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整理番号:No.16
石 油 化 学 工 業 協 会
作成   1983年 5月
改訂   2005年 7月

1.製品の名称  n−ブタノール


2.組成、成分情報

化学名 n−ブタノール
別名 ノルマルブチルアルコール、1-ブタノール
含有量 99%以上
化学式 CH3CH2CH2CH2OH(分子量 74.12)
官報公示整理番号 化審法番号 (2)−3049
  安衛法番号 2−(8)−299
CAS No. 71−36−3
TSCA記載 有り
EINECS No. 200−751−6

3.危険有害性の要約

最重要危険有害性
  有害性 吸入及び飲み下すと有害である。
眼に対して重大な障害を及ぼす危険性がある。
  環境影響 分解性があり魚毒性も低い。
  物理的及び化学的危険性 可燃性である。
分類の名称(分類基準は日本方式) 引火性液体、急性毒性物質

4.応急措置

吸入した場合 患者をただちに空気の新鮮な場所に移し、安静、保温に努め、速やかに医師の手当てを受ける。呼吸が停止している場合には人工呼吸を行い、呼吸困難な場合には酸素吸入を行う。
皮膚に付着した場合 汚染した衣服や靴を脱ぎ、触れた部位を多量の水で洗い流す。もし、皮膚に炎症を生じた場合は医師の手当てを受ける。
眼に入った場合 ただちに清浄な水で15分以上洗眼した後、医師の手当てを受ける。コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。洗眼の際、まぶたを指でよく開いて、眼球、まぶたのすみずみまで水がよく行きわたるように洗浄する。
飲み込んだ場合 水でよく口の中を洗浄する。可能であれば、吐き出させ、直ちに医師の手当てを受ける。被災者に意識がない場合には、口から物を与えたり、吐かせようとしてもいけない。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、二酸化炭素、泡消火剤、水噴霧
特定の消火方法 火元への燃焼源を断ち、消化剤を用いて消火する。又、延焼の恐れのないように水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。危険を伴わず実施できるなら、火災区域から容器を移動する。棒状水の使用は火災を拡大し危険な場合がある。
消火を行う者の保護 消火作業は風上から行い、場合によっては呼吸保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 ・風下の人を退避させる。
・漏洩した場所の周辺にはロープを張るなどして、人の立ち入りを禁止する。
・作業の際には必ず保護具を着用する。風下で作業しない。
環境に対する注意事項 漏出物が河川等、公共水域に流されないように留意する。
除去方法 ・少量の場合、漏洩した液は、土砂などに吸着させて空容器に回収する。
・大量の場合、漏洩した液は土砂などで流れを止め安全な場所に導いた後、液の表面を泡などで覆い、できるだけ容器に回収する。
二次災害の防止策 熱、炎、スパークなど着火源となるものを速やかに取り除くと共に、消火剤を用意する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い
  技術的対策
  (取扱者の暴露防止、火災爆発の防止など
・吸い込んだり、眼、皮膚及び衣類に触れないように、適切な保護具を着用し、できるだけ風上から作業する。
・静電気対策を行い、作業衣、作業靴は導電性のものを用いる。
  注意事項
  (局所排気、全体排気、エアロゾル・粉塵発生防止など)
漏れ、あふれ、飛散しないようにし、みだりに蒸気を発生させない。
  安全取扱い注意事項(混合接触防止、接触回避など) ・高温物、スパーク、火炎を避け、強酸化剤との接触を避ける。
・使用済みの容器は一定の場所を定めて集積する。
・容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、または引きずる等の粗暴な取り扱いをしない。
保管
  適切な保管条件 ・保管場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類はすべて接地する。
・容器は直射日光を避け涼しい場所に貯蔵し、密閉して、空気との接触を避ける。
・ボイラーなど熱源付近や可燃物の近くに置かない。
・酸化性物質、有機過酸化物などと同一場所に置かない。
・火気厳禁
・消防法 危険物第4類第2石油類(非水溶性液体)の適用法規に従って保管する。
  安全な容器包装材料 耐火性の容器を使用する。

8.暴露防止及び保護措置

設備対策 屋内作業での使用の場合は発生源の密閉化、又は局所排気装置を設置する。
取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示する。
管理濃度 25ppm(労働省告示第79号、2005年)
許容濃度 日本産業衛生学会(2004年版)時間加重平均 50ppm(150mg/m3) 経皮吸収あり
ACGIH(2004年版) 
TWA20ppm 経皮吸収性あり
保護具
呼吸器の保護具 有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器等
手の保護具 耐溶剤性(不浸透性)の手袋
眼の保護具 ゴーグル等
皮膚及び身体の保護具 保護服、保護長靴(帯電防止用)、保護前掛け等

9.物理的及び化学的性質

外観
  物理的状態 液体
   無色透明
  臭い 特有な臭い
物理的状態が変化する特定の温度/温度範囲
  沸点 118℃
  融点 -90℃
PH 該当しない
引火点 37℃(密閉)
発火点 343℃
爆発特性
  爆発限界 下限 1.4vol%  上限 11.2vol%
蒸気圧 0.62 kPa(20℃)=4.7mmHg
相対蒸気密度 2.6(空気=1)
密度 0.809 g/cm3 (20℃) 
溶解性
 溶媒に対する溶解性
  水への溶解度 7.1g/100g (30℃)
  水の溶解度 20.6% (30℃)
  溶媒の溶解性 殆どのアルコール、エーテル、ケトン、エステル等に溶ける
オクタノール/水分配係数 logPow=0.88

10.安定性及び反応性

安定性 通常条件の取扱い条件においては安定。
反応性 自己反応性無し。強酸化剤、アルミニウムと反応して引火性ガス(水素)を発生する。
避けるべき条件 高温、火炎、スパーク及び着火源
避けるべき材料 強酸化剤との混合、アルミニウム
危険有害な分解生成物 燃焼等により一酸化炭素等の有害ガスを発生する恐れがある。

11.有害性情報

  急性毒性
経口 ラット LD50 4.4g/kg、2.5g/kg 1)
ウサギ LD50 3.4g/kg、3.5g/kg 1)
吸入 ラット LC50 8,000ppm/4h 2)
ヒト TCL0 25ppm 刺激作用
経皮 ラット LC50 5.3g/kg、4.2g/kg 1)
  局所効果(皮膚、目など)
目刺激 ウサギ 無希釈液0.005ml点眼で角膜に著しい刺激 1)
皮膚刺激 ウサギ 軽度ないし中程度に刺激性1)
  慢性毒性・長期毒性 モルモットに100ppm、4時間/日、6日/週で約2.5カ月暴露の結果、赤血球数と相対・絶対リンパ球数が減少した。
また肺出血、蛋白尿、肝臓/腎臓に初期の変化が認められた1)
  がん原性 IARCモノグラフには発癌性評価対象物質としてとりあげられていない。
ACGIH(1983)発癌性あるいは発癌性を疑われる物質に指定されていない3)
ラットに300日以上経口投与した結果、腫瘍の発生は認められないという報告がある4)
  変異原生 Ames TestでSalmonella typhimuriumに突然変異性は認められない1)
  生殖毒性 若いオスのラットに4日間Dibutyl Phthalate(DBP) 2.0g/kgと対応するモルのn‐ブタノールを与えたところ、DBPは精巣の障害、重量減少が認められたが、n‐ブタノールでは影響が認められなかった 1)
  代謝・排泄 n‐ブタノールはアルコール脱水素酵素により容易に酸化される。
速度はエタノールよりも速い1)
450mg/kgを経口胃管投与したラットでは、24時間で投与量の83.3%が二酸化炭素として排出された。
糞便中への排出は1%未満で、4.4%が尿中に排出され、12.3%は死体中に残った1)
  中毒毒性/その他 人への暴露;空気中の濃度が25ppm・3〜5分間の被曝で鼻や咽頭の軽度の刺激が見られた。50ppmの被曝は全ての被験者の眼・鼻・咽頭を著しく刺激し、軽度の頭痛を訴えた者もあった 1)

12.環境影響情報

移動性 物理化学的性質からみて、大気、水域環境に移行しうる。
残留性/分解性 生分解性良好。 5),6)
生態毒性
  魚毒性
金魚 24h TLm 1,900mg/L6)
Creek chub 24h LC0 1,000mg/L 7)
24h LC100 1,400mg/L 7)
Fathead minnow 96h LC50 1,730〜1,910mg/L 8)
  その他
藻類 72hr EC50  >1,000mg/L 9)
ミジンコ 48hr EC50 >1,000mg/L 9)

13.廃棄上の注意

残余廃棄物 焼却炉の火室へ噴霧し焼却するか、少量の場合は珪藻土等に吸着させて開放型の焼却炉で焼却する。
廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に、内容物を明確にして処理を委託する。
汚染容器・包装 空容器を廃棄する場合、内容物を完全に除去した後に処分する。
洗浄水等は、活性汚泥等の処理により清浄にしてから排出する。

14.輸送上の注意

国連分類 クラス3(引火性液体類、 P.G. V) 国連番号:UN 1120
応急措置指針番号 129
国内規制 消防法(第4類 第2石油類)(非水溶性液体)(危険等級 3)
その他の注意事項 ・引火性液体なので火気厳禁である。
・容器の破損、漏れがないことを確かめる。転倒、落下、損傷のないよう積み込み、荷崩れ防止を確実に行う。
・車両等によって運搬する場合、荷送人は運送人にイエローカードを携帯させる。
・タンク車(ローリー)等への充填、積み下ろし時には車止めをし、接地の上、ホースの連結を確実にする。
・ホースの脱着時はホース内の残留物の処置を完全におこなう。
・ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止応急資材を備える。

15.適用法令

消防法 法第2条危険物第4類引火性液体、第2石油類非水溶性液体
労働安全衛生法 施行令別表6の2・有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号(第2種有機溶剤)
法第65条の2 作業環境評価基準
施行令第18条 名称等を表示すべき有害物
施行令別表1-4危険物・引火性のもの
法第57条の2、施行令第18条の2別表9名称等を通知すべき物質(通知対象物No.475)
船舶安全法 規則第2、3条危険物告示別表第1 引火性液体類
港則法 施行規則第12条危険物告示引火性液体類
航空法 施行規則第194条危険物告示別表第1 引火性液体
海洋汚染防止法 施行令別表第1の3 危険物
施行令別表第1の2有害でない物質

16.その他

引用文献
1) Patty's Industrial Hygiene and Toxicology 4th Ed, (1994)
2) NIOSH, "Registry of Toxic Effects of Chemical Substances" (Jan. 2001)
3) Documentation of the Threshold Limit Values, 4th Ed, ACGIH (1983)
4) IUCLID (International Uniform Chemical Information Data Base )
5) 新妻他 :東北学院大学工学部研究報告 17(1), 52 (1982)
6) A,L, Bridi'e et al :Water Research 13, 623 (1973)
7) Karel Verschueren, " Handbook of Environmental Data on organic Chemicals"(3rd Ed., 1996)
8) IPCS Enviro. Health. Criteria 65 "Butanols-Four Isomers"(1987).
9) 「平成7〜9年度生態影響試験事業総括表」(環境省環境保健部環境安全課)