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石 油 化 学 工 業 協 会 |
| 整理番号:No.15 |
作成 1983年5月16日
改訂 2000年5月31日 |
1.製品の名称 アセトン
2.組成、成分情報
| 化学名 |
: |
アセトン
(別名:ジメチルケトン、2−プロパノン) |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
CH3COCH3 (分子量 58.08) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法・安衛法 (2)−542 |
| CAS No. |
: |
67−64−1 |
3.危険・有害性の要約
| 分類の名称 |
: |
引火性液体、急性毒性物質 |
| 有害性 |
: |
眼の刺激性、中枢神経への影響あり。 |
| 環境影響 |
: |
活性汚泥にて分解される。 |
| 危険性 |
: |
揮発生が高く、かつ引火性液体である。 |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
被災者をただちに空気の新鮮な場所に移動させる。
身体を毛布などでおおい、保温して安静に保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。呼吸困難な場合は酸素吸入が有効である。
医師の指導の下に行うことが望ましい。医師の指示無しに酸素以外の投薬をしたり、被災者に口からものを与えてはならない。 |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服、靴などは速やかに脱ぎ捨てる。必要であれば衣服等を切断する。水または微温湯を流しながら洗浄する。石鹸を用いてよく洗い落とす。
外観に変化が見られたり、痛みが続く場合はただちに医療措置を受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
コンタクトレンズを使用している場合は固着していない限り、取り除いて洗浄する。
最低15分間洗眼した後、ただちに眼科医の手当を受ける。
洗浄の際、まぶたを指で良く開いて、眼球、まぶたの隅々まで水が良く行きわたるように洗浄する。 |
| 飲み込んだ場合 |
: |
吐かせようとしてはならない。
揮発性の液体なので吐き出させるとかえって危険性が増す。水でよく口の中を洗わせる。200〜240
ml の水を飲ませて胃の中の物質を希釈する。嘔吐が自然に起こったときは、気管への吸入が起きないように身体を傾斜させる。嘔吐後、再び水を飲ませる。
保温して速やかに医師の手当を受ける。 |
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
大量の水、粉末、二酸化炭素、耐アルコール泡 |
| 消火方法 |
: |
火災発生場所周辺に関係者以外の立入を禁止する。
消火作業は自給式呼吸器等の保護具を着用する。
初期の火災には粉末、炭酸ガスを用いる。
大規模火災の際には、泡消火剤を用いて空気を遮断することが有効である。 |
| 周辺火災の場合 |
: |
周囲の設備などに散水して冷却する。
移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。 |
6.漏出時の措置
| 人体に対する注意事項 |
: |
1.漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立ち入りを禁止する。
2.作業の際は保護具を着用し飛沫が皮膚に付着したり、ガスを吸入しないように
注意し、風上から作業する。
3.風下の人を退避させる。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
1.付近の着火源となるものを速やかに取り除く。 |
| 除去方法 |
: |
1.危険なくできるときは漏洩部を止める。
2.漏出した場所の周辺から人を退避させると共に火災爆発の危険性を警告する。
3.少量の場合
乾燥砂、土、おがくず、ウエス等に吸収させ密閉できる容器に回収する。
4.大量の場合
盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてから回収する。
この際、下水、側溝等に入り込まないように注意する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.吸入を防ぎ、眼、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.作業環境を許容濃度以下に保つ。
3.室内で取り扱う場合は蒸気の発散源を密閉する設備、または局所排気装置を設ける。
4.取り扱い後は、手洗い、洗顔等を十分に行い、また衣服に付着した場合は着替える。
5.漏れ、あふれ、飛散を防ぎ、蒸気を発生させない。
6.引火し易いため、火気、火花、アークを発生するものまたは高温点火源付近で使用しない。
7.取り扱い場所で使用する電気機器は防爆構造とし、機器類は静電気対策を講じる。 |
| (容器取扱い) |
: |
8.容器は破損、腐食、割れ等のないものを使用する。
9.容器はみだりに転倒させ、衝撃を加え、または引きずる等乱暴な取り扱いをしない。
10.容器から出し入れするときは、こぼれないようにする。
11.流動によって静電気が発生する場合があるので、出し入れの容器にはアースを取る。
12.使用済容器は一定の場所を定めて集積する。 |
| 保管 |
: |
1.容器は直射日光を避け、風通の良い、冷暗所に保管する。
2.保管場所は火気厳禁とする。
3.酸化性物質、有機過酸化物と同一の場所で保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 管理濃度 |
: |
750 ppm |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会勧告値(1999年版):
200 ppm (470 mg/m3)
ACGIH勧告値(95−96) : TLV-TWA 500 ppm (1,188 mg/m3)
TLV-STEL 750 ppm (1,728 mg/m3) |
| 設備対策 |
: |
室内での取扱の場合は発生源の密閉化又、局所廃棄装置を設置する。
取扱場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示しておく。 |
| 保護具 |
: |
呼吸器系保護具:防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器
手の保護具 :保護手袋(ゴム)
目の保護具 :保護眼鏡
その他の保護具:保護長靴(ゴム) |
9.物理的及び化学的性質
| 外観 |
: |
無色透明な液体 |
| 臭気 |
: |
特有な刺激臭 |
| 沸点 |
: |
56.1 ℃ |
| 融点 |
: |
-93.9 ℃ |
| 引火点 |
: |
-9.0 ℃ (開放式)、-20℃
(タグ密閉式) |
| 発火点 |
: |
560 ℃ |
| 爆発特性 |
: |
下限:2.6
vol% 上限:12.8 vol% |
| 蒸気圧 |
: |
24.7 kPa ( 181.7 mmHg ) (
20℃ ) |
| 蒸気密度 |
: |
2.00 (空気=1) |
| 密度 |
: |
0.7908 ( 20 ℃ ) |
| 溶解度 |
: |
水に任意の割合で解ける。ほとんどの有機溶媒に可溶。 |
| オクタノール/水分配係数 |
: |
log Pow = -0.24 b) |
10.安定性及び反応性
非常に揮発性かつ引火性液体である。室温で蒸気を発散し、空気と一定の割合で混合すると爆発性混合ガスになる。
蒸気は空気より重いので低いところに滞留し易い。
酢酸、硝酸、過酸化水素などの強酸化剤と接触すると、爆発性過酸化物を生成することがある。
塩基性条件でクロロホルム、ブロモホルムと反応して火災および爆発の危険をもたらす。 10)
プラスチックを浸す。 10) |
11.有害性情報
1.ヒトへの健康影響
- TCLo 500 ppm (眼の刺激)、TCLo 12,000 ppm/4hr (中枢神経抑制) 1)
- ヒトの多量吸入による急性中毒の症状は、眼、喉の刺激、不安感、頭痛、吐気、知覚麻痺、血圧低下、呼吸速度の上昇と不規則が報告されている。 2)
- 経口で 200 ml ほど摂取したヒトの症状は30分後に昏迷状態、頬の紅潮が現れ、呼吸が浅くなり昏睡状態に陥ったが、治療により回復した。 2)
- 最小影響量 2 min 〜 4hr 250〜900 ppm (鼻、喉、気管等への刺激) 3)
- ボランテアー137人に 250 ppm,4hr 曝露し、生化学検査(血液)、精神運動試験等を行った。結果、わずかではあるが聴覚の識別能力と怒り(男のみ)に差が現れた。 9)
- Haggard らは人体に吸収されたアセトンは正常な代謝過程に入って分解され、呼気又は尿中へ排泄されるが、0.5
ml/l ( 211 ppm ) を越えて8時間連続曝露されると血中にアセトンが残留する。これ以下ならば曝露16時間で完全に吸収され、代謝・排泄されると報告している。 5)
2.動物への影響
(1)急性毒性値
| |
1)経口 |
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(1)ラット |
LD50 |
5,800 mg/kg
1) 〜 9,750 mg/kg 2) |
|
(2)マウス |
LD50 |
4,000 mg/kg 〜
8,000 mg/kg 2) |
|
(3)ウサギ |
LD50 |
5,300 mg/kg 2) |
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2)吸入 |
|
|
|
(1)ラット |
LC50 |
50,100 mg/m3/8H 1) |
|
(2)マウス |
LC50 |
44,000 mg/m3/4H 1) |
|
(3)モルモット |
LCLo |
20,000 ppm/26hr
〜 50,600 ppm/2hr 3) |
|
3)経皮 |
|
|
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(1)マウス |
LOAEL |
(最小有害性影響量)
0.2 ml (皮膚のDNAの合成が若干増加) 3) |
|
(2)ウサギ |
LD50 |
20 m/kg 以上 2) |
(2)刺激性(皮膚、眼)
| |
1)眼 |
ウサギ |
眼の角膜へ中等度の障害 2) |
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ウサギ |
NOAEL(無有害性影響量)
0.2 ml 〜 LCLo 20 滴/1min (可逆的角膜炎) 3) |
|
2)皮膚 |
ウサギ |
脱毛した皮膚に
10 ml、24 hr 以内には刺激性の徴候は現れない。 2) |
|
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モルモット |
刺激性無し。 2) |
(3)亜急性・慢性毒性
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ラットに 19,000 ppm 3 hr/d,5 d/w,8週間の曝露を行い、曝露の4,8週間後及び最終曝露2週間後に屠殺したが、毒性影響は見られなかったという報告がある。 2)
経口ラット(飲料水中)13週間NOAEL(無有害性影響量)雄 1,700 mg/kg/day
雌 3,100 mg/kg/day LOAEL (最小有害性影響量) 3,400 mg/kg/day 3)
|
(4)変異原性・遺伝毒性
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サルモネラ菌 ( TA-98, TA-100, TA-1535, TA-1537 ) によるラットの肝ホモジネートを添加しての結果は陰性であった。 4)
チャイニーズハムスターの白血球の小核、妊娠ハムスターの胎仔細胞変質、カイコの遺伝子変異について生体内試験を行ったがいずれの結果も陰性であった。 3) |
(5)発がん性
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アセトンに関する十分なレベルの発がん性試験の文献は見出せない。 |
(6)生殖毒性・催奇形性・発生毒性
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1.ニワトリの受精卵の「卵のう」へアセトンを 39 mg/kg
及び 79 mg/kg を注入したが催奇形性は
見出せなかった。ふ化率はそれぞれ 80 % と 50 % であった。 2)
マウスの経口投与による最小影響量は 3,500/mg/kg/day である。 3)
2.ラットに 6 hr/d, 7 d/wk, 14 d. (妊娠 6〜19 日の間) 曝露した。 NOAEL
(無有害性影響量)
2,200 ppm, LOAEL (最小有害性影響) 11,000 ppm (胎児重量の減少) 3)
マウスに 6 hr/d, 7 d/wk, 11 d. (妊娠 6〜17 日の間) 曝露した。NOAEL
(無有害性影響量)
2,200 ppm, LOAEL (最小有害性影響) 6,600 ppm (胎児重量の減少、その他) 3) |
12.環境影響情報
| 生分解性 : |
活性汚泥により分解される。 |
| 濃縮性 : |
直接に魚体濃縮試験を行った文献は見出せない。 |
| 生態影響 : |
ブルーギル サンフィッシュ
カダヤシ
ラスボラ ヘテロモルファ(コイ科の魚)
レポミス フミリス(バス科の魚)
オオミジンコ
オオミジンコ
オオミジンコ 胎仔への影響 |
LC50
96=8,300 ppm 7)
LC50 96=13,000 ppm 7)
LC50 48=4,000 ppm 7)
LC1hr=14,350−15,000 ppm 7)
LC50 48=10 ppm 7)
240 hr NOEL=< 403 mg/l 8)
240 hr NOEL=3,110 mg/l 8)
NOEL:無影響量 |
13.廃棄上の注意
廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。
- おがくず、ウエス等に吸着させ、焼却炉で燃焼する。
- 焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
- 空容器を廃棄する場合は内容物を完全に除去した後に処分する。
- 廃棄を外部に委託する場合は、免許を持った産業廃棄物処理業者に内容物を明確にして処理を委託する。
14.輸送上の注意
国連危険物分類 : クラス3 (引火性液体)
国連番号 : 1090
国連包装等級 : U
- 車両等によって運搬する場合は、荷送人は運送人へ運送注意書、イエローカードを携帯させる。
- 容器の破損、漏れがないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損のないように積み込み荷崩れ防止を確実に行う。
- タンク車(ローリー)等への充填、積み卸し時は平地に停止させ、車止めをし、接地し、タンク車の許容圧以下の圧縮ガス又はポンプを用いて行う。
- ホースの脱着時はホース内の残留物の処置を完全に行う。
- ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。
15.適用法令
| 労働基準法 |
: |
施行規則別表第1の2、第4号1の労働大臣が指定する物質 |
| 労働安全衛生法 |
: |
第57条:名称等を表示すべき有害物
施行令 別表第1:危険物(引火性のもの)
施行令 別表第9、通知対象物(MSDS関連)
有 機 則:第2種有機溶剤 |
| 消防法 |
: |
危険物 第4類 第1石油類 水溶性液体(指定数量:400
l) |
| 船舶安全法 |
: |
危規則 別表 第5 低引火点引火性液体 |
| 航空法 |
: |
危険物告示 別表第3 引火性液体 |
| 道路運送車輛法 |
: |
危険物 爆発性液体 |
| 食品衛生法 |
: |
食品添加物 |
16.その他の情報
文献:
- NIOSH : Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (1999)
- Patty's Industrial Hygiene and Toxicology 4th Ed. (1993)
- NTS : Toxicological Profile for ACETONE (Draft) (1993)
- J. McCann et al : Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 72 (12), 5,135
(1975)
- Haggard, H.W. et al., : J. Ind. Hyg. & Tox., 26, 133 (1944)
- A. Leo et al., : Chemical Reviews, 71 (6), 525 (1971)
- R. W. Hann Jr. et al. : Water Quality Characteristic of Hazardous Materials.
Texas A & M University.
- U. M. Cowgill : The Sensitivity of Ceriodaphnia dubia and Daphnia magna
to Seven Chemicals Utilizing the Three-Brood Test, Arch. Environ. Contam.
Toxicol. 20, 211-217 (1991)
- Dick RB : Effects of short duration exposure to acetone and methyl
ethyl ketone, Toxicol Lett; 43,1-3, 31-49 (1988)
- ICSC (International Chemical Safety Cards) (1994.4)
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