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石 油 化 学 工 業 協 会 |
| 整理番号:No.19 |
作成 1986年 5月25日
改訂 2000年 5月31日 |
1.製品の名称 tert−ブタノ−ル
2.組成、成分情報
| 化学名 |
: |
tert-ブタノ−ル
(別名: 2-メチル-2-プロパノ−ル、tert-ブチルアルコール、トリメチルカルビノール) |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
(CH3)3COH、(分子量 74.12) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法(2)−3049 安衛法 2−(8)−303 |
| CAS No. |
: |
75−65−0 |
3.危険・有害性の要約
| 分類の名称 |
: |
引火性液体 |
| 有害性 |
: |
麻酔作用を示す。大量暴露により目、鼻、喉の刺激、頭痛めまい等が報告されているが、全身的影響は報告されていない。 |
| 環境影響 |
: |
生分解性は不良であるが、濃縮性はない。 |
| 危険性 |
: |
引火性の液体(引火点 11℃)
揮発性かつ可燃性の液体または固体。 |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
被災者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布などでおおい、保温して安静に保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
意識はないが呼吸している場合、又は意識はあるが呼吸困難の場合は酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うのが望ましい。
医師の指示なしに酸素以外の投薬をしたり、被災者に口からものを与えてはならない。直ちに医師の手当てを受ける。 |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば衣服等を切断する。
その後、水または微温湯を流しながら洗浄する。
石けんを使ってよく洗い落とす。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は医師の手当てを受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
コンタクトレンズを使用している場合は固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間洗浄した後、直ちに眼科医の手当てを受ける。洗眼の際、まぶたを指で良く開いて、眼球、まぶたの隅々まで水が良く行き渡るように洗浄する。 |
| 飲み込んだ場合 |
: |
意識のある場合には多量の水を飲ませた後、吐かせ、直ちに医師の手当てを受ける。
意識のない場合には水等を与えてはならない。保温して直ちに医師の手当てを受ける。 |
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
粉末、二酸化炭素、泡(耐アルコ−ル泡) |
| 消火方法 |
: |
火災発生場所周辺に関係者以外の立入を禁止する。
初期の火災には粉末、二酸化炭素を用いる。
大規模火災の際には、泡消火剤を用いて空気を遮断することが有効である。
周辺火災の場合、周囲の設備などに散水して冷却する。
移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。 |
| 消火を行う者の保護 |
: |
消火作業は、自給式呼吸器等の保護具を着用する。 |
6.漏出時の措置
| 人体に対する注意事項 |
: |
1.漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立ち入りを禁止する。
2.作業の際は保護具を着用し飛沫が皮膚に付着したり、ガスを吸入しないように
注意し、風上から作業する。
3.風下の人を退避させる。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
1.付近の着火源となるものを速やかに取り除く。 |
| 除去方法 |
: |
1.危険なくできるときは漏洩部を止める。
2.漏出した場所の周辺から人を退避させると共に火災爆発の危険性を警告する。
3.少量の場合
乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ密閉できる容器に回収する。
4.大量の場合
盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。
この際、下水、側溝等に入り込まないように注意する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.吸入を防ぎ、目、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取り扱う場合は蒸気の発散源を密閉する設備、または局所排気装置を設ける。
4.取扱後、手洗い、洗顔を十分に行い、又衣服に付着した場合は着替える。
5.漏れ、あふれ、飛散を防ぎ、蒸気を発生させない。
6.引火しやすいため、火気、火花、ア−クを発生するものまたは高温点火源を付近で使用しない。
7.取扱場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類は静電気対策を講じる。 |
| (容器取扱い) |
: |
8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器はみだりに転倒させ、衝撃を加え、または引きずる等の乱暴な取り扱いをしない。
容器から出し入れするときは、こぼれないようにする。
10.流動によって静電気が発生する場合があるので出し入れの容器にはアースを取る。
11.使用済み容器は一定の場所を定めて保管する。 |
| 保管 |
: |
1.容器は直射日光を避け、通風の良い、冷暗所に保管する。
2.保管場所は火気厳禁とする。
3.酸化性物質、有機過酸化物と同一の場所で保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 管理濃度 |
: |
設定されていない |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会勧告値(1999) 50
ppm (150mg/m3) (87年提案)
ACGIH (1999) TLV―TWA : 100 ppm |
| 設備対策 |
: |
1.室内での取扱の場合は発生源の密閉化又は局所排気装置を設置する。
2.取扱場所の近くに安全シャワ−、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示しておく。 |
| 保護具 |
: |
呼吸器系保護具 :防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器
手の保護具 :保護手袋(ゴム)
目の保護具 :保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具 :保護長靴(ゴム) |
9.物理的及び化学的性質
| 外観 |
: |
25.5 ℃ 以上で無色透明液体、25.5
℃ 以下で無色の結晶 |
| 臭気 |
: |
ショウノウに似た匂い |
| 沸点 |
: |
82.5 ℃ |
| 融点 |
: |
25.5 ℃ |
| 引火点 |
: |
11 ℃ (密閉式) |
| 発火点 |
: |
478 ℃ |
| 爆発限界 |
: |
下限 2.4 vol % 上限 8
vol % |
| 蒸気圧 |
: |
4.08 kPa (30.6 mmHg ) (
20℃ ) |
| 蒸気密度 |
: |
2.55 ( 空気=1) |
| 密度 |
: |
0.78 g/cm3 ( 20℃
) |
| 溶媒に対する溶解性 |
: |
水 : 自由に混合 |
| オクタノール/水分配係数 |
: |
log Pow = 0.37
4,7,9) |
10.安定性及び反応性
11.有害性情報
1. ヒトへの健康影響
| |
(1)急性影響 |
: |
中枢神経系に対する影響として頭痛、筋無力化、めまい、運動失調、錯乱を生じ、消化管に対する影響として吐き気、嘔吐、下痢が見られる。tert-ブタノールの蒸気や液体は皮膚、目、喉に対して刺激性を有する。また、ヒトのパッチテストで陽性を示し、アレルギー性皮膚炎を起こす可能性がある。 6) |
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(2)麻酔作用 |
: |
麻酔作用はノルマルー及びイソーより強い。 |
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(3)大量暴露 |
: |
眼、鼻、喉の刺激、頭痛、めまい等が報告されているが、全身的影響については報告されていない。 |
2.動物への影響
(1)急性毒性
| 経口 |
ラット |
LD50 |
3,500 mg/kg |
1,4,6) |
|
ラット |
LD50 |
2,743 mg/kg |
8) |
|
ウサギ |
LD50 |
3,600 mg/kg |
1,3,4,8) |
|
マウス |
LD50 |
2,600 mg/kg |
6) |
| 経皮 |
ウサギ |
LD50 |
2,000 mg/kg 以上 |
8) |
| 吸入 |
ラット |
LD50 |
1 % 以上 |
8) |
| 腹腔内 |
ラット |
LD50 |
1,000 mg/kg |
6) |
| 経口 |
マウス |
LD50 |
399 mg/kg |
8) |
(2)刺激性
| ウサギに長時間塗布しても刺激性は認められなかった。 2) |
(3) 感作性
(4) 反復投与毒性
| 経口投与 |
: |
マウスに 3,400 mg/kg ( 12.5 ml/l ) を7日間混餌投与した実験で、回避行動の低下が見られている。 6) |
| 吸入暴露 |
: |
ラットを 2,000 ppm に3日間、500 ppm に5日間暴露した実験で、腎臓でチトクローム
P-450 の増加が見られている。 6) |
(5) 慢性毒性
(6)変異原性
| アカパンカビを用いた in vitro の実験では変異原性は認められなかった。 6) |
| In vivo ではマウスに tert- ブタノールを13週間飲水投与した例で抹消血の小核の増加は認められていない。 6) |
(7) 発がん性
| ACGIH (1999) でA4(ヒトへの発がん性物質として分類できない物質) 2) |
(8)生殖毒性
| 経口投与でマウスは奇形は出現していないが、ラットでは小頭症が出現している。 6) |
(9)代謝排泄
tert-ブタノ−ルはアルコ−ル脱水素酵素の作用を受ず、酸化は非常に遅い。
ラットに経口投与した場合、血中濃度は2時間後にピ−クになり、残留時間は長い。
ウサギの例では70時間後にも血中に残留していたとの報告もある。 |
(10)その他
| 実験動物において甲状腺の濾胞細胞線種や腎臓の線種やがんの発生率増加が報告されている。 6) |
12.環境影響情報
| 生分解性 |
: |
生分解性不良:化審法の既存化学物質点検で難分解である。 6,7)
分解率(BOD から算出した分解率)
非馴化汚泥使用4週間 2.5% 6) |
| 濃縮性 |
: |
低濃縮 6週間 5倍以下 6,7) |
| 生態影響 |
: |
魚毒性 : 金魚 LC50
(24h) 5,000 mg/l 以上 4)
藻毒性 : 緑藻 EC50 24,200 mg/l 4) |
13.廃棄上の注意
廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。
- おがくず、ウエス等に吸収させ、焼却炉で焼却する。
- 焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
- 多量の場合は、免許を所有している専門業者に処理を委託する。
- 空容器を廃棄する場合は内容物を完全に除去した後に処分する。
14.輸送上の注意
国連分類 : クラス3 (引火性液体類) P.G.2
国連番号 : 1120
- 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人へ運送注意書(イエローカード)を携帯させる。
- 容器の破損、漏れがないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損のないように積み込み荷崩れ防止を確実に行う。
- タンク車(ローリー)等への充填、積み卸し時は、平地に停止させ、車止めをし、接地し、タンク車の許容圧以下の圧縮ガス又はポンプを用いて行う。
- ホースの脱着時はホース内の残留物の処理を完全に行う。
- ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。
15.適用法令
| 労働安全衛生法 |
: |
施行令別表第1 危険物(引火性のもの)
施行令別表第9、通知対象物(MSDS関連) |
| 消防法 |
: |
危険物第4類第1石油類(水溶性)指定数量
400 l |
| 船舶安全法 |
: |
危規則 別表第5 引火性液体類 |
| 航空法 |
: |
告示別表第3 引火性液体 |
16.その他の情報
文献:
- G. Clayton, F. Clayton, ed, “Patty's Industrial Hygiene and Toxicology,
4th rev.” (1994)
- ACGIH, Documentation of the Threshold Limit Value (1999)
- A.L. Bridie et al., Water Research, Vol.13, p.623 (1979)
- IPCS Environ. Health. Criteria 65 “Butanols-Four Isomers” (1987)
- 化学物質ハザードデータ集 1、p.681 (1997) (第一法規)
- 化審法既存化学物質安全データ集 (JETOC) (1992)
- NIOSH, “Registry of Toxic Effects of Chemical Substances” (1999)
- Handbook of Environmental Data on Organic Chemicals (3rd ed.) (1996)
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