HOME > 製品安全データシート > 2-エチルヘキサノール
 
整理番号:No.21
石 油 化 学 工 業 協 会
作成    1985年 5月
改訂    2005年 7月

1.製品の名称  2-エチルヘキサノール


2.組成、成分情報

化学名 2-エチルヘキサノール
別名 2-エチル-1-ヘキサノール、2-エチルヘキシルアルコール、オクタノール
含有量 99% 以上
化学式及び構造式 C4H9CH(C2H5)CH2OH (分子量 130.23)
官報公示整理番号 化審法・安衛法(2)−217
CAS No. 104-76-7

3.危険有害性の要約

最重要危険有害性
 有害性 眼に重度の障害を与える恐れがある1)
 環境影響 水性生物に対して毒性がある2)
 物理的及び化学的危険性 可燃性の液体(引火点78℃)
分類の名称
(分類基準は日本方式)
分類基準に該当しない。

4.応急措置

吸入した場合 患者をただちに空気の新鮮な場所に移し、安静、保温に努め、速や かに医師の手当てを受ける。
呼吸が停止している場合には人工呼吸を
行い、呼吸困難な場合には酸素吸入を行う。
皮膚に付着した場合 汚染した衣服や靴を脱ぎ、触れた部位を多量の水で洗い流す。
もし、
皮膚に炎症を生じた場合は医師の手当てを受ける。
目に入った場合 ただちに清浄な水で15分以上洗眼した後、医師の手当てを受ける。
コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り 除いて洗浄する。
洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶた
のすみずみまで水がよく行きわたるように洗浄する。
飲み込んだ場合 水でよく口の中を洗浄する。
可能であれば吐き出させ、直ちに医師
の手当てを受ける。
被災者に意識がない場合には、口から物を与えた
り、吐かせようとしてもいけない。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、二酸化炭素、泡消火剤、水噴霧
特定の消火方法 火元への燃焼源を断ち、消火剤を用いて消火する。
又、延焼の恐れのないように水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
危険を伴わず実施できるなら、火災区域から容器を移動する。
棒状水の使用は火災を拡大し危険な場合がある。
消火を行う者の保護 消火作業は風上から行い、場合によっては呼吸保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 風下の人を退避させる。
漏洩した場所の周辺にはロープを張るなどして、人の立ち入りを禁止する。
作業の際には必ず保護具を着用する。
風下で作業しない。
環境に対する注意事項 漏出物が河川等、公共水域に流されないように留意する。
除去方法 少量の場合、漏洩した液は土砂などに吸着させて空容器に回収する。
大量の場合、漏洩した液は土砂などで流れを止め安全な場所に導いた後、液の表面を泡などで覆い、できるだけ容器に回収する。
二次災害の防止策 熱、炎、スパークなど着火源となるものを速やかに取り除くと共に、消火剤を用意する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い
 技術的対策
 (取扱者の暴露防止、火災爆発の防止など)
・吸い込んだり、目、皮膚及び衣類に触れないように、適切な保護具を着用し、できるだけ風上から作業する。
・静電気対策を行い、作業衣、作業靴は導電性のものを用いる。
 注意事項
 (局所排気、全体排気、エアロゾル・粉塵発生防止など)
・漏れ、あふれ、飛散しないようにし、みだりに蒸気を発生させない。
 安全取扱い注意事項
 (混合接触防止、接触回避など);
・高温物、スパーク、火炎を避け、強酸化剤との接触を避ける。
・使用済みの容器は一定の場所を定めて集積する。
・容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、または引きずる等の粗暴な取り扱いをしない。
保管
 適切な保管条件 ・保管場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類はすべて接地する。
・容器は直射日光を避け涼しい場所に貯蔵し、密閉して、空気との接触を避ける。
・ボイラーなど熱源付近や可燃物の近くに置かない。
・酸化性物質、有機過酸化物などと同一場所におかない。
・火気注意
・消防法 危険物第4類第3石油類(非水溶性液体)の適用法規に従って保管する。
 安全な容器包装材料 耐火性の容器を使用する。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 屋内作業場での使用の場合は発生源の密閉化又は局所排気装置を設置することが望ましい。
取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示する。
管理濃度 設定されていない。
許容濃度 設定されていない。
* 類似物質のイソオクチルアルコール(異性体混合物)に対しては、ACGIH勧告値として時間加重平均値(TWA)50ppm(270mg/m3)が設定されている。
保護具
呼吸器用の保護具 有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器
手の保護具 耐溶剤性(不浸透性)の手袋
目の保護具 ゴ−グル等
皮膚及び身体の保護具 保護服、保護長靴(帯電防止用)、保護前掛け等

9.物理的及び化学的性質

物理的状態
  形状 液体
  色 無色透明
  臭い 特有な臭い
物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲
  沸点  185 ℃
  融点 -76℃
PH 該当しない
引火点 78℃(密閉)
発火点 270℃
爆発特性
  爆発限界 0.88〜9.7 vol %
蒸気圧 48Pa (=0.36mm Hg) (20℃)
1.33kPa(=10 mm Hg) (79℃)
蒸気密度 (空気=1) 4.49
密度 0.834g/cm3(20℃)
溶解性
 溶媒に対する溶解性
  水への溶解度 0.1 g/100g (20℃)
  水の溶解度 2.6 wt% (20℃)
  溶媒の溶解性 ゴム、樹脂、ワックス、油脂などを溶解する。有機溶剤とは相
互によく溶け合う。
オクタノール/水分配係数 logPow=3.1

10.安定性及び反応性

安定性 通常条件では安定。危険を伴う重合は起こらない。
反応性 自己反応性無し。
避けるべき条件 高温、火炎、スパーク及び着火源
避けるべき材料 強酸化剤との配合
危険有害な分解生成物 燃焼等によりCO等の有害ガスを発生する恐れがある。

11.有害性情報

急性毒性
経口 ラット LD50 2.0-3.7g/kg 1)
マウス LD50 3.2-6.4g/kg 1)
経皮 ウサギ LD50 ≧2.0g/kg 1)
吸入 ラット 飽和蒸気圧に近い227ppm/6時間で死亡なし1)
局所効果(皮膚、目)
  皮膚刺激 ウサギ   皮膚刺激性はわずかであるという報告と、中程度であるとい う報告がある1)
  目刺激 ウサギ   中程度という報告と、角膜に重度の障害を及ぼすとの報告が ある1)
感作性 ヒトへの感作性は認められていない1)
慢性・長期毒性
  反復経口投与毒性 ラットに0〜500mg/kg/日の用量で13週間経口投与。
250mg/kg/日以上で、腎臓、
肝臓、胃の相対臓器重量が増加した。
NOAEL(無有害性影響量)は125mg/kg/日。

マウスに0〜500mg/kg/日の用量で13週間経口投与。
250mg/kg/日以上で胃の重
量が、125、250mg/kg/日で肝臓の重量が増加した1), 3)
  反復経皮投与毒性 ウサギの皮膚に1.66g/kg/日の用量で12日間塗布。皮膚には僅かの影響が見ら れただけであった。
9日後に体重減少が観察された1)
発がん性 ラット(0〜500mg/kg/日、2年間)およびマウス(0〜750mg/kg/日、1年半)に経口投与。
いずれも発がん性はみられなかった1)
変異原性 エームステスト、染色体異常試験、小核試験のいずれも陰性であった1)
生殖毒性 ラットやマウスでの亜急性、慢性毒性試験で生殖器への悪影響は出なかった。
雄マウスに250〜1,000mg/kg/日を5日間経口投与し、投与していない雌と交配させたところ、優性致死試験は陰性であった1)
催奇形性・発生毒性 ラットに妊娠1〜19日の間、約190ppmの濃度で7時間/日、吸入暴露しても発 生毒性はみられなかった。
ラットに妊娠6〜15日の間、0.3〜3.0ml/kgを経皮
投与。
1.0ml/kg以上で母体の体重増加量が低下したが、発生毒性はみられな
かった1)
ラットに妊娠6〜15日の間、130〜1300mg/kgを経口投与。650mg/kg

では軽度の母体及び胎児毒性がみられたが催奇形性はなかった。NOAELは 130mg/kg1)
その他 職業性被曝による著しい有害作用の報告はない。
過剰被曝では、皮膚、眼、気道粘膜が刺激されるであろう1)

12.環境影響情報

移動性 物理化学的性質からみて水域環境に移行しうる3)
残留性/分解性 生分解性良好3), 4)
生態毒性
  魚毒性 ニジマス     LC50(96時間) 32-37ppm 5)
  その他 ミジンコ     LC50(48時間) 39mg/L 6)
藻類        EC50(48時間) 10-50mg/L 6)
オクタノール/水分配係数 logPow=3.1

13.廃棄上の注意

残余廃棄物 焼却炉の火室へ噴霧し焼却するか、少量の場合は珪藻土等に吸着させて開放型の焼却炉で焼却する。
廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に、内容物を明確にして処理を委託する。
汚染容器・包装 空容器を廃棄する場合、内容物を完全に除去した後に処分する。
洗浄水
等は、活性汚泥等の処理により清浄にしてから排出する。

14.輸送上の注意

国連分類 危険物に該当しない。
国連番号 無し。
国内規制 消防法 危険物第4類 第3石油類(非水溶性液体) 
その他注意事項 ・引火性液体であるので火気厳禁である。
・車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人にイエローカードを携帯させる。
・運搬に際しては容器に漏れの無いことを確かめ、転倒、落下、損傷等が無いように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
・ タンク車(ローリー)等への充填、積み下ろし時は平地に停車させ、車止めをし、接地し、タンク車の許容圧以下の圧縮ガスまたはポンプを用いて行う。
・ホースの脱着時は、ホース内の残留物の処置を完全に行う。
・ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。

15.適用法令

消防法 法第2条危険物第4類引火性液体、第3石油類非水溶性液体
海洋汚染防止法 施行令別表第一有害液体物質(C類物質)

16.その他の情報

文献

1) Clayton & Clayton : Patty's Industrial Hygiene and Toxicology, 4th Ed. Vol II,Part D,John Wiley & Sons, pp. 2678(1994).

2) 国際化学物質安全性カード(ICSCカードNo.0890)

3) OECD SIDS Initial Assessment Profile(CAS 104-76-7)

4) 化審法化学物質 改訂第4版(化学工業日報社、1999)、既存化学物質安全性点検データ(旧通産省公報1977年12月1日)

5) G.Dave et al.: Hydrometallurgy, 3,201-206(1978)

6) International Uniform Chemical Information Database(IUCLID) No.0261(CAS104-76-7)(European Chemicals Bureau)