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石 油 化 学 工 業 協 会 |
| 整理番号:No.18 |
作成 1984年5月16日
改訂 2000年5月31日 |
1.製品の名称 sec−ブタノール
2.組成、成分情報
| 化学名 |
: |
sec-ブタノール
(別名:2-ブタノール、sec-ブチルアルコール、メチルエチルカルビノール
) |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
CH3CH2CH(OH)CH3 、(分子量 74.12) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法(2)−3049 安衛法2−(8)−300 |
| CAS No. |
: |
78−92−2 |
3.危険・有害性の要約
| 分類の名称 |
: |
引火性液体、急性毒性物質 |
| 有害性 |
: |
中枢神経系への作用が主なもので、過度の曝露は、頭痛、めまい、し(嗜)眠、麻酔状態を引き起こすことがある。また、目や鼻、喉への刺激があらわれることがある。 |
| 環境影響 |
: |
生分解性良好。 |
| 危険性 |
: |
揮発性かつ可燃性の液体である。
蒸気は空気と混合すると爆発性混合ガスになる。
蒸気は空気より重いので低い所に滞留しやすい。 |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
被災者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布などでおおい、保温して安静に保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
意識はないが呼吸している場合、又は意識はあるが呼吸困難な場合は酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うのが望ましい。
医師の指示なしに酸素以外の投薬をしたり、被災者に口からものを与えてはならない。直ちに医師の手当てを受ける。
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| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば衣服等を切断する。
その後、水または微温湯を流しながら洗浄する。
石けんを使ってよく洗い落とす。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合は医師の手当てを受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
コンタクトレンズを使用している場合は固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間洗浄した後、直ちに眼科医の手当てを受ける。洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたの隅々まで水がよく行き渡るように洗浄する。 |
| 飲み込んだ場合 |
: |
意識のある場合には多量の水を飲ませた後、吐かせ、直ちに医師の手当てを受ける。
意識のない場合には水等を与えてはならない。
保温して直ちに医師の手当を受ける。 |
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
粉末、二酸化炭素、泡(耐アルコ−ル泡) |
| 消火方法 |
: |
火災発生場所周辺に関係者以外の立入を禁止する。
初期の火災には粉末、二酸化炭素を用いる。
大規模火災の際には、泡消火剤を用いて空気を遮断することが有効である。
周辺火災の場合、周囲の設備などに散水して冷却する。
移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。 |
| 消火を行う者の保護 |
: |
消火作業は、自給式呼吸器等の保護具を着用する。 |
6.漏出時の措置
| 人体に対する注意事項 |
: |
1.漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立ち入りを禁止する。
2.作業の際は保護具を着用し飛沫が皮膚に付着したり、ガスを吸入しないように
注意し、風上から作業する。
3.風下の人を退避させる。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
1.付近の着火源となるものを速やかに取り除く。 |
| 除去方法 |
: |
1.危険なくできるときは漏洩部を止める。
2.漏出した場所の周辺から人を退避させると共に火災爆発の危険性を警告する。
3.少量の場合
乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ密閉できる容器に回収する。
4.大量の場合
盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。
この際、下水、側溝等に入り込まないように注意する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.吸入を防ぎ、目、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取り扱う場合は蒸気の発散源を密閉する設備、または局所排気装置を設ける。
4.取扱後、手洗い洗顔を十分に行い、又衣服に付着した場合は着替える。
5.漏れ、あふれ、飛散を防ぎ、蒸気を発生させない。
6.引火しやすいため、火気、火花、ア−クを発生するものまたは高温点火源を付近で使用しない。
7.取扱場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類は静電気対策を講じる。 |
| (容器取扱い) |
: |
8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器はみだりに転倒させ、衝撃を加え、または引きずる等の乱暴な取り扱いをしない。
容器から出し入れするときは、こぼれないようにする。
10.流動によって静電気が発生する場合があるので出し入れの容器にはアースを取る。
11.使用済み容器は一定の場所を定めて保管する。 |
| 保管 |
: |
1.容器は直射日光を避け、通風の良い、冷暗所に保管する。
2.保管場所は火気厳禁とする。
3.)酸化性物質、有機過酸化物と同一の場所で保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 管理濃度 |
: |
100 ppm |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会勧告値 (1999)
: 100 ppm ( 300 mg/m3 ) (87年提案)
ACGIH (1999) TLV-TWA : 100 ppm |
| 設備対策 |
: |
(1) 室内での取扱の場合は発生源の密閉化又は局所排気装置を設置する。
(2) 取扱場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示しておく。 |
| 保護具 |
: |
呼吸器系保護具 :有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器
手の保護具 :保護手袋
目の保護具 :保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具 :保護長靴 |
9.物理的及び化学的性質
| 外観 |
: |
無色透明液体 |
| 臭気 |
: |
葡萄酒に似たにおい |
| 沸点 |
: |
99.5 ℃ |
| 融点 |
: |
-114.7 ℃ |
| 引火点 |
: |
24 ℃ (密閉式) |
| 発火点 |
: |
405 ℃ |
| 爆発限界 |
: |
下限 : 1.7 vol.% 上限 : 9.8 vol.% |
| 蒸気圧 |
: |
約 1.7 kPa ( 12.8 mmHg ) ( 20 ℃ ) |
| 蒸気密度 |
: |
2.55 (空気=1) |
| 密度 |
: |
0.81 g/cm3 ( 20 ℃ ) |
| 比熱 |
: |
2.814 J/g ( 20℃ ) |
| 溶媒に対する溶解性 |
: |
水 12.5 g/100 ml ( 20 ℃ )
その他 :アルコール、エステル、エーテル、芳香族炭化水素等多くの有機溶剤に溶ける。 |
| オクタノール/水分配係数 |
: |
log Pow = 0.61 1,13) |
10.安定性及び反応性
爆発性過酸化物を生成することがある。
三酸化クロム、酸化剤と反応し、火災の危険をもたらす。
一部のプラスチック、ゴムを浸す。
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11.有害性情報
1.ヒトへの健康影響
| |
(1)急性影響 |
: |
高濃度の曝露では、頭痛や倦怠感、吐き気、めまい、麻酔状態が起こりやすい。
2)
中枢神経系に影響を与え、中毒を起こすことがある。 1) |
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(2)刺激性 |
: |
sec-ブタノールの曝露は目、鼻、喉への刺激があり目が赤くなり、涙、鼻水、咳が出ることがある。
また、皮膚の脱脂がおこることがある。 2) |
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(3)慢性影響 |
: |
長期間の曝露は皮膚炎の原因となることがある。 2)
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2.動物への影響
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経口 |
ラット |
LD50 |
6,500 mg/kg 3,4) |
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ラット |
LD50 |
2,193 mg/kg 12) |
|
|
ウサギ |
LD50 |
4,900 mg/kg 3,4,12) |
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経皮 |
ラット |
LD50 |
2,000 mg/kg 以上 12) |
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ラット |
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10,000 ppm/7h 5匹の実験で全て死亡。 5) |
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吸入 |
ラット |
LCL0 |
16,000 ppm (4h) 12) |
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マウス |
|
3,300 ppm/5 h〜19,800 ppm/40 min の曝露で運動機能障害、麻酔性が現われたが
死亡しなかった。 2) |
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腹腔内 |
ラット |
LD50 |
138 mg/kg 12) |
| |
(2)目刺激性 |
: |
ウサギ 直接目に入ると角膜を強く傷つける。 2,11)
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(3)皮膚刺激性 |
: |
ウサギ 刺激性なし。 3) |
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(4)亜急性毒性 |
: |
ラット 5,000 ppm で1日に7時間、19日の曝露で運動機能障害、麻酔状態が現れた。
同様に 7,000 ppm では試験後の麻酔性が完全には回復しなかった。
5) |
|
|
: |
マウス 5,330 ppm ( 16.2 mg/1 ) で繰り返し、計117時間曝露させた結果、
麻酔状態は現れたが死亡はなかった。 3) |
|
(5)感作性 |
: |
知見なし。 |
|
(6)反復投与毒性 |
: |
知見なし。 |
|
(7)慢性毒性 |
: |
知見なし。 |
|
(8)変異原性 |
: |
微生物復帰突然変異 サルモネラ、大腸菌(最大用量 4,000
μg/plate )
染色体異常 チャイニーズハムスター細胞株 (同 5,000 μg/ml )
酵母遺伝子変換 サッカロミセス (同 5 mg/ml ) のいづれでも変異原性を示さなかった。
6) |
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(9)発がん性 |
: |
知見なし。 |
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(10)生殖毒性 |
: |
0, 3,500, 5,000, 7,000 ppm の濃度で7時間/日の曝露を妊娠1〜19日間に、雌ラットにおこなったところ、母ラットに死亡はなかっ
たが体重増加や摂餌量が減少した。7,000 ppm の試験では胎児数が減少した。しかし、催奇形性はいずれでも見られなかった。
5,7) |
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(11)代謝排泄 |
: |
1)ウサギ(雄)に 2 ml/kg 経口投与した試験では、sec-ブタノールは未変化のまま
3.3 % が呼気に、2.6 % が尿中に排泄された。
sec-ブタノールの血中濃度は投与1時間後に最高となり10時間後には痕跡量まで減少した。代謝物であるメチルエチルケトンは6時間後に血中濃度がピークとなった。
3)
2)ラット(雄)への経口投与では代謝物は2−ブタノン(メチルエチルケトン)、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、2,3−ブタンジオールで投与量の
97 % が2−ブタノンに変換された。 3) |
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(12)その他、神経毒性 |
: |
ラットに、8.1 mmol ( 600 mg ) /kg を静脈注射すると
20〜60 秒以内に立ち直り反射を失った。 |
12.環境影響情報
| 生分解性 |
: |
(1)通産省の既存化学物質点検では、「生分解性良好」との結果が出ている。
BOD 分解率 73.5 %。 8) |
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(2)BOD,COD
BOD5=2.15 g/g CODcr=2.49 g/g 9)
(理論酸素消費量=2.59 g/g) |
| 生態影響 |
: |
魚毒性 金魚 LC50
(24h) 4,300 mg/l 3)
ゴールデン・オルフェ LC50 (48h) 3,520
mg/l 3)
藻毒性 緑藻 95 mg/l 8日で影響が観察されなかった。
3)
ミジンコ 遊泳阻害 24時間EC50 4,400
mg/l 10)
48時間EC50
4,200 mg/l 10) |
13.廃棄上の注意
廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。
- おがくず、ウエス等に吸収させ焼却炉で焼却する。
- 焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
- 多量の場合は、免許を所有している専門業者に処理を委託する。
- 空容器を廃棄するときは内容物を完全に除去した後に処分する。
14.輸送上の注意
国連分類 : クラス3 (引火性液体類)P.G 2
国連番号 : 1120
- 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人へ運送注意書(イエローカード)を携帯させる。
- 容器の破損、漏れがないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損のないように積み込み荷崩れ防止を確実に行う。
- タンク車(ローリー)等への充填、積み卸し時は、平地に停止させ、車止めをし接地し、タンク車の許容圧以下の圧縮ガスまたはポンプを用いて行う。
- ホースの脱着時はホース内の残留物の処理を完全に行う。
- ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。
15.適用法令
| 労働安全衛生法 |
: |
施行令別表第1 危険物(引火性のもの)
有機則(施行令別表第6の2) 有機溶剤(第2種)
施行令第18条 名称等を表示すべき危険物
政令指定物質「通知すべき有害物475」
施行令別表第9、通知対象物(MSDS関連) |
| 消防法 |
: |
危険物 第4類第2石油類(非水溶性)(1,000
l) |
| 船舶安全法 |
: |
危規則 危険物告示別表第5 引火性液体類 |
| 港則法 |
: |
施行規則 危険物(引火性液体類) |
| 航空法 |
: |
危険物告示別表第3 引火性液体 |
16.その他の情報
文献:
- 国立衛生試験所化学物質情報部他 監修
“国際化学物質安全性カード (ICSC:International Chemical Safety Cards)”
化学工業日報社発行
- US Department of Health and Human Services, Public Health Services,
Centers for Disease Control, National Institute for Occupational Safety
and Health,
Div. of Standards Dev. and Tec. Transfer “sec-Butyl Alcohol” (1992)
- IPCS Environmental Health Criteria 65 “Butanols − Four Isomers”
(1987)
- G. Clayton , F. Clayton, ed. “Patty's Industrial Hygiene and Toxicology,
4th rev.” (1994)
- B. K. Nelson et al. Fundamental and Applied Toxicology Vol.12, p.469-479
(1989)
- T. M. Brooks, A. L. Meyer , D. H. Huston, Mutagenesis ,Vol.3, No.3,
p. 227-232 (1988)
- J L. Schardein, International Research and Development Corporation,
Mattawan, Michigan
Chemically Induced Birth Defects, “Industrial Solvents.” p.751-775 (1993)
- “化審法の既存化学物質安全性点検データ集”
(社)日本化学物質安全・情報センター (1992)
- A. L. Bridie et al. , Water Reserch, Vol.13, p.623 (1979)
- Renate Kuehn et al., Water Research, Vol.23, No.4, p.495-499 (1989)
- W.M.Grant “Toxicology of the eye. 3rd ed.” Springfield, IL : Charles
C. Thomas.
- NIOSH “Registry of Toxic Effects of Chemical Substances” (1999)
- Handbook of Environmental Data on Organic Chemicals (3rd ed.) (1996)
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