整理番号:No.3 |
石 油 化 学 工 業 協 会
作成 1985年 5月
改訂 2003年 4月 |
1.製品の名称 プロピレン
2.組成、成分情報
| 化学名 |
: |
プロピレン |
| 別名 |
: |
プロペン,メチルエチレン |
| 含有量 |
: |
99mol% 以上 |
| 化学式及び構造式 |
: |
C3H6 CH3CH=CH2(分子量42.08) |
| 官報公示整理番号 |
: |
化審法・安衛法(2)−13 |
| CAS No. |
: |
115-07-1 |
3.危険有害性の要約
| 危険性 |
: |
空気中での爆発限界が低く、又、引火点も極めて低いので爆発火災に対する危険性が大きい。
蒸気密度が高く、洩れると地面を這って流れ、低地や床面に爆発性混合気を生成する。
移送時の流動や、噴霧,漏れなどの際に静電気を発生しやすく、わずかな放電火花で爆発する危険性がある。 |
| 有害性 |
: |
特に問題となる毒性は報告されていない。
非常な高濃度では窒息性と緩和な麻酔性がある。
液体に触れると凍傷を起こす。
IARCの発がん性物質区分でグル−プ 3 (ヒトに対する発がん性については分類できない)
に分類されている。 |
| 環境影響 |
: |
水生生物に及ぼす影響は少ない。 |
| 分類の名称 |
: |
高圧ガス、可燃性ガス |
4.応急措置
| 吸入した場合 |
: |
空気の清浄な場所に移し、安静にして保温に努め、医師の手当を受ける。
呼吸停止の場合は人工呼吸を行い、呼吸困難の場合は酸素吸入を行う。
塔槽内で作業者が中毒した場合は、これを発見した者は直ちに他へ連絡するとともに、
送気マスク又は空気呼吸器を着用し患者を運び出す。 |
| 皮膚に付着した場合 |
: |
清浄な水で充分に洗い流す。
凍傷を起こした場合は、できるだけ早く接触部を温湯で充分暖めると共に医師の手当を受ける。 |
| 目に入った場合 |
: |
清浄な水で最低15分間洗い流した後、医師の手当を受ける。 |
5.火災時の措置
| 消火剤 |
: |
ドライケミカル,炭酸ガス,水噴霧(冷却) |
| 消火方法 |
: |
火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
水噴霧により周辺のタンク,建物等を冷却する。
消火作業は風上から行う。 |
| 周辺火災の場合 |
: |
速やかに容器を安全な場所に移す。
移動不可能な場合は水噴霧により容器,周囲を冷却する。 |
| 消火を行う者の保護 |
: |
空気呼吸器,防火服、防災面等の保護具を着用する。 |
6.漏出時の措置
| 人に対する注意事項 |
: |
適切な保護具(送気マスク又は空気呼吸器,ゴ−グル型保護眼鏡又は防災面,耐薬品性手袋等)を着用し、風上から作業を行う。 |
| 環境に対する注意事項 |
: |
洩れた液には、土,砂をかける等、周辺への流出を防ぎ、換気を充分にして蒸発拡散させる。
又は散水して蒸発を促しても良い。この際、液体が下水,側溝,低所に入り込まないように注意する。 |
| 二次災害の防止法 |
: |
漏出源を遮断し、洩れを止める。
付近の着火源となりそうなものを速やかに取り除く。
風下の人を退避させ、漏出場所周辺は立入禁止とすると共に火災爆発の危険性を警告する。 |
7.取扱い及び保管上の注意
| 「高圧ガス保安法」並びに関連法規に従って作業をする。 |
| 取扱い |
: |
・取扱場所周辺は火気厳禁とする。
・火花を発生しない道具を使用する。
・適切な保護具を着用し、眼,皮膚に触れない様にする。又、ガスの吸入を避ける。
・空気と混合して爆発性ガスとなり易いので、ガス洩れには厳重に注意するとともに、
火花,火気,ア−クを発するもの,高温物体,強酸化剤との接近を避ける。
・静電気防止のための装置,機器の接地を確実に行う。又、作業衣,作業靴は導電性の良いものを着用する。
・電気機器類は防爆型のものを使用する。
・屋内作業場で使用する場合、換気には充分注意を払い、ガス濃度はできるだけ低くしておく。
・タンク内又は密閉された部屋等に作業者が入る時には強制換気を行い、ガス濃度を充分低く保つと同時に、
酸素濃度(常圧では18 % 以上)を確保する。
又は送気マスクを着用して作業する。
作業を開始する前にはガス検知器で濃度をチェックする。
|
| 保管 |
: |
・容器は常時40 ℃ 以下の風通しの良い不燃構造のところに保管し警戒標識を掲示する。
・貯蔵所は付近の民家などに対し「高圧ガス保安法」に定められた距離をとる。
(置場面積が 8m2 未満で壁を障壁とした場合を除く。)
・定期的にガス検知を行い、ガス漏れを発見した時は不良容器を搬出し処置をとる。
・貯槽に関する電気,計装設備は防爆構造のものを使用する。
・内容量の 90 % を超えて貯蔵しない。
・貯槽は付近の民家などに対し、「高圧ガス保安法」に定められた距離をとり帯状に直径の
1/10 以上の巾で赤色に塗るかまたは赤字で「液化プロピレン」「火気厳禁」等の表示をする。
・貯槽の配管には緊急遮断装置を設ける。
・保管場所周辺は火気厳禁とする。
・静電気対策を行う。
・強酸化剤の近くには保管しない。 |
8.暴露防止及び保護措置
| 設備対策 |
: |
・容器は「高圧ガス保安法」に基づく検査に合格したものを使用する。
・一定年月を経た容器は「高圧ガス保安法」に基づく検査に合格したものを使用する。
・使用する機器,装置は全て接地し、帯電を防ぐ。火花の発生しない道具を使用する。
・使用する電気,計装機器は防爆構造のものを使用する。
・作業場はガスが洩れた場合、滞留しない様な構造とする。
・取扱い場所の近くに緊急用洗眼器及び安全シャワ−を設置し、その位置を、明瞭に表示する。 |
| 管理濃度 |
: |
設定されていない。 |
| 許容濃度 |
: |
日本産業衛生学会 ('02年度版)
: 設定されていない。
ACGIH ('02年度版) : 単純性窒息ガスに分類されている。
許容濃度は勧告されていない。 |
9.物理的及び化学的性質
| 外観等 |
: |
わずかに甘い芳香のある無色の気体又は液体 |
| 沸点 |
: |
-47.7 ℃ |
| 比重 |
: |
液体 0.51(20/4℃、飽和圧力)
|
| 蒸気密度 |
: |
1.49 (空気 = 1) |
| 蒸気圧 |
: |
1.3kPa(10mmHg)/-112.11℃ 26.7kPa(200mmHg)/-
73.27℃
2.7kPa(20mmHg)/-104.75℃ 101.3kPa(760mmHg)/- 47.70℃
8.0kPa(60mmHg)/- 91.29℃ |
| 融点 |
: |
-185.3 ℃ |
| 引火点 |
: |
-107.7 ℃ |
| 発火点 |
: |
455 ℃ |
| 爆発限界 |
: |
上限 11.1 vol.% 下限 2.0
vol.% |
| 溶解度 |
: |
水:0.446V/V(20℃、101.3kPa(1atm))、
エタノール:12.5 V/V(20℃、101.3kPa(1atm)) |
| 分配係数 |
: |
log Pow=1.77 |
10.安定性及び反応性
| 安定性、反応性 |
: |
・通常の取扱い及び保管条件では安定である。
・強酸,強酸化剤,ニ酸化窒素,溶融硫黄,塩化化合物と激しく反応する。
・天然ゴム、ブチルゴムは化学反応を受ける。
・空気と混合して過酸化物を生成することがある。
・触媒の存在下で重合してポリプロピレンを生成する。
・熱分解により有毒ガス(CO,CO2等)を発生する。 |
| 可燃性 |
: |
あり (引火性高圧ガス) |
| 爆発性 |
: |
・空気中での爆発下限界が低く、引火点も極めて低いので爆発火災に対する危険性が大きい。
・蒸気密度が高く、漏れると地面を這って流れ、低地や床面に爆発性混合気を生成する。
・移送時の流動や、噴霧,漏れなどの際に静電気を発生しやすく、わずかな放電火花で爆発する危険性がある。 |
11.有害性情報
| ヒトへの影響 |
|
|
| (1)刺激性 |
: |
プロピレンガスは眼、粘膜、皮膚に対して刺激性はほとんどない。
しかし、液化プロピレンが多量に皮膚に付いた場合は凍傷を生ずる。e) |
| (2)発ガン性 |
: |
IARCではグループ3(ヒトに対する発ガン性については分類できない)に分類されている。i) |
| (3)急性毒性 |
: |
| (吸入)ヒトに症状が現れる時間b) ,c) |
濃度24% |
濃度12% |
| 症状発現 |
30 sec. |
50 sec. |
| 多弁・興奮 |
60 sec. |
3 min. |
| 共同運動失調 |
2.5 min. |
20 min. |
| 意識喪失 |
3 min. |
20 min.
|
・吸入するとめまい,頭痛等が起こる。高濃度では酸素欠乏による窒息作用と緩和な麻酔作用がある。 |
| 動物試験結果 |
|
|
| (1)急性毒性 |
: |
吸入ラット LC>/86/m3/4H h),i) |
| (2)亜急性毒性 |
: |
マウスに35 % の濃度を58日間に20回吸入させた結果、肝臓に軽微な脂肪侵潤が認められた。 c) |
| (3)亜慢性毒性 |
: |
ラット及びマウスに14日又は14週間それぞれ625〜10,000ppmの濃度下に暴露したが毒性は認められなかった。i) |
| (4)慢性毒性 |
: |
i)
・ラットに対し、200、1,000、5,000ppmの濃度下に7H/日、5日/週で10週間、マウスに対し、同条件で78週間暴露した結果、
死亡率は1,000、5,000ppmの濃度下のラット及び5,000ppmの濃度下のマウスでわずかに増大した。
・ラット及びマウスに対し、5,000、10,000ppmの濃度下に6H/日、5日/週で103週間暴露した結果、
鼻腔鱗状化生が5,000、10,000ppの濃度下のメスと低濃度下のオスに現れた。
又、上皮化生が高濃度下のメスに現れた。
オスには炎症変化が粘膜下組織や鼻腔の管腔に見られた。鼻腔の病変は局部的刺激による変化は反映したものである。
マウスのオスメスの鼻腔には何の変化も見られなかったが慢性的な病巣腎臓炎症が増大した。
|
| 5)変異原性 |
: |
i)
・サルモネラ菌(TA100)を20%濃度下に7H暴露した結果、代謝活性化系の有無いずれも変異原性はなかった。
・マウスのリンパ腫細胞を20〜50%濃度下に4H暴露した結果、代謝活性化系の有無いずれも染色体のtk座において
変異原性はなかった。 |
| (6)発がん性 |
: |
i)
・オス及びメスのラット(9〜10週齢)各50匹を0、5,000、10,000ppmの濃度下に6H/日、5日/週、103週暴露した。
平均体重はオスメス共にコントロールよりわずか低下した(0〜5%)が濃度とは無関係であった。
鼻腔における鱗状化生の増加がメスと低濃度下オスに見られた。鼻腔上皮の化生が高濃度下メスに増大した。
鼻腔の炎症が低濃度と高濃度のオスと高濃度のメスに生じた。腫瘍は暴露群には見られなかった。
・オス及びメスのラット(17週齢)各100又は120匹を0、200、1,000、5,000ppmの濃度下に7H/日、5日/週、104週暴露した。
中濃度と高濃度下オスにわずかな死亡率の増加が見られた。群間には腫瘍の発生に差が見られなかった。
・49〜50匹のオスと50匹のメスのマウス(9〜10週齢)を0、5,000、10,000ppmの濃度下に 6H/日、5日/週、103週暴露した。
59週後の平均体重は高濃度下のオスがコントロールに比してわずかに低下(5%)した。
血管肉腫が低濃度下のオス(肝臓)1匹、高濃度下のオス(脾臓)2匹、高濃度下のメス
(皮下組織、脾臓、子宮)3匹に見つかった。
メスでは血管腫又は血管肉腫が コントロール ;0/50、低濃度下 ;1/49、高濃度下 ;4/50となった。
メスの子宮内膜基質ポリープは陽性傾向を示した。
オスの肺胞/細気管支の線腫又はガンは陰性の傾向を示した。
・オス及びメスのマウス(7週齢) 各100匹を0、200、1,000、5,000ppmの濃度下に7H/日、5日/週,、78週暴露した。
体重はコントロールと暴露群の間に差がなかった。
5,000ppmの濃度下に暴露したオスにわずかながら死亡率の増加が見られた。
群間に腫瘍発生の差はなかった。 |
| (7)生殖毒性 |
: |
利用できるデータはなかった。i) |
| (8)代謝 |
: |
プロプレンに暴露されたマウスのヘモグロビンとDNA中に代謝物のアルキル化剤であるプロピレンオキサイドが発見された。i) |
12.環境影響情報
| 魚毒性 |
: |
水生生物に及ぼす作用は少ない。 LD50 (96 hr) = 1,000 ppm以上a)、f) |
| その他 |
: |
植物への生理作用は、低濃度では成長に刺激効果を与えるが、高濃度では阻害する。b)、g) |
13.廃棄上の注意
| ・容器内の残ガスは、ガスをパイプで焼却炉の火室に送り、焼却するか、風通しの良い場所で 少量ずつ燃焼させながら放出する。 |
| ・残ガス処理中は消火器を用意し、見やすい場所に処理中であることを表示する。 |
| ・空容器は廃棄するときは、内容物を除去した後に処分する。 |
14.輸送上の注意
| 国連分類 |
: |
クラス 2.1(高圧ガス、引火性) |
| 国連番号 |
: |
1077 |
・運搬容器は所定の基準に従ったものを使用する。
・ロ−リ−運搬時は、高圧ガス移動監視者が同乗し監視する。
・ロ−リ−への積み込み,積み降ろしのときは、配管,車体を接地し、車輌は車止めで固定する。
・ロ−リ−,運搬船には所定の標識板,消火設備,災害防止用応急資材を備える。
・充填容器を車輌等で運搬するときはたて積みとしロ−プで固定する。
・容器はみだりに転倒させ,落下させ,衝撃を与え,又引きずるなど粗暴な取扱いをしない。
・その他取扱い及び保管上の注意の項の記載による。 |
15.適用法令
| 高圧ガス保安法 |
: |
第2条 高圧ガス(圧縮ガス,液化ガス)
第26条 危害予防規程
一般,液化則,容器則 |
| 労働安全衛生法 |
: |
第20条 危険防止のための措置
第59条 安全衛生教育
施行令別表第1危険物 (可燃性のガス)
施行規則第261条 爆発火災の防止 |
| 船舶安全法 |
: |
危規則告示別表第2(高圧ガス) |
| 航空法 |
: |
告示別表第2(高圧ガス) |
| 港則法 |
: |
施行規則第12条 危険物 (高圧ガス) |
16.その他
a) 危険物ハンドブック, ギュンタ−ホンメル編 (シュプリンガー・フェアラーク東京)
b) 石油化学工業協会セ−フティデ−タシ−ト (No.3 プロピレン)
c) 産業中毒便覧(医歯薬出版)
d) 発がん性物質の分類とその基準(特別資料No.110日本化学物質安全・情報センター)
e) Manufacturing Chemists Assoc. Inc.: Chemical Safety Data Sheets SD-59
Propylene 1974
f) R. W. Hann jr. and P. A. Jensen: Water Quality Characteristics of Hazardous
Materials. Environmental Engineer Information Center. Texas A&M University
g) A. J. Haagen-Smit et al.: Plant Physiol. 27 18 1952
h) NIOSH:Registry of Toxic Effect of Chemical Substances(1999)
i) IARCモノグラフ Vol.60(1992-1996年発行)
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