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                    石 油 化 学 工 業 協 会  
整理番号:No12          作成   1983年 5月16日
改訂   2000年 5月31日

1.製品の名称  ブテン−1


2.組成、成分情報

化学名 ブテン−1
(別名:α−ブテン、n―ブテン、n―ブチレン、エチルエチレン)
含有量 99%以上
化学式 CH=CHCHCH (分子量 56.11)
官報公示整理番号 化審法・安衛法  (2)−16
CAS No. 106−98−9

3.危険・有害性の要約

分類の名称 高圧ガス、可燃性ガス
有害性 単純窒息性であり、また高濃度では麻酔性がある。液体との接触は凍傷を起こす恐れがある。
危険性 極燃性の液化ガス、爆発下限界が低く、また引火点も極めて低いので危険性は高い、蒸気密度が高く低所に滞留し、爆発性混合ガスを作り易い。

4.応急措置

吸入した場合 被災者を直ちに新鮮な空気の所へ移動させる。
身体を毛布などでおおい、保温して寝かせ安静に保つ。
呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。
意識はないが呼吸をしている場合、又は意識があるが呼吸困難な場合は酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うことが望ましい。
医師の指示なしに酸素以外の投薬をしたり、被災者に口からものを与えてはならない。速やかに医師の手当を受ける。
皮膚に付着した場合 直ちに汚染された衣服や靴を脱ぎ、大量の流水で十分に洗う。凍傷の場合には、出来るだけ早く接触部を温湯で充分暖めると共に医師の手当てを受ける。
目に入った場合 コンタクトレンズを使用している場合は、固着していない限り、取り除いて洗浄する。直ちに清浄な水で15分間以上洗眼し、医師の手当を受ける。

5.火災時の措置

消火剤 粉末、炭酸ガス、泡(耐アルコール泡)
棒状水の使用は、火災を拡大し危険な場合がある。
消火方法 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して風上から消火する。
ガス漏れを停止できない場合は、状況を判断し、爆発危険防止のための適切な措置をとる。
火災発生場所の周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。
消火を行う者の保護 消火作業の際には、自給式呼吸器等の保護具を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項 1.漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立ち入りを禁止する。
2.作業の際は保護具を着用し飛沫が皮膚に付着したり、ガスを吸入しないように
 注意し、風上から作業する。
3.風下の人を退避させる。
環境に対する注意事項 1.付近の着火源となるものを速やかに取り除く。
除去方法 1.危険なくできるときは漏洩部を止める。
2.漏出した場所の周辺から人を退避させると共に火災爆発の危険性を警告する。
3.少量の場合
 漏れた液に土、砂をかけるなど、周辺への流出を防ぎ火気、換気に十分注意して、
 蒸発拡散させる。
4.大量の場合
 漏れた液に土、砂をかけるなど、周辺への流出を防ぎ火気、換気に十分注意して
 蒸発拡散させる。
又は撒水して蒸発を促してもよい。この際、液体が、下水、側溝、
 低所に入り込まないように注意する。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い 1.吸入を防ぎ、眼、粘膜、皮膚との接触を避ける。必要に応じ適切な保護具を着用し、風上から作業する。
2.室内で取り扱う場合は、蒸気の発散源を密閉する設備、又は局所排気装置を設ける。
3.空気と混合して爆発性ガスとなり易いので、ガス漏れには厳重に注意すると共に、
 火花、火気、アークを発するもの、高温物体、強酸化剤との接近を避ける。
4.静電気対策を厳重に行ない、作業服、作業靴は導電性の良いものを使用する。
5.取扱場所で使用する電気、計装機器、装置は防爆構造とし、機器、装置類は静電気対策を講じる。
6.工具はノンスパークのものを使用する。
7.作業場は、ガスが漏れた場合滞留しない様な構造とする。
容器取扱い) 8.流動によって静電気が発生する場合があるので、出し入れの容器にはアースを取る。
9.容器は、「高圧ガス保安法」に基づく検査に合格したものを使用する。
10.一定の年月を経た容器は、「高圧ガス保安法」に基づく検査に合格したものを使用する。
11.使用済みの容器は一定の場所を定めて保管する。
保管 1.貯蔵場所は、付近の民家等に対し「高圧ガス保安法」に定められた距離をとり、容器には
 赤字で「ブテン−1」「火気厳禁」等の表示をする。(置場面積が8m未満で、壁を障壁とした場合を除く)
2.容器は直射日光を避け、常時40℃以下の風通しの良い不燃構造の所に貯蔵し、警戒標識を掲示する。
3.保管場所は火気厳禁とする。
4.定時的にガス検知を行ない、ガス漏れを発見した時は、不良な容器を搬出し措置をとる。
5.貯槽に関する電気、計装機器は、防爆構造のものを使用する。
6.内容積の90%を越えて貯蔵はしない。
7.貯槽の配管には、緊急遮断装置を設ける。

8.暴露防止及び保護措置

管理濃度 設定されていない。
許容濃度 日本産業衛生学会 (1999) 勧告値 ; 設定されていない。
ACGIH勧告値(TLV-TWA)(1999) ; 設定されていない。
          (TLV-STEL)(1999) ; 設定されていない。
設備対策 1.室内での取扱いは、発生源の密閉化又は局所排気装置、全体排気装置を設置する。
2.取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗顔設備を設け、その位置を明確に表示しておく。
保護具 呼吸器系保護具     :送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器、有機ガス用防毒マスク
手の保護具        :耐油性保護手袋(塩化ビニル、ネオプレン、ニトリルゴム、ウレタンゴム製)
目の保護具        :保護眼鏡・顔面シールド
皮膚及び身体の保護具 :保護帽、保護衣、耐油性保護長靴、耐油保護前掛け

9.物理的及び化学的性質

外観 無色気体または透明液体
臭気 弱い芳香臭
沸点 -6 ℃  1)
融点 -185 ℃  1)
引火点 -80 ℃
発火点 385 ℃  1)
爆発限界 限 : 1.6 vol%  上限 : 10 vol% (空気中)  1)
蒸気圧 464 kPa ( 21 ℃ )   1)
蒸気密度 1.93 (空気=1)  1)
比重(水=1) 0.595 ( 20 ℃ 液体)   2)
溶解度 水:溶けない、エタノール、エーテルには良く溶ける。
オクタノール/水分配係数 log Pow = 2.40  3)

10.安全性及び反応性

自然発火性、水との反応性、酸化性、自己反応性、いずれもない。
ブテン−1とオゾンの混合物に光照射し、OHラジカルの消失速度から光化学反応性を
5ランクに分類したところ、ブテン−1は高い方の4ランクに指定されている。  9)


11.有害性情報

  1.ヒトへの健康影響

(1) 閉ざされた場所では、容器を開放すると空気中の酸素濃度が低下して、窒息を起こすことがある。  1)
大量のガスを吸入したとき意識そう失がおこる。
(2) 低級オレフィンの高濃度の反復暴露は、動物に対しては肝臓障害や骨髄の増殖をもたらしたが、ヒトに対しては同様な影響は示されなかった。  4)
(3) この液体が急速に気化すると、凍傷を起すことがある。  1)

  2.動物への影響

(1) 急性毒性値
 吸入 マウス 呼吸器障害  20 % × 2 hr  5)
 吸入 マウス LC     35−40 % × 11−14 min  5)
(2) 慢性毒性 : 知見なし
(3) がん原性 : 知見なし
(4) 変異原性(微生物、染色体異常) : 変異原性なし   6)
(5) 生殖毒性 : 知見なし
(6) 催奇形性 : 知見なし
(7) ブテン−1( 0.4〜18 ppm )と、NO (ブテン−1濃度の1/3)の混合物に紫外線を照射して得た光化学生成物を雄マウスに暴露したところ、呼吸量が平均時の 50 % に減少するブテン−1濃度は 7.78 ppm であった。  8)

  3. 植物の影響

ブテン−1 4.5 ppm、オゾン 0.22 ppm の混合物を植物に暴露したところ、激しくはないが典型的なスモッグ被害を生じた。  7)

12.環境影響情報

  生分解性 : 知見なし
  生態影響 : 知見なし

13.廃棄上の注意

  廃棄は焼却によって行い、その方法は次のいずれかによる。

  1. 容器内の残ガスは、ガスをパイプで焼却炉の火室に送り、焼却するか、風通しの良い場所で少量づつ燃焼させながら放出する。
  2. 残ガス処理中は消火器を用意し見易い場所に処理中であることを表示する。
  3. 多量の場合は、免許を有している専門業者に処理を委託する。
  4. 空容器を廃棄する時は、内容物を除去して後に処分する。

14.輸送上の注意

  国連分類  : クラス2.1 (高圧ガスのうち引火性高圧ガス )
  国連番号  : 1012
   
  輸送の特定の安全対策及び条件

  1. 車輌等によって運搬する場合は、荷送人は運送人へ運送注意書(イエロー・カード)を携帯させる。
  2. 充填容器の破損、漏れのないことを確かめ、衝撃、転倒、落下、破損のないように、たて積みに積み込み、荷崩れ防止を確実に行う。
  3. タンク車(ローリー)等への充填、積み卸し時は平地に停止させ、車止めをし接地し、タンク車の許容圧力以下の圧縮ガス又はポンプを用いて行う。
  4. ホースの脱着時はホース内の残留物の処理を完全に行う。
  5. タンク車(ローリー)の輸送時は、高圧ガス移動監視者が同乗し監視する。
  6. ローリー、運搬船には所定の標識板、消火設備、災害防止用応急資材を備える。

15.適用法令

労働安全衛生法 施行令別表1−5、危険物(可燃性ガス)
高圧ガス保安法 第2条(液化ガス)
一般高圧ガス保安規則第2条(可燃性ガス)
船舶安全法 危規則第2、3条危険物告示別表2 高圧ガス
IMDGコード :クラス 2.1
航空法 施行規則第194条危険物告示別表2 高圧ガス
港則法 施行規則第12条危険物告示 高圧ガス
道路法 施行令第19条の13、車両の通行の制限別表第2−2

16.その他の情報

  文献:

  1. 国際化学物質安全性カード,日本語版(第4集),化学工業日報社(1999)
  2. 国際化学物質安全性カード,日本語版(第3集),化学工業日報社(1997)
  3. J. Sangster, Octanol-Water Partition Coefficients: Fundamentals and Physical Chemistry,
    Wiley Series in Solution Chemistry Volume 2, JOHN WILEY & SONS
  4. Clayton & Clayton : Pattys Industrial Hygine and Toxicology. (4th. rev. Ed.) (1994)
  5. Browing, E. Toxicity and Metabolism of Industrial Solvents 2nd ed.1987, 1 ,362〜367,
    Elsever, Amsterdam
  6. ARAK. A et al : Mutation Res. 307 335 (1990)
  7. A.J.Haagen - Smit et al : Plant Physiol. 27. 18-34 (1952)
  8. L. E. Kane et al : Arch. Enveron, Health. 33. 244-50 (1978)
  9. EPA-600/3-77-001B : Int. Conf. Photochem. Oxid. Pollut. Control Proc. Vol.2. PB-264 233, PP. 687-704 (1977)