他の情報
引用文献
1. ACGIH TLV勧告書 ETHYL ACETATE(1996)
2. 日本産業衛生学会誌、37巻、286(1995)
3. NTP CHEMICAL REPOSITORY (RADIAN CORP., August 29, 1991), ETHYL ACETATE
4. 日本化学物質安全・情報センター、情報B、Vol.15(6), 38, 1993 ECETOC Technical
Report No.48
5. Patty's Industrial Hygiene and Toxicology Vol.U、Part D (4th ed.) p.2976
6. Registry of Toxic Effects of Chemical Substances.(RTECS), NIOSH (2001)
7. HSDB (STN) Ethyl Acetate (Last Rev. Mar.27,1997)
8. CMA報告(#8EHQ-95-13440) PTCN, p.21, May 24, 1995
9. CMA報告(8(e)0896-13703) PTCN, p. 8, Aug. 21, 1996
10.厚生省による食品添加物の安全性再評価作業について、日本食品添加物協会
(1985) No.26 酢酸エチル 6/6
11.日本化学物質安全・情報センター、情報B、Vol.15(6), 16, 1993
12.通産省公報(93.12.28)
13.Karel Verschueren:Handbook of Environmental Data on Organic Chemical
2nd ed. 767 Van Nostrand Reinhold
14.西内 康浩;生態化学、4 (3)、 45-47 (1981)
15.MSDS(CCOHS) Ethyl Acetate (Feb, 2001)
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