整理番号:No.5 |
石 油 化 学 工 業 協 会
作成 1986年5月25日
改訂 1999年4月30日 |
製品名 酸化エチレン
物質の特定
| 化学名 |
: |
酸化エチレン
(別名:エチレンオキサイド、エチレンオキシド、オキシラン) |
| 含有量 |
: |
99%以上 |
| 化学式 |
: |
C2H4O |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法・安衛法(2)−218 |
| CAS No. |
: |
75−21−8 |
| 国連分類 |
: |
クラス2.1(可燃性ガス) 国連番号:1040 |
危険・有害性の分類
| 分類の名称 |
: |
高圧ガス、可燃性ガス、急性毒性物質 |
| 危険性 |
: |
揮発性且つ引火性の強い高圧ガス |
| 有害性 |
: |
多量暴露で頭痛、悪心、脱力、嘔吐が起こる。
慢性暴露で末梢神経障害が起こる。
ヒトに対して発ガン性があると考えられる。
動物に生殖毒性がある。 |
| 環境影響 |
: |
活性汚泥に対して毒性が強い。 |
応急措置
| 眼に入った場合 |
: |
直ちに、少なくとも15分間、水で洗眼した後、医師の手当を受ける |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
汚染された衣服や、しみ込んだ靴を直ちに脱いで、石けん及び多量の水で十分に洗う。
液体は急速に気化すると凍傷を起こすことがあり、この場合は衣服を脱がせず多量の水で洗い流す。 |
| 吸入した場合 |
: |
被災者を直ちに空気の新鮮な場所に移動させる。身体を毛布などでおおい、保温して安静を保つ。呼吸が止まっている場合及び呼吸が弱い場合は、衣類を緩め呼吸気道を確保した上で人工呼吸を行う。意識はないが呼吸している場合、又は意識はあるが呼吸困難な場合は酸素吸入が有効である。医師の指導の下に行うことが望ましい。医師の指示なしに酸素以外の施薬をしたり意識のない被災者に口から物を与えてはならない。
塔槽内で作業者が中毒を発生した場合は、発見者は直ちに他に連絡をすると共に、送気マスク又は空気呼吸器を着用し患者を運び出す。 |
火災時の措置
消火方法
(1) 周辺火災の場合
- 速やかにボンベ等を安全な場所に移す。
移動不可能な場合は、貯槽等の容器及び周囲に散水して冷却する。
(2) 着火した場合
- 直ちに燃焼源となるガス流出を止め、そして消火する。ガス漏れを停止できない場合は、状況を判断し、爆発危険防止のため、そのまま燃焼させる等適切な処置をとる。
- 又、延焼の恐れのないよう水スプレーで被災物の冷却をする。消火作業は呼吸保護具を着用して風上から行う。
消火剤
水、粉末、二酸化炭素、耐アルコール性泡
漏出時の措置
- 酸化エチレンは特有のにおいがあるので、漏れた場合は通常嗅覚によって感知できるが、低濃度では感知できない。また長時間吸入すると感覚が麻痺するので注意を要する。
- 保護具を着用し、吸入、接触を避けるようにして風上から作業する。
- 風下の人を避難させ、漏洩場所から人を遠ざける。
- 付近の着火源となるものを速やかに取り除く。
- ボンベのバルブから漏れる場合で量が少なく応急修理が可能と思われる時は、保護具を着用し漏れ箇所に大量の水を掛けながら安全な場所に移し、無火花工具を用いて修理する。漏れが激しいときは大量の水の中にボンベを浸漬し、水中に内容物を放出する。
- ボンベの合金栓が融解してガスが噴出すると処置が困難になる。これを防ぐためボンベの温度は常に40℃以下に保つ。
取扱い及び保管上の注意
| 取扱い |
: |
1.労働安全衛生法、高圧ガス保安法、毒物及び劇物取扱法等の関連法規に準拠して作業する。
2.取扱い中は、皮膚に触れないようにし、必要に応じ保護具を着用する。
3.取扱中は、蒸気の発散をできるだけ抑える。作業環境を許容濃度以下に保ち、取扱場所に発散源を密閉する設備、又は局所排気装置を設けることが望ましい。
4.取扱中は、出来るだけ風上から作業し、暴露防止に注意する。
5.ボンベから酸化エチレンを安全に取り出すには、ボンベを横置きとし、取出し口を上向き(ボンベ内のサイホン管の先端は下向きとなる)にして、バルブを開く。酸化エチレンが液状で取り出され、ボンベ内には不活性ガスが残って安全である。
6.取扱い場所では、火気、火花、アークを発するもの、又は高温火源を使用しない。例えば無火花工具を使用する。
7.酸化エチレンを使用する反応装置は、酸化エチレンと空気の爆発性混合ガスを形成しないよう、事前に装置内を窒素ガスで置換しておく。
8.取扱い場所で使用する機器類は全てアースする。
9.取扱い場所で使用する電気機器は防爆構造とし、裸電球は使用しない。 |
| 保管 |
: |
1.ボンベは風通しの良い場所に貯蔵する。
2.ボンベ及び使用済みボンベは一定の場所を定めて保管する。 |
暴露防止措置
| 管理濃度 |
: |
未設定 |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会勧告値(1998年版)
時間荷重平均 1ppm 発ガン性第1群
ACGIH(1998)勧告値
時間荷重平均(TWA) 1ppm A2 |
| 保護具 |
: |
必要に応じ適宜次の保護具を着用する。
防毒マスク(有機ガス用)、送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器、保護眼鏡、保護手袋、保護長靴、全身保護衣 |
| その他の衛生上の予防措置: |
|
|
(1) ぜん息又は慢性の胸部疾患のある人は取扱い作業に従事させない。
(2) 取扱い上の注意事項及び保護具の使用・点検方法を教育する。
(3) 関係者以外の作業場内の立ち入りを制限する。 |
物理/化学的性質
| 外観 |
: |
無色透明 |
| 臭気 |
|
エーテル臭 高温では刺激臭 |
| 沸点 |
: |
10.73℃(1.013×102kPa)(760mmHg) |
| 融点 |
: |
-111.3℃ |
| 蒸気圧 |
: |
(1.46kPa)(20℃) |
| 比重 |
: |
0.8969(0℃) |
| 蒸気密度 |
: |
1.49(40℃ 空気=1) |
| 比熱 |
: |
0.44cal/g℃ |
| 溶解度 |
: |
水、アセトン、エーテル、アルコール等に任意に溶解 |
危険性情報(安定性・反応性)
| 引火点 |
: |
-17.87℃以下 |
| 発火点 |
: |
429℃ |
| 爆発限界 |
: |
下限3vol% 上限100vol%
(1) 非常に揮発性かつ可燃性の液化ガスで、その蒸気は単独でも電気火花等で爆発する。
(2) 空気と混合した場合は爆発性混合ガスとなる。市販のボンベは窒素を希釈剤として封入し、爆発範囲を外している。
(3) 鉄、スズ、アルミニウムの無水塩化物、酸、アルカリ、酸化鉄、酸化アルミニウム等により重合して発熱し、密閉容器では爆発することがある。
(4)銀、銅、水銀、マグネシウムを含有する金属用具はガス中の不純物と反応して爆発性化合物を生成することがあるので、使用してはならない。 |
有害性情報
(1)人への影響
酸化エチレンガスを短時間に多量に吸入した場合、急性中毒症状として頭痛、悪心、脱力、嘔吐が起こる。重症の場合は肺水腫、神経症状として意識障害、協調運動障害、眼への影響(白内障)が現れることがある。又、慢性暴露障害としては、末梢神経障害の発生が報告されている。1)
(2) 急性毒性2)
|
経口 |
ラット |
LD50 |
100〜330mg/kg |
|
経口 |
モルモット |
LD50 |
270mg/kg |
|
吸入 |
ラット |
LC50 |
1,460ppm(4時間)、4,000ppm(4時間) |
|
吸入 |
マウス |
LC50 |
835ppm (4時間) |
|
吸入 |
イ ヌ |
LC50 |
960ppm (4時間) |
(3) 刺激性3)
希薄水溶液(1%程度)でも長時間付着すると小水泡や大水泡疹を起こすことが報告されている。
低濃度ガスは呼吸器に対する刺激性はほとんど認められない。
3)
(4) 慢性毒性(吸入)
2)
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暴 露 条 件 |
動 物 |
所 見 |
|
ppm |
時間/日 |
日 数 |
|
33 |
6 |
145 |
ラット |
最初の10週は体重増加量の
減少がみられた。 |
|
113 |
7 |
122〜157 |
ラット
モルモット
ウサギ |
臨床的兆候も有毒な所
見も認められない。 |
(5) 発ガン性
IARCは分類1(ヒトに対する発ガン性あり)に分類している。
日本産業衛生学会は第1群(ヒトに対して発ガン性あり)に分類している。
ACGIHはA2(ヒトに対して発ガン性が疑われる物質)に分類している。
(6) 変異原性4)
バクテリア、植物、細菌、昆虫に変異原性を示す。また哺乳類の培養細胞に染色体異常、姉妹染色分体交換を示す。哺乳類の生体内試験では姉妹染色分体交換、小核、優性致死変異、遺伝性の転座が認められた。
(7) 生殖毒性3)
生殖毒性はラット、マウス、兎についてテストされている。マウスの静脈内注射の高投与群(150mg/kg)において、母体毒性とともに胎児に奇形(頭蓋顔面異常、脊椎融合)がみられた。
ラットの吸入暴露(100ppm)では、着床数の減少、胚吸収の増加がみられた。兎では毒性は観察されなかった。
(8) 代謝排泄3)
生体内でエチレングリコールになり、これがさらにしゅう酸となって尿中に排泄されるといわれている。
環境影響情報
- 酸化エチレンは活性汚泥に対する毒性が強いとされている。IC50:10〜100mg/l
- 加水分解生成物は容易に分解される。7)
- 金魚に対する急性毒性(LC5024hr)として90mg/lが報告されている。6)
廃棄上の注意
- 大量の水で希釈し、いったん排水ピットに溜め、適切な方法で処理した後処分する。
- 水溶液を活性汚泥処理する場合には、酸化エチレンの毒性の影響を受けることがあるので、注意が必要である。
輸送上の注意
- タンク車(ローリー)等への充填・積み降ろしのときは、エンジンを止め、車止めをしてアースをとる。
- ホース等の結合部は確実に締めつけ、また結合したことを確認後に、充填または積み降ろしを行う。
- ボンベはみだりに転倒、落下、衝撃、又は引きずり等の粗暴な取扱をしない。
適用法令
| 高圧ガス保安法 |
|
|
| 法 |
: |
高圧ガス |
| 施行令 |
: |
液化ガス |
| 一般則 |
: |
可燃性のガス 毒性ガス |
| 毒・劇物取締法 |
: |
劇物 |
| 船舶安全法 |
: |
危規則 別表第1 高圧ガス |
| 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律: |
|
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有害液体物質 C類 |
その他
文献
- ICSC:ICSC(International Chemical Safety Cards)
- ACGIH:Documentation of Ethylene Oxide
- Clayton & Clayton: Patty's Industrial Hygiene and toxicology. (3rd.
rev. Ed.)
Vol. 2
- 賀田恒夫・石館基:環境変異原データ集T 1980
- 西内康治:生態化学 4(3),45,1981
- A. L. Bridie et al.: Water Research 13 623,
1979
- 通産省公報、昭和54年12月25日
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