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整理番号:No.23
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1985年 5月
改訂    2003年 4月

1.製品の名称  酸化プロピレン


2.組成、成分情報

化学名 1,2-エポキシプロパン
別名 プロピレンオキサイド
含有量 99% 以上
化学式 C3H6O(分子量58.1)
官報公示整理番号 化審法・安衛法(2)−219
CAS No. 75-56-9

3.危険有害性の要約

最重要危険有害性
有害性 蒸気は眼及び気道を刺激し、麻酔作用がある。
液体と接触すると皮膚には刺激、水泡、薬傷を生じ、眼には角膜傷害をもたらす。
環境影響 生分解性良好。
物理的及び化学的危険性 極めて引火性の強い液体(引火点 -37℃以下)
揮発性が強く、きわめて引火しやすい可燃性の液体。
空気と混合して、 爆発性混合気となる。
加熱等により、爆発的に重合が進むおそれがある
危険有害性分類の名称
(分類基準は日本方式)
引火性液体

4.応急措置

吸入した場合 大量に吸入した場合には、直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布などで覆い、保温して安静を保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣服をゆるめ、呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
必要に応じ医師の手当を受ける。
皮膚に付着した場合 汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。
その後、多量の水又は微温湯、石鹸を使ってよく洗浄する。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は、医師の手当を受ける。
目に入った場合 コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄 する。
最低15分間洗浄した後、直ちに眼科医の手当てを受ける。
洗眼の際、瞼を手でよく開いて、眼球、瞼のすみずみまで水がよく行き渡るように洗浄する。
飲み込んだ場合 吐かせてはならない。吐き出させるとかえって危険性が増す。
水で口の中をよく洗う。
意識のない場合には水等を与えてはならないし、吐かせようとしてもならない。
嘔吐が自然に起きたときは、気道への吸入が起きないように身体を傾斜させる。
保温して直ちに、医師の手当を受ける。

5.火災時の措置

消火剤 水(霧状の水)、 粉末、泡(耐アルコ−ル性)、二酸化炭素
特定の消火方法 火災発生場所の周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。
周辺火災の場合、周辺の設備などに散水して冷却する。初期消火には水(霧状の水)、 粉末、二酸化炭素などを用いる。
大規模火災の際には、泡(耐アルコール性)などを用いて空気を遮断することが有効である。
移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。
消火を行う者の保護 消火作業の際には、自給式空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 作業の際には必ず保護具を着用し、飛沫が皮膚に付着したり、蒸気を吸入しないように注意する。
危険なくできるときは、漏洩を止める。
環境に対する注意事項 濃厚な廃液が河川等に排水に入り込まないように注意する。
除去方法 少量の場合、乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ密閉できる容器に回収する。
大量の場合、漏れた液は、土砂等でその流出を防止し、安全な場所に導き、
密閉可能な空容器にできるだけ回収し、そのあとを多量の水を用いて洗い流す。
二次災害の防止法 漏れた場所の周辺から人を退避させると共に、火災爆発の危険性を警告する。
付近の着火源となるものを速やかに取り除く。
風下の人を退避させる。漏洩した場所の周辺に、ロ−プを張るなどして人の立入りを禁止する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 1.

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7.
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9.
10.
11.
12.

13.
液が眼、粘膜、皮膚及び衣類と接触しないように、また蒸気を吸入しないように、
必要に応じ、適切な保護具を着用し、風上から作業する。
室内で取扱う場合は、蒸気の発散源の密閉化又は局所排気装置を設け、
作業環境を許容濃度(暴露防止措置の欄参照)以下に保つように努める。
空気との混合ガスは非常に爆発しやすいので、取り出しや移送の際、
あらかじめ配管、貯槽などは不活性ガスで置換しておく。
容器より取り出す場合は必ず、換気の良いところで行う。
漏れ、 あふれ、 飛散を防ぎ、蒸気を発散させない。
取り扱い場所では、 高温物、火気、火花、アークを発するもの、又は酸、アルカリとの接触を避ける。
静電気対策を厳重に行い、 作業衣、 作業靴は導電性の良いものを使用する。
電気設備は全て防爆構造とし、 機器類は静電気対策を行う。
取扱い後、手洗い、洗顔を十分に行う。衣服に付着した場合は、着替える。
流動によって静電気が発生することがあるので、出し入れの容器にアースを取る。
空容器に穴をあけたり火中に投げ込まないこと。
作業所には適当な間隔で消火器、及び消火栓を配置し、
遠隔操作のできる水及び泡を噴射できるスプリンクラーを設置する。
火気厳禁立ち入り禁止危険物取り扱い中等の標識を見やすい箇所に掲げる。
保管
適切な保管条件 消防法に定められた距離を取り、 建屋は不燃構造とする。火気厳禁とする。
保管は密栓してボイラ−等熱源付近、 直射日光を避け、40 ℃以下の場所にする。
貯蔵タンクには冷却装置又は低温を保持するための装置を設け、圧力タンクは、40 ℃以下、それ以外のタンクは30 ℃以下に保つ。
換気の悪い場所、浸水のおそれのある低所に保管しない。
酸、アルカリ、可燃物、酸化性物質、過酸化物と同一の場所で保管しない。一定の場所を定めて保管する。
容器の取り扱い 容器は物質が吸湿性のため、密栓容器を用いる。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 屋内作業場での使用の場合は、発生源の密閉化、又は局所排気装置を設置する。
取扱い場所の近くに安全シャワ−、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示する。
管理濃度 設定されていない。
許容濃度 日本産業衛生学会;設定されていない。
 ACGIH(TLV-TWA)(2001) 2 ppm、A3
保護具
呼吸器の保護具 有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器
手の保護具 ゴム手袋
目の保護具 ゴ−グル型保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具 不浸透性保護衣

9.物理的及び化学的性質

外観
 物理的状態 揮発性液体
 色 無色透明
臭い 特有のエーテル臭
PH 測定項目に該当しない。
物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲
 沸点  34 ℃ (1013 hPa)
 融点 -104.4 ℃
引火点 −37 ℃以下(ダグ密閉式)
発火点 465℃
爆発特性
 爆発限界 上限 37 vol%  下限 2.8 vol %
蒸気圧 59.9kPa(20 ℃)
蒸気密度 2.0 (空気=1)
比重 0.8304 (20 ℃)
溶解性 水溶解度40.5 wt% ( 20 ℃)

10.安定性及び反応性

安定性 通常の取扱い条件においては安定である。
反応性 酸、アルカリ、アルカリ金属塩および活性水素をもつ化合物ならびに一連の鉄、スズ、アルミニウムの塩化物と接触するとき、激しく反応する。
避けるべき条件 酸、アルカリ、アルカリ金属塩および活性水素をもつ化合物ならびに一連の鉄、スズ、アルミニウムの塩化物との接触を避ける。

11.有害性情報

動物実験結果
急性毒性
経口 ラット LD50 380 mg/kg2)
マウス LD50 440 mg/kg3)
モルモット LD50 660 mg/kg 4)
吸入 ラット LC50 4000 ppm(9486 mg/m3)4H 5)
マウス LC50 1740 ppm(4126 mg/m3)4H 5)
モルモット LCLO 4000 ppm(9486 mg/m3)4H 5)
経皮 ウサギ LD50 1500 μl/kg 6)
腹腔内 マウス LD50 175 mg/kg7)
局所効果(皮膚、目) 液体及び溶液はウサギの皮膚や眼に中等度から強度の刺激性を示す。
ヒトにおいても、溶液を皮膚に接触すると刺激性や壊死がみられる可能性がある。
また蒸気により角膜の薬傷を引き起こすことが報告されている。1)
蒸気を吸入することで呼吸器系に刺激を引き起こす。1)
慢性・長期毒性 NTPにおいて、F344ラットおよび B6C3F1マウスを用いて、プロピレンオキサイドの蒸気を 0,200, 400 ppm の濃度で、6 hrs/day、5 days/week、103 week 曝露を行った。
雌雄のラット400 ppm の用量で、乳頭状腺腫の有意な増加が引き起こされたことから、NTP はラットにおい て発がん性の証拠があると結論した。
また、マウス 400 ppm 群において鼻甲介に乳頭状腺腫、 血管腫あるいは血管肉腫の有意な増加が認められることから、同様にマウスにおいても発がん 性の証拠があると結論した。
ラットにおいて化膿性炎症、過形成、鱗状化生が、またマウスに おいて炎症が、鼻甲介骨の気道上皮に観察された。11)
発がん性 IARC   2B  ヒトに対して発がん性を示す可能性がある。
EPA    B2  おそらくヒトに対して発がん性がある物質/疫学的 に不適切な証拠があるかまたはデータがない場合。
NTP    b   発がん性があると予想される物質  11)
変異原性
Ames試験 サルモネラ菌 陽性8), 9)
染色体異常試験 CHO細胞 陽性10)
姉妹染色文体交換 CHO細胞 陽性10)
厚生労働省 変異原性が認められた物質
催奇形性 妊娠期間の F344ラットに、プロピレンオキサイドを 0,100,300,500 ppm の用量で、6時間/日、妊娠 6〜15日に吸入曝露したところ、500 ppmで胎仔の第 7頸肋の有意な増加が引き起こされた。NOAELは 300 ppmであると判断された。13)
生殖毒性 プロピレンオキサイドを 300 ppm以上の濃度で2世代にわたってラットに曝露したが、多世代にわたって生殖機能に異常は見られなかった。12)

12.環境影響情報

残留性/分解性 生分解性良好 (88.12.28 通産省公報)
分解率 93〜98% (BOD測定 28日)8)
生態毒性
 魚毒性 金魚 TLm24 170 mg/l 9)

13.廃棄上の注意

残余廃棄物 廃棄に際しては引火、爆発の危険性がないように配慮する。廃棄が完全に完了するまで監視する。
プロピレンオキサイドの低濃度排水は活性汚泥等で処理する。
1〜2%の硫酸水溶液の中に少量ずつ混合中和してプロピレングリコ−ルとし、酸を中和してから、環境汚染防止を考慮した処理を行う。
空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。


14.輸送上の注意

国連分類 3.1(低引火点引火性液体 P.G1)
国連番号 1280
輸送の特定の安全対策及び条件 車両等によって運搬する場合、荷送人は運送人に運送注意書(イエローカード)を交付する。
容器の転倒、落下、摩擦等によって損傷がないように積込み、荷くずれの防止を確実に行なう。
タンクロ−リ−等への積み込み、積みおろしの際サイドブレ−キをかけ、エンジンを停止させ、車止を施こす。
タンクロ−リ−等に充填の際、静電気の発生を防止するために、接地すると共に充填パイプ の先端が完全に液体へもぐらない間はできるだけ遅い流速(1m/秒以下)で充填する。
輸送前に容器が密閉されているか、また液やガスの漏れがないかを確認する。
タンクローリー及びタンク車で輸送するとき、輸送中に漏れが起こらないように液の取り出し口のバルブ、フランジ面及び安全弁の点検をあらかじめ十分に行う。
容器の運搬に際しては引火又は発火しやすい物品及び腐食性薬品との積み合わせをしてはならない。
なお、プロピレンオキサイドの運搬に際しては、消防法、船舶安全法など関連法規を遵守しなければならない。

15.適用法令

労働安全衛生法 令別表1. 危険物(引火性の物)
施行令第18条(名称等を表示すべき有害物)
施行令第18条の2(名称等を表示すべき有害物)
            (195号 プロピレオキシド) 
化学物質管理促進法 施行令第1条別表第1 第一種指定化学物質(56号プロピレンオキシド)
消防法 危険物第4類 特殊引火物 危険等級1. (指定数量 50 liters)
海洋汚染防止法 ばら積み運送:有害液体物質(C類)
IMDG クラス3.1等級I旅禁
船舶安全法    危規則別表第5 引火性液体類
港則法 危険物 引火性液体類

16.その他の情報

文献

  1. A C G I H. Documentation of the Threshold Limit Values and Biological Exposure Indices.
    5th ed.(1986):504 (HSDBより)
  2. Gigiena Truda i Professional'nye Zabolevaniya. Labor Hygiene and Occupational V.1-36,
    1957-1992. For publisher information, see MTPEEI (1970)14(11):55. (RTECSより)
  3. Gigiena Truda i Professional'nye Zabolevaniya. Labor Hygiene and Occupational V.1-36,
    1957-1992. For publisher information, see MTPEEI (1970)14(11):55. (RTECSより)
  4. Gigiena i Sanitariya. For English translation ,see HYSAAV. V.1- 1936- (1981)46(7):76(RTECSより)
  5. K.H.Jacobson,et al,(1956)A.M.A. Archives of Industrial Health. 13:237
  6. American Industrial Hygiene Association Journal. V.19- 1958- (1969)30:470 (RTECSより)
  7. Izmerov, N.F,et al(1982)Toxicosmetric Parameters of Industrial Toxic Chemicals Under
    Single Exposure,GKNT,103 (RTECSより)
  8. E.H.Pfeiffer,et al (1980),Food Cosmet. Toxicol. ,18:115
  9. J.D.Bootman,et al(1979),Mutas.Res.,67:101
  10. D.K.Gulati, K.Witt,B .Anderson,et al.(1989),Environ.Mol.Mutagen.,13:133
  11. National Toxicology Program, TR 267,1985
  12. Hayes,W.C.et al,(1988),Fund.Appl.Toxicol. 10:82-88
  13. S.B.Harris,et al(1989),Fundam.Appl.Toxicol.,13:323